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袴田 智伸 副院長の独自取材記事

福澤クリニック

(横浜市神奈川区/片倉町駅)

最終更新日:2020/04/01

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横浜市営地下鉄の片倉町駅から徒歩8分、新横浜通りに面したビルの1階にある「福澤クリニック」。2000年の開業時から身近なかかりつけ医として、近隣住民に親しまれているクリニックだ。今回、取材に応じてくれたのは、さわやかな笑顔と親しみやすい雰囲気を持つ副院長の袴田智伸先生。同院は、開業時から訪問診療に対応しており、中でも末期のがんの患者を対象とした在宅医療に取り組んでいるのが特徴だ。「当院は10年以上前から緩和ケアを重視してきましたが、当時は自宅で緩和ケアを行うという認識は、まず、ありませんでした。しかし、地域の方が困っていることに積極的に関わっていこうという思いから、取り組んできたのです」と袴田先生。同院の診療姿勢から将来の展望まで、地域医療にかける思いを聞いた。
(取材日2019年2月13日)

外来診療から在宅緩和ケアまで、トータルでサポート

まず、こちらのクリニックについてお教えいただけますか。

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地域のクリニックとして、大人から子どもまで気軽に通える「町のお医者さん」という感じでしょうか。僕は中国語を話せるので、中国人の方も多いですね。内科・外科・胃腸内科・肛門外科・皮膚科に対応しており、内科と外科は僕と院長が、皮膚科は横浜市立大病院から先生が診療に来てくださっています。「患者さんはどの先生にかかるのも自由なので、症状によって使い分けていただければ」というのが院長の考えで、僕も同感です。今の保険診療では、患者さんが自由に医師を選べますから、そういう使い分けは大いにするべきだと思います。そんな中で、地域に密着した家庭医のような存在でありたい。当院には、家族ぐるみで通ってくださる方も多くて、3世代で診させていただいていることも少なくありません。ご家族の背景を知っているので、困ったことも見えやすい。その点を鑑みて診察をすることが、かかりつけ医の役割だと思っています。

力を入れている治療など、クリニックの特徴をお聞かせください。

在宅緩和ケアを重視していて、10年以上前から取り組んでいます。主にがんの末期の方が対象ですが、始めた当時はモルヒネを使って痛みを緩和したり、腹水を抜いたりという治療を自宅で行うことは、ほぼ考えられていない時代で、ほとんどの方が医療施設で過ごす時代だったのです。けれども、「できれば家で過ごしたい」という方もいらっしゃいます。ご本人やご家族が望むのであれば、その思いをかなえたい。もちろん、がんだけではなく認知症、心疾患、脳疾患など幅広い疾患に対応する訪問診療にも対応しています。僕は国立成育医療研究センターで小児救急を担当していたこともあり、その経験を生かして小児在宅医療も行っています。

訪問診療は、どのような体制で行っているのでしょう?

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訪問診療は医師が一人でご自宅に伺うことが多いのですが、当院では医師と看護師のチーム体制で訪問しています。当院には非常勤ですが皮膚科の先生もいますので、ときには一緒に訪問することもあります。たいていの場合は相談するだけで解決できるのですが、実際に専門の先生が診察しないとわからないこともありますからね。当院は居宅介護支援事業所と訪問看護ステーションを併設していますので、医療ソーシャルワーカーがご相談に乗りますし、看護師がご自宅へ伺って患者さんへの身体介護や医療処置、ご家族のケアや支援など家族看護も行います。一人の患者さんに対して、当院がワンストップで対応できるように体制を整えています。

じっくり話を聞くことで、不安解決の糸口が見えてくる

医師をめざしたきっかけを教えていただけますか。

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僕が中学2年生の頃、母が大腸がんの手術をしたことがきっかけです。母の命を助けてくれた医療に興味を持ち、「医者になって手術をして、僕も人の命を助ける人になりたい」とね。実は母の手術を担当したのが、当院の院長である福澤邦康先生でした。外科医師をめざした僕は、先輩であり、母の命の恩人である福澤院長に、進路の相談をしたり、両親ととともに食事をしたりするようになっていったんです。そんな縁もあって、福澤院長と同じ久留米大学医学部に進学しました。大学を卒業後は横浜市立大学での研修を経て、さまざまな病院などで経験を積みました。

そして院長と同じ道に進んだのですね。

ところが、そうはいかなくて(笑)。院長は消化器外科が専門ですが、僕は再建外科でした。同じ外科なのですが、移植した臓器の血管を接合するといった特殊な分野なのです。「あのときは、ちょっとがっかりした」と、あとから院長に言われましたけれど……。けれど経験を積むうちに、もっといろいろな患者さんを診る医療をしたいと思うようになったのです。大きなきっかけは、東日本大震災でした。専門性の高い高度医療はやりがいはありますが、5%以下の患者さんを診るよりも、90%の方を診たほうが良いのではないか、と。それから、総合診療を行う病院や在宅専門のクリニックに勤務しながら、大学院で学び直しました。若い頃と同じように院長に相談したり、経緯を報告したりしていたこともあり、ここに勤務することになったのです。

診察の際には、どのようなことを心がけていらっしゃいますか。

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相手の話を聞くことです。特に1回目の診察では、できるだけ時間をとって、じっくりお話を聞きます。ときには診療とは関係ない話をすることもありますが、意外とそういうところから、口には出せない悩みや病気の本質がわかったり、治療法が見えてきたりすることもあるんです。特に訪問診療では、診察室ではわからなかったことが見えることもあるので、見逃さないようにしています。末期がんの患者さんに「私が動けるときから、家に来てほしい」と言われたことがあって、なるほどなと思いました。動けなくなっての訪問より、ご自宅で普段からの様子を知ることでより良い関係が生まれ、納得できる治療やケアが提供できるでしょう。そんなふうに患者さんから教えてもらうこともあるので、顔を見てお話することを重視しているのです。

患者の「困った」に積極的に関わり、最適な選択を

今後、新たに取り組みたいことなど、将来の展望をお聞かせください。

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今は情報が多すぎて何が正しいのか、患者さんはもちろん医療者側も、わからなくなっている気がするんです。正しい情報を知り、正しい医療をする人が増えてほしいという思いから、地域のケアプラザで介護職の方に向けた医学講座を行っています。こういった情報発信は、これからも積極的にしていきたいです。また次世代を担う医師たちを育てるために、研修医も積極的に受け入れています。その他にも、地域医療の向上のためにできることはなんでもしていきたいですね。いちクリニックでできることは限られていますので、周囲の医療機関との連携は欠かせません。連携する病院の状況や動きを把握し、互いに協力しながら、患者さんにとってベストなチョイスができるようにしたいですね。

お忙しい毎日だと思いますが、休日はどのようにお過ごしですか。

時間があれば子どもと過ごすことが多いですね。子どもは2人いて、上の子は小学校3年生で勉強を見ることもあるのですが、意外と難しいことをしているので教えるのに苦労したりして(笑)。下の子はこの春、小学校に入学するのですが、実は27週という早産だったので、ちょっと運動機能に障害があるんです。左足を引きずる程度ですが、小学校では体育の授業もありますから、どうなるか悩むところです。子どもを守るのは親ですから、できるだけ嫌な思いをしないように、リハビリのプログラムをつくっています。そんな家庭の事情もあって、小児在宅医療に取り組むようになったので、親御さんたちの気持ちがわかるのです。

では、近隣の皆さんや読者へのメッセージをお願いします。

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当院は病気を診るだけでなく、生活上の悩みも踏まえて皆さんの健康をサポートするクリニックです。ですから、なんでもお気軽にご相談ください。初診時にはしっかり時間を取ってお話をお聞きし、スタッフ全員が全力で取り組みます。医療に関係ないことでもかまいません。実際、診察の際には医療には全然関係ないことを相談される方もいます。また子育てについては僕の実体験に基づいて、医療的な子育て指導をすることもありますし、そもそも病院に行くことだけが正解ではないとお話することもあります。「他がやらないなら、うちが引き受けましょう」という、困っている方に対して積極的に関わっていく開業からのスタンスで、これからも地域の皆さんのお役に立ちたいと思っています。

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