宮永 光一 院長の独自取材記事
光葉歯科クリニック
(鹿児島市/鹿児島中央駅)
最終更新日:2025/09/30

鹿児島中央駅から車で11分の「光葉歯科クリニック」は、開業から34年目を迎える。宮永光一院長は、大学卒業後社会人として働き、27歳で歯科医師になることを選択したという異色の経歴の持ち主。生物学や化学をはじめとする多様な知見に基づき、根本的治療をめざした歯科診療を提供。従来の歯科治療に加え、口の病気や不調の要因となる寝相・片噛み・口呼吸といった生活習慣を改善するためアドバイスに注力。不調にとことん向き合う粘り強い診療スタイルを頼って、問題意識の高い患者が遠方からも多く来院しているそうだ。そんな同院を「口からの治療院」と称し、健やかで心安らかな暮らしを支える医療を追求する、宮永院長の魅力的な人柄に迫った。
(取材日2020年10月7日/再取材2025年8月20日)
歯科治療と生活習慣のアドバイスで体の健康をサポート
開業から34年目を迎えました。診療内容や患者層はいかがですか?

当院は一般的な虫歯や歯周病、抜歯など保険治療が主ですが、必要があれば自由診療も提供しています。特徴のある診療としては、片噛みなどの原因で引き起こされた顎関節症や歯列矯正、口臭症の治療などがあります。また、抜歯と判断されそうな歯も可能な限り無抜歯にこだわり、歯を残すために根の治療を丁寧に行っています。患者さんはご自身の健康に対して問題意識の高い30代以上の方が多い印象です。自然療法に傾注されている方や漢方、生物学、量子力学に興味のある方が、周囲から私の診療を勧められていらっしゃることもあるんですよ。他院を受診後に何らかの不調や疑問を覚えて来られたというお話もよく伺います。私のクリニックに通った患者さんが、その後、虫歯にならなくなるようにサポートできればうれしいですね。
どういった方針のもと診療を行われているのですか?
患者さんの健康を中心に見据えて、広い視野で歯科治療に取り組んでいます。歯の治療というのは、基本的にほとんどが対症療法。患者さんが「虫歯ができたので治療してほしい」と来院されたら、その部分を治療するのが歯科医師の仕事です。しかし目先の虫歯の治療だけを行って「はい、終わり」にはしたくないんですよね。なぜ虫歯ができたのかという原因を探っていかなければ、本当の意味での治療とはいえませんので、口の病気の原因となる誤った生活習慣の改善も力を注いでいる部分です。当院は、口を治療して体の回復を図る、いわば「口からの治療院」。患者さんが今持つ力を100%発揮できるよう助力するというスタンスのもと、皆さんが健やかで、心安らかに暮らせるようなお手伝いをしています。
こちらで行っている診療の特徴について伺います。

私が取り組んでいることは主に2つあり、まずは一般歯科、そして全身疾患と密接に関係する口腔の特殊性に基づく生活習慣のアドバイスです。虫歯や歯周病、顎関節症などは、誤った生活習慣が引き起こすケースが多くあるため、真の原因に対して姿勢や癖の矯正に依拠した診療を行っています。まず注視するのが寝相です。横寝は食事を片側だけで噛む習慣から来ている場合が多く、この癖によって噛んでいる側の顎から首にかけての筋肉が短くなり、短くなった側に引っ張られるように首が傾くことが起因すると考えられています。頭の重さ約5kgが枕を当てた側の顎と歯に加わることで顎の位置が左右不対称になり、歯並びが崩れていくようになるのです。元に戻そうとする力で歯ぎしりが起こり、顎関節症の原因に。年配の方だと横寝で下にした側の歯が脱臼し、歯槽膿漏が強く現れているケースもよく拝見します。寝方で命の質が決まるといっても過言ではありません。
口呼吸は万病のもと、寝相・姿勢改善・歯並びに着目。
口呼吸の外来も設けられていますね。

はい。唾液には抗菌作用がありますが、口の中が乾燥しているとばい菌を十分に抑制できなくなってしまいます。睡眠中は唾液の分泌が減少するため、口呼吸だと乾燥が進んで、口の中がばい菌だらけになってしまうのです。このばい菌が虫歯や歯槽膿漏の原因となるほか、全身を巡って感染症を引き起こしたり、糖尿病の発生に関与したりと、体調を崩す原因となる場合もあります。最初から歯の治療をしても根本にある原因の解決にはなりませんので、ばい菌が口の中に入ってくる理由を探り、繁殖しないようにする方法をお伝えした上で、歯に個別の治療を加えていくこととなります。口呼吸は万病のもと。皆さんもぜひ、意識して鼻呼吸の習慣をつけてみましょう。
歯並びと噛み合わせについてはいかがでしょうか?
歯は一本一本大きさや形が異なり、物を噛むときにそれぞれが違う役割を担っています。切歯と呼ばれる前歯は食べ物を噛み切る役割、犬歯と呼ばれる糸切り歯は肉などを引き裂くための歯。そして、臼歯と呼ばれる奥歯は食べ物を細かくすりつぶす役割を担っています。歯並びが悪ければ噛み合わせも悪くなってしまいますし、たくさんの種類の食物から栄養を体の中にしっかりと取り入れることができなくなってしまいます。さらに、噛み合わせが悪いことで歯や顎にも負担がかかり、それが不調や疾患の要因となることも。当院では、正しい噛み合わせだけに留まらず、無抜歯でよく噛める歯列づくりにも配慮しながら治療を進めています。
歯科治療として重金属の除去にも力を入れていますよね。

修復材料の代表格としてアマルガムという合金があります。実はごく最近まで、虫歯の治療後に穴に詰める銀歯として一般的に使われてきた材料です。やわらかく、治療の際には穴の部分に密着させて詰めることができ、その後は噛み合わせの力に耐えるほどまで強度が増します。材料学的には優秀で、抗菌力も高いのがメリットでしたが、アマルガムの約半数を占める水銀が体の不調の原因をつくる可能性があることがわかってきました。当院では、安全を重視したアマルガム除去と後処理、ノンメタル治療を行っています。
患者の気持ちに寄り添う治療で、頼られるクリニックに
生活習慣に着目されるようになったきっかけをお聞かせください。

私はこれまでに2度、原因不明の体調不良に悩まされた経験がありましてね。1度目はそれが原因で前の仕事を辞めました。2度目は、クリニックを開業してからになりますが、1年間のうちの3〜4ヵ月ほど、風邪のような状態が続いたんです。自分なりに不調の原因を探していたところ、口呼吸を専門とされている先生に出会い、健康的な体づくりの基盤を整えるには、口呼吸をやめること、正しい生活習慣や姿勢、バランスの取れた食事を意識した生活を送ることが重要だと、身をもって体験しました。この経験をきっかけに、口は栄養を取り込む第一の消化器ということを改めて認識。よく噛める歯列・噛み合わせづくりを通して、患者さんの健康のお手伝いをしたいと考えています。私が推奨していることは実はとてもシンプルなことなんですよ。
先生が歯科医師になられたのは33歳の時。どのようなご経歴を歩まれてきたのですか?
私は高校を卒業後、東京の大学に進学し経済学を学びました。子どもの頃から生物学や化学、歴史学が好きでしたね。将来は大学に残って身を立てたいと経済学研究科修士過程まで修了しましたが、当時の恩師に「君は社会人のほうが向いている」と言われ、就職。2年ほど勤めましたが、そこで体を壊し退職。学問と生計が両立できる仕事で自分ができるものを模索し、27歳で歯科大学入学という、随分遠回りな人生を歩むことになりました。歯科医師となり、日々の診療でさまざまな発見があるこの仕事に大きなやりがいを感じています。さまざまな文献を読む中で疑問がたくさん湧き起こるのですが、診療中に「こういうことだったのか!」と解ける瞬間があるんです。それを治療に落とし込んで、自分の中で合点がいったときは非常にうれしく、歯科医師の醍醐味だと実感しています。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

人生の目的は幸せになることだと思います。それを手に入れるには健康であることが必要ですよね。私は歯科医師として、患者さんの歯やお口が本来の機能を取り戻し、エネルギーがしっかりと働くように導いて差し上げることが自らの役割だと考えています。何となく調子が悪い状態が続いているなど、体の悩みを抱えてらっしゃる方は、気軽にご相談ください。悩みに応えられるよう、今後も丁寧な診察や診断に力を尽くしてまいります。
自由診療費用の目安
自由診療とは重金属除去と後処理(アマルガムを含む)/5500円〜、ノンメタル治療/5500円〜、口呼吸相談・口臭症の治療/1万1000円〜、歯列矯正/初回44万円〜、顎関節症治療(器具代込み)/3万3000円