芝 加奈子 院長の独自取材記事
茶屋町ササセ皮フ科
(大阪市北区/大阪梅田駅)
最終更新日:2024/05/30

阪急京都本線・大阪梅田駅からすぐ。多くの人が行き交う茶屋町に「茶屋町ササセ皮フ科」はある。2022年から院長を務める芝加奈子先生は、なんでも話しやすい、やわらかな雰囲気を心がけて診療している。皮膚科は長期的な通院が必要になることが多く、それゆえに患者のライフスケジュールに合わせた治療も必要となる。結婚式を控えた女性や就職活動が忙しい人には、「色素沈着があるかもしれないから」と、治療時期も含めた診療を心がけている芝先生は、さながら患者の幸福を応援するサポーターのよう。院長として心がけていることや、めざす治療などにも言及してもらった。
(取材日2024年5月14日)
土日も診療、法人グループとしての強みを生かす
通いやすい場所にあるクリニックですね。

大阪梅田駅の茶屋町口から徒歩2分の場所にありますので、お仕事や学校帰りでも気軽に通っていただきやすいクリニックだと思います。患者さんは大人世代の女性の割合が高く、インターネットなどでわざわざ調べて、来てくださる若い人も増えてきました。当院の母体である皮膚科医療法人グループは、十三、神崎川、天六、大和田、摩耶にも同様の分院があり、塚本を本院として運営しています。中でも茶屋町院だけは、祝日以外も休まず診療をしていますので、土日休診の系列他院から患者さんがいらっしゃることが多いですね。急に症状が出た方や土日に処置が必要な患者さんにも、お役に立てていると思います。
診療のモットーを教えてください。
理事長の笹瀬晃弘先生が法人開設時から掲げているのが、「きれいに治す」「皮膚のことならなんでも対応する」ということです。私が意識を向けるところも同じで、何か一つの分野だけに固執することなく、皮膚科全般、なんでも診るというスタンスで臨んでいます。当院には、2021年にまだ隣のビルの4階で診療していた頃に入職しまして、2022年に現在の場所へ移転しました。平日は私一人の診療体制ですが、土日は非常勤の先生に来ていただき、形成外科の先生も隔週で土曜に診療する体制を整えています。手術が必要な処置も、その間に行えるよう組織化しています。
どんな治療を求める患者さんが多いですか?

2、30代から40歳ぐらいまで、ニキビ治療で通院されている方が多いですね。ニキビは毛穴の詰まりによってできますが、そうなる理由というのは人それぞれです。治療も「これ」と決まっているわけではありませんから、そこが難しいところですね。当院ではオリジナルで作成したプリントをお渡しし、お薬の使い方をスタッフにも共有して、詳しく説明してもらうようにしています。まず、前置きとして「受診をしたからといって、すぐに治るものではないですよ」と、継続して通っていただくことの重要性をお伝えしてから、治療の流れを説明しています。症状がずっと続いているのか、単発なのかでお薬を分け、長引く人には漢方薬もお勧めしています。
なんでも話しやすい雰囲気を心がけ、真意まで見極める
手汗治療にも注力されているそうですね。

最近、ポスターやテレビCMを見かける機会も増えてきて、認知度も上がってきたのが手掌多汗症です。当院では外用薬で改善が図れなかった手掌多汗症に対し、2022年からイオントフォレーゼ療法を行っています。水をためた容器に微弱の電流を流すことで電気分解を起こし、発生した水素イオンが汗をつくる汗腺の細胞のブロックを図る仕組みです。月4回の治療が保険診療で行えます。治療は継続する必要がありますが、効率良く通院していただけるように、空き時間の連絡も行っています。お困りの方はぜひ一度ご相談ください。またアトピー性皮膚炎や円形脱毛症、皮膚の色が抜けてしまう白斑の治療には、中波紫外線療法も行っています。今までの光線治療でなかなか効果を感じられなかった方も、一度お試しいただけるとうれしいですね。
先生が患者さん対応で気をつけておられることは、どんなことでしょうか?
患者さんがなんでも話しやすい雰囲気でありたいですね。私自身も病院へ行くと、「あれを聞き忘れた」と帰宅してから思うことがよくあります。そうならないように優しい、やわらかい空気感をつくっておきたいのです。笹瀬理事長もいつも優しい話し方をなさる先生ですし、私がいた大学の皮膚科の医局の先生方も皆さんそういう方たちでした。女性ですし、あまりツンツンした感じでいたら、患者さんと会話が弾まないでしょう(笑)。受診のハードルを下げ、患者さんになんでもフランクに話してもらえれば、治療にもフィードバックできると考えています。処方した薬が合って「先生、あの薬良かったです」と言っていただけるように、毎日努力していきたいと思っています。
ところで、先生はなぜ皮膚科の医師になられたのですか?

よくあるパターンですが、親戚や家族に医療従事者が多かったからです。医療以外の職業をあまり見る機会もなく過ごしてきましたし、「感謝される仕事でかっこいいなあ」という憧れも持っていました。子ども時代は「幼稚園の先生になろうかなあ」とおぼろげに考えたこともありましたが、仕事を選択する時期になると家族の勧めもあって、自然と医学部を選んでいました。皮膚科に決めたのは、今の時代とは違い、女性の医師が子どもを生んで、将来的にも働きやすい診療科の一つが皮膚科、という状況があったからです。兵庫医科大学を卒業して同大学の皮膚科に入局し、その後、兵庫県内の皮膚科の病院で研鑽を積んできました。笹瀬理事長の「患者さんももちろんだけれど、医療従事者であるみんなの生活の質が上がることを大事にしている」というお言葉に惹かれて、当法人へ入職しました。
デメリットも伝え、ライフスケジュールに合わせて治療
先生が診療において大切にされていることを教えてください。

治療においても処置についても、良いことも悪いこともお伝えするようにしています。例えば「この治療はこういう効果が期待できるけれど、その代わり色素沈着が起こる可能性もあります」という具合です。そこまで伝えていないと、結果として「肌の色が変わるぐらいなら、放っておけば良かった」と患者さんが思うこともあるでしょう。色素沈着が治療のプロセスにおいて単なる通過点だったとしても、その間のデメリット要素があるならば、きちんとお伝えすべきだと思っています。「色素が出やすい治療だから、目立つ夏場はやめておいたほうが良いかもしれません」とか、「痕が少し残りそう」とか、「塗り薬も最初の数週間はかぶれるかもしれない」とか、そういうこともお伝えします。大事なのは、その人のライフスケジュールも踏まえて治療すること。きれいにしたいと思っているのに、きれいになりたい時に治っていなかったら意味がありません。
患者さん対応で気をつけていることはありますか?
気になる患者さんには、お電話で帰宅後のフォローを行うことがあります。「悪くなったら、来てくださいね」と言って診察室から見送っても、悪くなったとはどういう状態のことを言っているのか、患者さんはわからないことも多いからです。帯状疱疹などの痛みや、痛みがなくても薬疹が疑われる方は、あらかじめ診察中に「2、3日中にこちらからお電話するかもしれません」とお伝えしておくと、患者さんも驚かずに、電話に出てくださいます。「これぐらい大丈夫」と自己判断されて、そのまま来院されなくなることが、一番問題です。急激に悪くなる可能性のある方は、こちらから積極的に介入していくようにしています。
今後取り入れたい治療や将来の展望についてお聞かせください。

私自身、大学の医局を出て月日がたちましたし、最近は患者さんも多くの情報を持っていらっしゃるので、新しい情報、治療法のアップデートを常に欠かさないように、より一層意欲を持って取り組んでいこうと考えています。当院をはじめ、私たちの法人グループは保険治療がメインですが、その中でもできることを増やしていく構想もありますし、理事長やスタッフが一同に会してのミーティングも定期的に行い、法人としての医療の質の底上げを図っています。また、当院では今、アトピー性皮膚炎の注射治療にも注目しています。先進の治療にもアンテナを張り「アトピー性皮膚炎はもうこれ以上、良くならない」と諦めている方々や、さまざまな皮膚のお悩みをお持ちの方の助けになれるように、これからも努力してまいります。なんでも気軽にご相談ください。