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小野 容明 院長の独自取材記事

横浜呼吸器クリニック

(横浜市神奈川区/横浜駅)

最終更新日:2021/10/12

小野容明院長 横浜呼吸器クリニック main

「働き盛りに多い病気ですから、早く治療に介入して少しでも社会に貢献したい」と睡眠時無呼吸症候群の診療について熱く語る「横浜呼吸器クリニック」の小野容明院長。大学病院で診療を行っていたが、終夜睡眠ポリグラフ検査に使える病床が少ないため、もっと多くの患者を救いたいと検査用の個室を6室備えた同院を開業した。呼吸器内科医である小野院長の専門は、睡眠時無呼吸症候群。生活習慣病との関わりが深く、社会的影響も大きい疾患なだけに、強い信念と責任感を持って日々の診療に臨んでいる。優しい気遣いと穏やかな語り口が印象的で、多くの患者に慕われていることが納得できる魅力的なドクターだ。

(取材日2020年12月11日)

睡眠時無呼吸症候群のスペシャリストとして地域に貢献

医師を志したきっかけ、呼吸器を専門に選んだ理由は何ですか?

小野容明院長 横浜呼吸器クリニック1

私は、羽田の醤油醸造元の5代目なんです。子どもの頃の羽田は漁師町で、うちの隣にはアサリ屋、シャコ屋、のり屋などが並んでいました。そんな中10歳の時に父が破傷風で突然亡くなったことが記憶に強く残り、いつしか医師をめざすようになりました。呼吸器科に興味を持ったのは、研修で尊敬できる先生方に出会ったからです。実は当時、実家の手伝いもしていたので、多忙な臨床ではなく病理学の研究に進むことも考えていました。しかし尊敬できる恩師のもと、肺がんや呼吸不全など困難な病気に立ち向かう患者さんの姿を間近に見て、次第に臨床研究に魅力を感じるようになり、呼吸器内科を選択したのです。その後は大学病院に勤務し、横浜市立市民病院や国立がんセンターへの出向、ペンシルべニア大学への留学を経て再び大学に戻り、睡眠時無呼吸症候群の臨床研究に従事しました。

睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気ですか?

舌根(舌の根元)の沈下、肥満、副鼻腔炎などの原因で、喉がふさがり、いびきが発生し無呼吸となる病気です。睡眠中に頻繁に呼吸が停止するため熟睡できず、日中、突然眠ってしまい、交通事故の原因となることで知られるようになりました。患者さんは400万人以上ともいわれるほど多いのに、自覚症状がないため放置している人が多く、ご家族などからいびきや無呼吸の指摘を受けてやっと検査を受ける人が多いのが現状です。男性に多い病気ですが、女性も閉経年齢からだんだん増えてきます。また、生活習慣病との関わりが深く、睡眠時無呼吸症候群を治療せずに放置していると、脳血管障害や心筋梗塞といった命に関わる重篤な病気につながるリスクが高くなります。

開業に至った経緯や、開業の際にこだわった点を教えてください。

小野容明院長 横浜呼吸器クリニック2

睡眠時無呼吸症候群の治療には終夜睡眠ポリグラフ検査が必要ですが、大学ではベッド数が限られ、週に2例しか診ることができませんでした。患者さんは多いので、もっと効率良く診療をするためには自分で専門的なクリニックを立ち上げるしかないと思ったのです。ですから、このクリニックには検査用の個室を6室設け、検査技師も6人確保し、これまで数多くの患者さんの診断を行ってきました。また患者さんのほとんどが40代50代の多忙な方々ですから、神奈川で開業するならば利便性の良い横浜駅周辺と考えていたのでこの場所を選びました。院内は、クリニックというより、眠っていただくために適した環境ということをコンセプトに、内装や設備も整えてあります。

睡眠時無呼吸症候群の専門的な診療を提供

クリニックの特徴を教えてください。

小野容明院長 横浜呼吸器クリニック3

7割以上は睡眠時無呼吸症候群、あとは気管支喘息やCOPDの患者さんです。ポリグラフ検査は、当初は週4日行っていましたが、ちょっと体に堪えるようになり、今は週2回行っています。昼間の診療を済ませてから、夜間に技師と交代で仮眠を取りながら患者さんを見守りますので、結構大変なんです。幸い、最近は昭和大学や聖マリアンナ医科大学の若い先生方がこの治療に興味を持ち、手伝ってくれるようになり助かっています。このほか、当院で診断した後、地域のクリニックで治療を受けていただく診診連携も積極的に行っています。

睡眠時無呼吸症候群の診療に関し、専門家として課題を感じていらっしゃるそうですね。

睡眠時無呼吸症候群は、呼吸器内科の中でもマイナーな分野で、ようやく専門家が増えてはきたものの、有床医院の数は少なく、専門に診ている医療機関もわずかしかありません。交通や運輸に携わる企業では従業員に簡易検査を行ってスクリーニングをするところが増えていますが、中小企業はまだ取り組みが遅れています。睡眠時無呼吸症候群は突然死の一因にもなり得ますので、救急医療に携わる方々にも詳しく知っておいてほしい病気です。それもあって、横浜市からの依頼で各区の消防署の救急救命士や職員の方たちに睡眠時無呼吸症候群の講演を行っています。横浜市以外の自治体でもこのように病気への理解を広めていってもらえるといいですね。

ほかの呼吸器疾患には、どのような特徴があるのでしょう。

小野容明院長 横浜呼吸器クリニック4

COPDと気管支喘息も高齢化に伴って増えていますね。今は喫煙率が低くなってきましたが、COPDはかつて喫煙していた方が50代60代になって発症することも多いんです。肺機能検査で早期にわかるようになり、早く治療を受けると進行の抑制も期待できます。逆に放置して進行すると在宅酸素療法となり、患者さんやご家族の負担も大きく、莫大な医療費がかかりますから、早期発見、早期治療を広めていきたいですね。気管支喘息については、今は薬も進歩し、外来でコントロールできるようになってきました。以前のような煤煙や排気ガスといった大気汚染が改善される一方で、PM2.5など深刻な問題もありますから、引き続き注目していきたいです。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんには、日中のパフォーマンスの低下に悩まれる方が多いとか。

そうですね。睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、会議や商談の時に眠ってしまい、失態を演じた経験のある方が多いんです。なので「治療を受けるようになって、仕事がうまくいくようになった」と喜んでいただけたら私もうれしいですね。日本の生産性という点から考えると、最も重要な世代に多い疾病ですから、そういったお声を聞くことが、やりがいにつながるんです。

後進の育成にも取り組み、専門的な診療の普及をめざす

お休みの日の過ごし方や、健康法について教えてください。

小野容明院長 横浜呼吸器クリニック5

休診日は、ここで原稿の執筆や発表用のスライド作成、紹介状や報告書を書く仕事に集中しています。医院などからの紹介が多く、また企業に治療報告をする場合も多いので書類がとても多いのです。日曜は妻のお供で買い物などに付き合っています。50歳まではゴルフを楽しんでいましたが、今は妻と散歩したり、おいしいものをいただいたりすることが楽しいですね。食生活はとても大切で、味覚を共有することも重要だと思っていますので、妻にプロの味を勉強してもらって、家でもおいしい食事を作ってもらおうと思っています(笑)。健康法はやはり睡眠をきちんととることですね。

今後、取り組みたいことはありますか?

後進の育成が大きな課題だと考えています。睡眠時無呼吸症候群は、まだまだ患者さんが多く、しかも治療を導入すれば患者さんがハッピーになれる魅力のある分野です。これからは若いドクターたちにも積極的に取り組んでほしいので、当院のような施設を増やすお手伝いができればと思っています。また、自分では取り組めないのですが、在宅医療のさらなる普及も期待したいですね。ますます高齢者が増えるのに病院のベッド数は限られていますから、COPDの患者さんを含めてこれからは在宅医療が重要になってくると思います。私自身も65歳になったら、自宅の近くで在宅医療をしてくれる信頼できる先生を探してお世話になろうと決めているんですよ。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小野容明院長 横浜呼吸器クリニック6

睡眠時無呼吸症候群の患者さんの多くは自覚症状がなく、奥さんなどパートナーに勧められて受診されます。もしご家族が、寝ている時に大きないびきをかいて、パッと止まってまたいびきをかくというような呼吸をされていたら、ぜひ呼吸器科の受診を勧めてください。また、女性の場合も男性と同じように睡眠時無呼吸症候群になる可能性があります。よく寝ているはずなのに寝起きに頭が痛い、全身がだるいという症状があったり、いびきを指摘されたりした場合は、睡眠時無呼吸症候群を疑ってください。軽症のうちであれば、マウスピース型器具を使った簡単な治療法もあります。気になることがあったらぜひ呼吸器科を受診してください。

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