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伊藤 喜一郎 院長の独自取材記事

腎・泌尿器科 伊藤クリニック

(大阪市阿倍野区/西田辺駅)

最終更新日:2019/10/08

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大阪市阿倍野区にある「腎・泌尿器科 伊藤クリニック」は、大阪急性期・総合医療センターで20年以上にわたって経験を積んだ伊藤喜一郎院長が2008年に開業。伊藤院長は同センターで腎臓移植など数多くの手術を行い、部長職も務めた先生で、現在は阿倍野区医師会の副会長を務め、病診連携や診診連携を積極的に行いながら、地域の中で大きな病院で受けられるような医療の提供に努めている。「名づけ親である祖父に、お医者さんになるといいと言われて、小学生の頃から何となく医師を志していましたね」と温和に話すが、腎臓移植に心血を注いできた医師としてのスタンスや情熱は、今も変わらない様子の院長に、さまざまに話を聞いた。
(取材日2019年9月25日)

高いレベルの治療を、地域の中で行うために開業

どのような患者さんが来院されていますか?

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この地域は高齢化が進んでいるので、やはり高齢化に伴う排尿障害や前立腺肥大、女性の場合は過活動膀胱など頻尿で受診される方が多いです。男女比は7対3くらいですね。でも、膀胱炎や腎盂炎など若い人も来られていますし、お子さんの夜尿症も診ていますよ。おねしょは、膀胱の機能が問題であれば1日中漏れてしまいますが、ほとんどのおねしょは夜中、寝ている間だけですよね。これは冷えや、水の飲み過ぎが原因なので、長い目で見れば問題ないのですが、お母さんの不安も、お子さん本人の恥ずかしい気持ちもわかりますから、薬を使って改善へのきっかけをつくることもあります。大人の患者さんの中には、膀胱がんや前立腺がんが見つかって、僕が以前勤務していた大阪急性期・総合医療センターへ紹介状を書き、手術を終えた後、またこちらでフォローしていくケースもあります。

大阪急性期・総合医療センターでのキャリアについてお聞かせください。

当時は大阪府立病院という名前でしたが、そこの泌尿器科に23年勤め、最後の8年は主任部長をしていました。手術をし続けていて、腎臓移植手術も数多く行ってきました。移植だけではなく、がんの患者さんも診ていましたし、術後は何が起こるかわからないですから、ずっと病院にいましたよ。今考えると、当時は過酷な勤務体制で、そんな中、後輩たちもよく頑張ってくれていたと思います。ただ、手術をすればするほど患者さんが増える一方で、大規模病院の外来では、患者さんとの関わりにおいてできないこともあり、徐々に、開業医の立場で移植後のフォローをしていきたいと考えるようになり、病院の近くで、地域医療に貢献したいという気持ちも大きかったです。

腎臓移植後の患者さんと、地域の患者さんと両方を意識した開業だったのですね。

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2008年の開業当時は、大阪急性期・総合医療センターで僕が手術をした移植後の患者さんが多かったです。今も、近畿一円、和歌山や滋賀からも来られていますよ。そのため、病院と同じ内容の尿検査ができるように、自動的に尿沈渣の検査を行うための機械を導入しました。臨床検査技師も常勤して、検査会社に出さずに、その場で腎臓機能をチェックし結果を伝えられるようにしています。それはほかの疾患の患者さんにも役立っていて、例えば高熱が出た場合、白血球の増加が検査で確認できるので迅速に対応していくことが可能となります。開業から10年以上たって、腎臓移植以外の患者さんが増えていますが、そのように検査ができるメリットは大きいですね。エコーやエックス線は一般的な内科と同じですが、電子カルテの画面にエコーの結果が直接出てくるため、患者さんにはわかりやすく説明できていると思います。

多くの腎臓手術を行ってきた経験を診療に生かす

診察の際に心がけているのはどんなことですか?

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不安を抱いて来られている患者さんの立場に立って、丁寧にわかりやすい言葉で説明することです。たまたまがんが見つかったとき、この段階なら大丈夫だとこちらはわかっていても、患者さんはとても心配ですよね。その気持ちを受け止めて、高齢の方ならご家族にも一緒に聞いていただいてお話しします。腎臓移植後の患者さんは、免疫抑制剤を投与しているので、感染症への抵抗力が低下していることに注意して対応しています。移植後の生着は以前に比べたら良くなっていますが、10年たつと透析に戻ってしまっている方もおられますし、それぞれ気を配ることがいろいろありますよ。ただ腎臓移植自体が生活の質を上げる医療で、普通の人と同じような生活ができるように行いますので、「あれはダメこれもダメ」と言って移植をした意味がなくならないように心がけています。

「腎臓移植=生活の質を上げる医療」とは?

心臓や肝臓の移植の場合は「命を救う移植」ですが、腎臓の場合はバックグラウンドとして透析医療がありますから、意味が違い、透析をせず普通に日常生活を送るための「QOL(生活の質)を上げる移植」です。大学時代に恩師に学んだ時は先進的な医療で、大学院、その後大阪府立病院で腎臓移植を始めた頃は移植の黎明期で、親兄弟からの生体腎移植が主流でした。今でこそ臓器移植法ができ、脳死移植も行われるようになりましたが、当時は亡くなった方から提供された腎臓を使う献腎移植は非常に少なく、大阪じゅうの救急病院に「腎臓を提供してほしい」とお願いして回っていました。亡くなった方、特にそれがお子さんだと、残されたご家族は複雑な気持ちですよね。まずは救急担当医の理解を得ようと尽力してきたその流れの先に、今があると実感しています。移植によって、大きな負担である透析をしなくて済むのは、患者さんには非常に大きなメリットですから。

当時の経験は、今の診療にどう役立てておられるのですか?

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今はもう移植や手術はしていませんが、これまでの経験を生かし、泌尿器科医師の立場からさまざまなアドバイスをさせていただいてます。病院時代から近隣の開業医の先生たちと連携があったので、内科の先生から意見を求められたり、患者さんを紹介されたり……。現状では大規模病院の敷居が高くなってしまってるため、そこへ紹介する前のステップとして役立ててくださっています。患者さんにしても、大規模病院へ行く前のワンクッションとして地域の「泌尿器科」があれば、ちょっとしたことも相談しやすいのではないでしょうか。

患者と接することが、自分自身の成長のステップに

泌尿器科の受診を勧めるのはどんな場合ですか?

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血尿が出た時は必ず受診してください。特に気をつけるのは無症候性血尿という、ほかに何も症状がないときです。皆さん血尿が出ると、最初はビックリするのですが、その後治まって、他に症状がなければ、「何かの間違いかな?」となかったことにしてしまう人が多いです。しばらくしてまた出て、また治って……を繰り返すときは、腎臓がんや膀胱がんが隠れている可能性があります。また、健康診断で潜血とタンパクが両方出ていて、それが何度かある場合も腎臓の病気が考えられます。潜血だけのケースでは大きな病気はほとんどありませんが、念のためエコー検査をしておくと安心です。また、排尿時に痛みがあるときは、膀胱炎などが考えられますね。腰痛は普通、整形外科に行くだろうけれど、血尿が伴っているときは、尿路結石などの可能性があるので、泌尿器科に行ってみてください。血尿は病気のシグナルです。

医師になって良かったと思うことについて教えてください。

医師になって、いろんな人の人生を見ることができたことですね。患者さんが元気になって社会復帰を果たす姿を見るとやりがいを感じます。特に移植手術をした患者さんとは、付き合いが長くなります。その過程で患者さんと接することで、自分自身の成長のステップになっていると感じます。小学校2年生の時に腎臓移植して、今は30歳を超えた患者さんが、ここへ通って来られるのですが、子どもから一人前の社会人になって、元気に活躍されている、その成長をそばで見てこられたのは良かったと思っています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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勤務医の頃によく働いた分、今は趣味の海釣りを楽しむ時間も大事にしています。串本や尾鷲など少し遠くまで行くんですよ。そうやって自分の時間も大切にしながら、阿倍野区医師会の活動にも積極的に取り組んでおります。年1回の区民公開講座や健康展なども開催しております。そして、若い開業医の先生方もサポートできればいいですね。そして、泌尿器に関することを何でも相談できる、地域に根差した医院でありたいです。頼りにしてくれる患者さんを大事にして、できる限り長く続けていきたいと思っています。

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