濱﨑 徹 院長の独自取材記事
はまさき歯科
(鹿児島市/市立病院前駅)
最終更新日:2024/12/27

市立病院前電停から徒歩2分ほど。鹿児島市上荒田に開業して約30年、離島からも患者が訪れる「はまさき歯科」。診察室を仕切る障子のついたて、季節の生花、足元の風流な玉砂利など、和の落ち着いた雰囲気に心が和む。院長の濱﨑徹先生は、患者一人ひとりの口腔内全体のバランスを考えた治療を強みに、歯科口腔外科を含めた幅広い診療に対応している。特に親知らずに関しては、大学病院でないと難しいとされる横に生えた状態の歯まで対応可能。「歯科医師の仕事が好きなんです」と屈託なく語る濱﨑院長に、診療方針や患者との関わりで大切にしていること、今後の展望などについて聞いた。
(取材日2024月8月21日)
口全体のバランスを診て、根本原因まで明らかに
勤務医時代はどのような経験を積まれたのですか。

鹿児島大学歯学部を卒業後、まず先輩の歯科医院で2年間働きました。通常の歯科治療だけでなく、歯科技工士の仕事もこなせてこそ一人前の歯科医師という方針の歯科医院で、歯を削るだけでなくかぶせ物や入れ歯などの製作まで経験しました。技術が磨かれたのはもちろん、治療の全体像を把握して診療内容を提案できるようになったのは大きな収穫でした。その後、勤務先の院長から頼まれて手伝っていた歯科医院の院長が急逝され、その歯科医院を1年間一人で任されました。このトータル3年間で多様な症状・年代の患者さんを診させていただきました。当院では虫歯や歯周病の治療から、親知らずの抜歯、入れ歯・インプラント治療、ホワイトニング、審美歯科まで幅広く対応していますが、これは勤務医時代の経験があってこそだと思っています。
診療方針についてお聞かせください。
特に大切にしているのは、患者さんが長期的に口腔内の良好な状態を保てるように促し、再治療をしなくて済むように導くことです。例えば、虫歯で来院された患者さんがいても、痛む箇所はもちろんですが口腔内全体の状態を確認して、全体的な治療計画を立てていきます。なぜならそこだけ治療しても、虫歯になりやすい口腔内環境であれば再発してしまうからです。当院では初めに口内環境をチェックし、根本的な原因を探ります。そして現在の患者さんの状態を説明し、症状のある場所だけでなく、口腔環境全体を整えるよう導いていくんです。口腔内全体のバランスを考えた治療を行うことで、一時的な対症療法ではなく、長期的に安定した口腔の健康の維持を図ることができます。
口全体のバランスを見て治療することが大切なんですね。

口腔内全体のバランスを考慮することは、主訴の根本原因を突き止めることに加えて、必要以上の治療を避けることにもつながりますからね。例えば、他院で動揺している歯を抜いてインプラントを入れる治療を提案されたとしても、よく診察して治療を検討すれば、原因は他にあり歯を抜かない治療方針を提案できる可能性があります。本来残せる歯までインプラントにしてしまうと、不必要な箇所にメスが入り、費用もかさみ、患者さんの身体的・心理的また金銭的負担も大きくなります。患者さんのことを第一に考え、適切な治療を提供するためには、口腔内全体を診ることが不可欠なんです。
すべての歯を1本ずつ撮影し、可視化して説明する
どのような患者さんがいらっしゃいますか。

女性が7割ほどと多く、年代は会社にお勤めの方や主婦の方、また大学の学生さんなど、20~50代の方が中心です。開業当初から通われている患者さんもいるので、中には70代になるご高齢の方も。遠方だと大隅半島や離島から通ってくださる患者さんもいらっしゃるんですよ。主訴は虫歯の治療から入れ歯まで幅広いのですが、特に親知らずの抜歯を目的とした方も多いですね。抜歯後に患者さんから「もう抜いたんですか?早かったですね。」と言われるような、スムーズな治療を目標にしています。大学病院等で治療するような横に生えた状態の親知らずにも対応していますので、安心してお任せください。
患者さんとの信頼関係を築くために心がけていることを教えてください。
患者さんにただ説明するのではなく、「わかるように」説明することを心がけています。例えば、痛みがないと自分の歯は健康な状態と思いがちですが、実は痛みを感じる頃には虫歯が進行していることが多いのです。でも痛みがないと、歯が小さく写った口腔内全体の写真を見せて説明しても、治療が必要なことがいまひとつピンとこないでしょう。そこで当院では初診時にすべての歯を個別に撮影します。「自分の歯ってこんなに汚かったの?」と驚かれるかもしれませんが、歯の色、歯石、歯茎の腫れなど、一本一本の状態を鮮明に写し出して、患者さんと一緒に確認しながら説明します。きちんと目で見てわかるように伝えるんです。そして歯や顎の全体的な診断に役立つエックス線写真も撮り、治療のメリット・デメリットを説明し、患者さんに納得いただいてから進めるようにしています。
医院の雰囲気づくりにもこだわっていらっしゃいますよね。

患者さんがリラックスできる環境を第一に考えています。院内は天井を高くして圧迫感を軽減し、口腔外バキュームや医療用の空気清浄機で常にクリーンな状態を保てるよう努めています。茶道と華道を教えていた母の影響で、心を和ませる日本文化の素晴らしさを感じていたので、和のテイストも取り入れました。診察室は障子のついたてで仕切り、足元に玉砂利を敷くなど、ホッと落ち着ける空間にしています。毎週母が生けに来る季節の花も患者さんから好評ですね。またスタッフとの関係も重視し、怒るのではなく丁寧に話しかけることで指導しています。怒られたスタッフの負の感情が、患者さんに向かわないようにするためです。患者さんからは「スタッフが明るくて優しい」「気持ち良く診療が受けられる」とよく言っていただきます。空間づくりと人づくり、この両面からの雰囲気づくりが、患者さんに長く通っていただける理由の一つになっているのかもしれません。
患者の幸せのために、スタッフ一同学び続けたい
歯学部時代から現在まで、常に積極的に学ばれていらっしゃるそうですね。

細かい手仕事や物作りが好きなんです。歯科の仕事はまさにその集大成で、やりがいがあって楽しい趣味のようなものだと思っています。歯学部時代は先生から手先の器用さを評価していただいていたんです。模型や入れ歯作りでは誰より早くきれいに仕上げていたので、周りから手伝いを頼まれることもありました。自分の得意で好きなことで人の役に立てるなんて、こんなに幸せでうれしいことはありません。開業後も休みの日に勉強会やセミナーに参加し、先進の技術や知識の習得に努めています。
スタッフさんについて教えてください。
歯科衛生士が6人、受付スタッフが2人在籍しているんですが、うれしいことに長く働いてくれるスタッフが多いんです。20年以上のベテランや産休後に復帰してくれたスタッフもいますよ。この安定した体制のおかげで、患者さんに一貫した質にこだわったケアを提供できていると思います。スタッフ教育にも力を入れていて、毎月の院内研修会はもちろん、県外の研究会にも参加してもらっています。どのようにコミュニケーションを取れば患者さんから治療に必要な情報を引き出せるかなど、医療人として必要な知識やスキルを学ぶようお願いしています。スタッフ全員で医院のモットーである「歯の痛みがない幸せ」「自分の歯で噛める幸せ」「大きく口を開けて笑える幸せ」あなたの「しあわせ」をお手伝いします。を実現できるよう、研鑽を重ねています。
今後の展望についてお聞かせください。

今後はオーラルフレイル対策にも力を入れていきたいので、スタッフにも専門の勉強会に参加してもらっています。オーラルフレイルは滑舌の低下や食べこぼし、わずかなむせなどから始まる口腔機能の衰えが全身の衰弱にもつながるという概念です。お口の些細な衰えが要介護のきっかけになることも考えられるので、早期に気づき対策を打つことが必要なんです。これから高齢の患者さんも増えていくので、早期の口腔機能の維持・向上のためのケアを通じて、患者さんの全身の健康にも貢献できればと思っています。患者さん一人ひとりの状態に合わせた適切な治療と長期的な口腔健康管理を通して、生涯にわたって患者さんの幸せのお手伝いができたら、私たちも幸せです。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/1本38万5000円~、ホワイトニング/1万6500円~、セラミックを用いた補綴治療/8万8000円~