小野 容明 院長、小野 容岳 副院長の独自取材記事
横浜呼吸器クリニック
(横浜市神奈川区/横浜駅)
最終更新日:2026/02/24
横浜駅西口から程近いビル2階、都会の喧騒を忘れる落ち着いた空間が広がる「横浜呼吸器クリニック」。睡眠時無呼吸症候群(SAS)やナルコレプシーといった睡眠関連疾患を診療する、睡眠医療に特化したクリニックだ。「働き盛りに多い病気ですから、早く治療に介入して少しでも社会に貢献したい」と話す小野容明(おの・よしあき)院長が、2002年に6床の検査用個室を備えた有床診療所として立ち上げた。現在は息子の小野容岳(おの・よしたか)先生も副院長として診療に加わり、働き盛りの世代へのアプローチにも注力。「睡眠時無呼吸症候群は軽視されがちですが、決して軽く見ていい病気ではありません」と異口同音に語る2人のドクターに、詳しく話を聞いた。
(取材日2025年12月26日)
睡眠時無呼吸症候群を軸に、専門的な診療を展開
クリニックの成り立ちと特徴を教えてください。

【容明院長】睡眠時無呼吸症候群を中心とした睡眠関連疾患と、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患を専門的に診療するクリニックです。大学病院で終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)に使える病床は限られ、そうした状況を打破したいと立ち上げました。そのため、検査のための個室が6床ある有床診療所であることが特徴です。メディアの影響もあって睡眠時無呼吸症候群の認知は広がってきましたが、検査や治療を受けられる医療機関が限られていることはいまだ課題です。当初は週4日検査日を設けて対応していましたが、自宅簡易検査の診断能力が向上したことも受け、現在は週1日1泊入院での検査を実施しています。
【容岳副院長】私は5〜6年前から当院での診療に加わるようになり、現在は平日週1回と月に1回土曜日の外来を担当しています。
睡眠時無呼吸症候群とは、どのような病気なのでしょうか。
【容明院長】舌根沈下、肥満、扁桃肥大などの原因で喉がふさがり、睡眠時にいびきが発生して無呼吸となる病気です。自覚症状がないため放置して、ご家族などからの指摘でやっと受診する人が後を絶ちません。生活習慣病との関わりが深く、治療せずに放置していると、脳血管障害や心筋梗塞といった命に関わる重篤な病気につながるリスクが高まります。
【容岳副院長】働く人の健康相談にも従事しているのですが、睡眠の問題が業務上の事故やパフォーマンス低下に直結することを実感しています。睡眠の質が下がると、集中力や判断力に確実に影響が出てくるのです。そうした意味で、睡眠時無呼吸症候群は社会的インパクトも大きい病気なのです。
社会的な影響も大きいのですね。

【容明院長】そうですね。睡眠時無呼吸症候群は働き盛り世代に多い病気です。睡眠中に頻繁に呼吸が停止するため熟睡できず、日中に突然眠ってしまうことが交通事故の原因となることで、広く世間に知られるようになりました。
【容岳副院長】さまざまな病気の根源的な理由として睡眠時無呼吸症候群があることは、昔からいわれてきました。大学病院でも、重篤な病気の患者を調べると睡眠時無呼吸症候群が見つかるケースが多くあり、睡眠時無呼吸症候群の早期治療で重大疾患のリスクの低下につなげられる研究データも出ています。早期介入により、本人の人生はもちろん、所属企業や自治体、ひいては社会全体を大きく変えることが望めます。
忙しい働き盛り世代もかかり続けられることを大切に
働き盛り世代へのアプローチが重要ですね。

【容岳副院長】私も大学病院時代には多忙な勤務を経験し、働く人の健康相談中にも大変な働き方をしている方を目にします。そうした状況にある方が、ようやく確保できた時間を通院に費やすのはもったいないと感じるのも無理はないと思い、オンライン診療を開始しました。場所を選ばず隙間時間で受診できるので、空いた時間を家族と過ごしたり、趣味や息抜きに充てたりすることが可能となるでしょう。また、企業や自治体向けに啓発を進める講演活動にも取り組んでいます。講演会を開催した地域の医療機関では、一時的に20代、30代といった世代からの睡眠についての相談が増えるとのお声をいただくこともあり、こうした活動にもやりがいを感じています。
【容明院長】国の生産性の観点でも最も重要な世代に多い疾病ですから、「治療が仕事へのいい影響にもつながった」のお声をやりがいに診療に取り組みたいと思っています。
診療はどのように進めますか。
【容岳副院長】まずは問診で自覚症状や睡眠を軸とした生活状況などを伺い、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合はスクリーニングとして在宅検査を受けていただきます。自宅で簡易検査装置を装着してお眠りいただき、睡眠中の呼吸状態や酸素レベルなどを測る検査です。より精密な検査が必要となれば、1泊入院での終夜睡眠ポリグラフ検査を受けていただきます。当院では毎週火曜が検査日で、夕方来院して朝まで検査を受けたら、そのまま出勤することも可能な体制です。睡眠時無呼吸症候群の治療は持続陽圧呼吸療法(CPAP)が中心です。一部、歯科でマウスピースしてもらう治療をお勧めするケースもあります。当院には睡眠を専門とする医師に加えて、睡眠を専門とする看護師と検査技師も常勤し、検査も治療も精密に行えることが強みです。
ほかの呼吸器疾患についても教えていただけますか。

【容明院長】慢性閉塞性肺疾患と気管支喘息も高齢化に伴って増えていますね。今は喫煙率が低くなってきましたが、慢性閉塞性肺疾患はかつて喫煙していた方が50代、60代になって発症することも多いんです。肺機能検査で早期にわかるようになり、早く治療を受けると進行の抑制も期待できます。逆に放置して進行すると在宅酸素療法が必要となり、患者さんやご家族の負担も大きく、莫大な医療費がかかります。早期発見、早期治療を広めていきたいですね。気管支喘息については、今は薬も進歩し、外来診療でコントロールが図れるようになってきました。以前のような煤煙や排気ガスといった大気汚染が改善される一方で、PM2.5など深刻な問題もありますから、引き続き注目していきたいです。
後進育成に取り組み、スペシャリストとして地域に貢献
専門家の立場から、良い睡眠へのアドバイスをお願いします。

【容明院長】7時間睡眠です。起床時間は固定して、私の場合なら23時に寝て6時に起きるといったように、7時間を意識して床につきます。ただし、年を重ねるとともに、眠りにくくなるのは事実。私も3時頃に目が覚めてしまうことはあります。大切なのはレム睡眠とノンレム睡眠のバランスですので、睡眠時間のハードルを下げることも必要でしょう。
【容岳副院長】わが家では夕食後、リビングの照明を間接照明にしています。寝室を暗くするのは当たり前ですが、その前の時間を過ごす空間も煌々と明るいのはNG。明かりのコントロールを心がけると、元気いっぱいの子どもたちもだんだん動きがゆっくりになり、スムーズに眠りにつけるようです。
今後の展望を教えてください。
【容明院長】これ以上クリニックを大きくしたいなどとは考えておらず、今の診療を続けていければと思います。幸い、当院には睡眠時無呼吸症候群の診療に興味を持つ若いドクターや看護師、検査技師が集まってくれているので、今後も彼らの知識と技術の習得を後押ししていきたいですね。
【容岳副院長】地域の先生方にここなら任せられるとご信頼いただけるよう、診療の質を保ち、さらに向上していきたいと思います。また、働く人たちにアプローチする活動もさらに充実させていければと考えています。
ひと言メッセージをお願いします。

【容明院長】たかがいびき、されどいびき。睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、無治療ではおよそ8年も平均寿命が短くなるというデータもあります。ご自身の命を守るためにも、気がかりがあればぜひ呼吸器内科を受診してください。
【容岳副院長】「医学的な正しさを患者さんに押しつけない」というのが私の考え。それぞれに人生があり、どう生きたいか、どう働きたいかを伺いながら、その方にとっての最適解を探すのが医師の役目だと考えています。睡眠は医療においてマイナー分野かもしれませんが、脳や肺、心臓など、さまざまな臓器が関わる生理的現象。人が生きていく中でとても大切なものです。日中の眠気は睡眠不足のサインですし、放置していいいびきは基本的にないと考えています。「おや?」と思うことがあれば、気軽にご相談ください。

