咬合、咀嚼機能検査から診る
一般歯科治療
ながやまデンタルクリニック
(鹿児島市/郡元駅)
最終更新日:2024/09/19


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人は呼吸や飲食、会話などを行う時、下顎と上顎との間で「かむ」という動作を繰り返している。 その複雑な動きの基礎になっているのが「かみ合わせ」だ。かみ合わせに問題があると、顔のゆがみ、顎で音が鳴る、詰め物や歯の割れ、食いしばりや歯ぎしりなどの他、食事がしにくい、飲み込みにくい、ひいては体全体の病気の症状も現れることがある。「かみ合わせは歯と歯の接触だけでなく、顎の関節の動きとも密接に関わっているため、歯だけでなく生活習慣を診る必要があります」と話す「ながやまデンタルクリニック」の是枝圭貴先生。かみ合わせの異常を診断するための検査にはどのようなものがあるのか、そして、どのような治療が行われるのか、口の問題の明視化をめざす同院で、かみ合わせ治療についてレポートした。
(取材日2024年4月13日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q機能的不正咬合の症状について教えてください。
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A
頭痛や肩凝り、よくかんでいる側の歯が割れる、よく使っている側が筋肉痛になるなどの症状が現れます。筋肉痛に伴いえらが張ってくることもありますね。かみ合わせが悪いと食べ物をしっかり砕けないため、胃腸障害や、咀嚼できないことで食事が取れなくなり低栄養に陥ることもあります。歯は単体で捉えられがちですが、体全体はつながっていますから、全身的なところに関わってきます。また、顔のゆがみは結構わかりやすい症状の一つで、生活習慣を是正することで筋肉のハリが変化することもあります。口腔機能低下症は保険適用で、かみ合わせ治療も保険で行うことができますから、早めの検査と治療をお勧めします。
- Q受診すべきタイミングがあれば教えてください。
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A
例えば、一ヵ所詰め物が外れるだけで、口腔内のバランスが崩れることもあります。銀歯が外れた、詰め物が取れた、1本歯がないなどを放置しておくとゆがみも出てきますし、外れた側はかみにくくなるので、反対側でばかりかむことになり、頭が痛くなったり、側頭筋が過緊張になったりします。早期に受診するようにしましょう。口腔内全体を診ない治療では、結局同じ箇所が悪くなって再治療となり、患者さんにとっても不利益になります。遠回りになるかもしれませんが、当院では全体的に検査をして、治療計画を提案し、問題に対処して、それを繰り返さない、予防することに力を入れています。
- Q機能的不正咬合では、どのような検査を行うのですか?
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A
口腔内全体を診ることが大事なので、最初の診療では口腔内全体のエックス線撮影、歯茎の検査、かみ合わせの状態を写真撮影します。主訴に関連して咬合機能に異常があると咬合機能を調べる検査を行い、咀嚼に問題がある場合は咀嚼能力検査を行います。また、顎の運動は可視化しにくい分野なので顎運動測定を行うこともあります。奥歯までしっかりかめていないと唾液の量が少なくなり、加齢によってさらに分泌量も減るため、唾液検査を行い分泌量の増減も確認し、患者さんにお伝えしています。主訴にひもづいた必要な検査を行うことで、問題点が明確になり、適切な治療の提案が可能になります。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1初診・問診
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初診の問診では、症状や治療への要望を中心にヒアリングが行われる。全体的に治療することが予防につながることや、時間がない場合は早めに、時間に余裕があるケースではゆっくり一つずつ治療を進めていくことなど、クリニックの診療方針についても説明がある。その後、虫歯や歯周病の検査を行い、エックス線、口腔内全体、顔の写真を撮影して、かみ合わせや顎関節の状態を調べる。検査終了後、その日の検査結果の報告を受ける。
- 22回目の検査実施
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初回で全体像を把握するための基本的な検査を行い、カウンセリングで検査の報告を受けるが、さらに必要であれば別日に追加の精密検査を実施。咬合力測定器ではかむ力を測定、顎運動測定器では顎の動きを可視化する。起床時に顎の疲れや、夜の歯ぎしりから痛みを感じている場合には、マウスピース作製の提案がある。これはマウスピースを装着して生活しながら接触の確認をして症状緩和をめざす手法。
- 3咀嚼機能の観察
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必要に応じて、どちら側がかめていないかを視覚化するため、ストッピングと呼ばれる白いゴム状の物やグミをかむなどして、どこでかんでいるのか、かむ位置が安定しているかを確認。この確認は一度だけでなく治療の前後で行い、かみにくくなっていないかを確認する。また、自宅では、キャベツやハムなど、いくつかの種類の食べ物を左右それぞれどれくらいの速度で飲み込めるかを調べ、咀嚼習慣の左右差を確認。
- 4治療方針の提案を受け、治療開始
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かみ合わせ治療は、精密な診断と噛み癖や習慣を変える根本的な治療、指導を受けることが重要。歯周病は細菌感染が原因だが、かみ合わせも増悪因子の一つ。一ヵ所に強く力がかかり続けると骨が減ってしまうため、咀嚼習慣の確認をすることがある。虫歯がある場合は保険の範囲内で虫歯治療を行い、自費のインプラントやセラミックを使った治療を行う場合も。
- 5定期的なメンテナンスと再検査・診断
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メンテナンスでは歯周組織の状態を確認するとともに、詰め物やかぶせ物の状態の確認を行う。その際、銀紙を挟んで噛んでいる歯と噛んでいない歯を確認する、試験紙の引き抜きによる咬合接触の検査や、フードテストなどの咀嚼能力検査を行い問題があるか再度診断を行っている。診療のゴールは機能的な正常咬合であり、咬合機能と咀嚼能力の検査で治療効果を評価している。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/30万円〜、セラミックの修復治療/12万円