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今井 勝 院長の独自取材記事

今井医院

(横浜市神奈川区/神奈川駅)

最終更新日:2021/12/17

今井勝院長 今井医院 main

京浜急行神奈川駅すぐそばの、宮前商店街へ入って徒歩3分。源頼朝が建立したとされる州崎大神の横にある、緑とグレーのモダンな建物が「今井医院」だ。今井医院は横浜駅からも徒歩圏内で、旧東海道の神奈川宿として、また横浜開港時には船着場としても栄えた歴史ある街。1921年開業の今井医院も、90年もの間、地域医療を支えてきた由緒あるクリニック。現在は4代目となる今井勝院長が診療をしている。ダンディーな外見からは意外な、気さくな語り口の今井院長に、診療方針やクリニックの雰囲気、診療以外の素顔について話を聞いた。

(記事更新日2021年12月10日)

内視鏡検査と禁煙治療を軸に顔の見える診療を

診療方針について教えてください。

今井勝院長 今井医院1

おそらく神奈川区でも特に長い歴史を持つ医院として、また生まれ育った者として、地域に密着した「顔の見える」診療を行いたいと考えています。かかりつけの患者さんの高齢化に伴い、父の代から訪問診療を始めました。基本的にお昼の休診時間中、徒歩か車で毎日行っています。また、高齢になる方も増えるため、泌尿器科も設置しました。気軽に通いやすい立地と雰囲気のクリニックなので、地域貢献の一環になればいいなと思っています。現在は週に1回、鶴見にある済生会横浜市東部病院から知り合いのドクターを2人呼んで診療してもらっています。ちなみに「顔の見える」診療というのは、かつてのドラマで主人公が語っていた「顔の見える」農業がヒントになっています(笑)。つまり、ただただ大勢の患者さんを診るというよりも、かかりつけ医として一人でも多くの患者さんと信頼関係を結んでいきたいと思っています。

特に力を入れている治療はありますか?

内視鏡検査と禁煙の外来です。内視鏡検査については、がん診療連携拠点である相模原協同病院で、2年間にわたって多数の検査・治療の経験を積みました。当院では経口内視鏡を採用しています。経口内視鏡は大きい分飲みこむのは大変ですが、画質の面で安心感があります。それに、検査でのつらい思いは、普段からの健康管理にも役立つかもしれませんね(笑)。禁煙の外来では、保険が適用される薬を処方し、実は、私自身も禁煙しました。あくまで禁煙補助剤なので、これを服用すれば誰でも必ずタバコをやめられるというわけではありませんが、禁煙のきっかけとしては有用だと感じています。こちらは近くにお住まいの方だけでなく、近隣にお勤めのビジネスマンも来院されますね。同じ禁煙経験者として、ざっくばらんに悩みを共有できればと思います。

気さくなお人柄なので、患者側としても話しやすそうですね。

今井勝院長 今井医院2

確かに飾り気はないですが、なるべく丁寧に接し、お話をよく聞くように心がけています。最近は、インターネットなどで事前に勉強されている患者さんも多く、特定の治療法や内服薬を希望して来院されることもありますが、必ずしも期待どおりになるわけではありません。医療は決して単なるサービス業ではないと思いますし、病状や治療の可能性をきちんと説明し、お互いに同意した上で治療を進めていきたいと考えています。それでも、普段はあまり白衣を着ませんし、夏場はほぼTシャツで診察しているので、話しやすいといえば話しやすいでしょうね。気軽に来ていただけたらと思います。今日は取材ということで、こんな襟つきのシャツを着ていますが(笑)。いつも来ている患者さんが見たら、びっくりされそうですね。

歴史ある医院、地域に密着した医療を提供

開業の経緯について教えてください。

今井勝院長 今井医院3

1921年に曽祖父がこの地に開院し、あと少しで100周年を迎えます。祖父と父の代は外科を標榜していましたが、曽祖父が診療していたのは医師国家試験制度もない時代でした。待合室に掲げてある「鬼手仏心」という額は昔から当院にあるもので、中国に伝わる有名な言葉なんです。「鬼のように厳格な判断で手術をするが、それは患者を思う仏のような心によるものだ」という意味だそうです。私は大学卒業後、研修医期間を経て、相模原の市中病院に勤務していました。再び大学に戻ろうかという時期に、父の体調が悪くなり、急きょ、医院を引き継ぐことになりました。まだまだ開業するには早い時期だと感じていましたが、元看護師の母と二人三脚で、週2日の診療から始めました。そんな経緯から、親あっての自分だという思いが強くあり、なおさら地域への恩返しを意識しています。

歴史ある地域ですが、街の変化にはどう対応されていますか?

宮前商店街は、最近は店舗数も減り、少し寂しくなりましたね。そんな中でも、お祭りは、縁日が立ち並んで人があふれ、昔と変わらない活気があります。今までの地域の患者さんに加え、近隣のオフィスにお勤めの方、新しく建てられたマンションに引っ越してきた方が来院することも増えました。若い世代に向けて、ホームページを作りましたが、併設したブログの更新作業をなかなかまめにできていません。せっかく友人が制作してくれたホームページですし、今後は定期的な更新をめざして頑張りますので、ぜひチェックしてみてくださいね(笑)。基本的にはかかりつけの患者さんを丁寧に診ていきたいと考えているので、当院からの情報発信は現在それくらいですが、かつて来院されたカルテのある患者さんに再度来ていただけると、とてもうれしいんですよ。これからも気軽に相談できる雰囲気を守っていきたいですね。

印象深い診療経験について聞かせてください。

今井勝院長 今井医院4

不思議なことに、経過の良かった治療よりも、つらい思いをした経験のほうがよく覚えています。大規模病院に勤めている頃は、深刻な病状の患者さんに厳しい言葉をかけられることも多々ありました。また、高血圧のため受診された患者さんで、何かの虫の知らせで内視鏡検査をお勧めした方がいました。数年は血圧も安定しており、薬を服用するだけだったのですが、検査の結果、実は胃がんだということがわかったんです。早期の発見だったため、内視鏡の処置だけで全摘出は免れました。患者さんには感謝されましたし、私自身も医師として人として本当によかったと感じました。しかしながら、少しでも発見が遅れていた場合を思うと、医師という職業の恐ろしさも痛感した出来事です。

父の姿を見て憧れた医師。自然体で100周年を迎える

医師をめざした理由を教えてください。

今井勝院長 今井医院5

外科の手術をしたり、入院患者さんを診察する父の姿に、幼い頃から憧れていました。小学校低学年の頃は、手術の様子を見せてほしいといつも父に頼んでいました。当然ながら、きっぱりと断られていましたが。それでも、人間の体の仕組みにとても興味があったので、手術室の鍵穴から何とかのぞき込んでいたのを覚えています。かっこよくいえば、それが医師をめざした原点ですね。ところが、あまり勉強熱心でない学生だったせいか、医師になるまでにはそれなりの紆余曲折を経ました。それでも、医師をめざす気持ちはあったので、父も勉強をバックアップしてくれ、現在に至っているわけです。

ストレスを抱える患者の多い胃腸科。ご自身の健康法はありますか?

健康法と言えば、週に1度のジム通いくらいでしょうか。普段は、ラブラドール犬を飼っているので、毎日彼と近所を散歩しています。もう7年ほど一緒にいるんですが、彼といる時が一番癒やされる時間ですね。昔は猫派だったので、彼がうちに来た最初の10ヵ月くらいはしつけに苦労してノイローゼになりそうだったんですが、素晴らしい訓練士の方にも出会うことができ、今ではよい相棒だと勝手に思っています。あとは、年に1度だけ海外旅行に出かけることがいいリフレッシュになっていますね。旅行中は、気に入った風景の写真を撮ったり、本を読んだりして過ごします。活字中毒と言っていいくらい読書が好きなので、何冊も本を持って行って読破しています。

今後の展望についてお聞かせください。

今井勝院長 今井医院6

近隣の高齢化に対応して、訪問診療により力を入れていくことになると思いますが、これまでと変わらず、地域に密着した医療を心がけていきたいですね。開院から100周年を迎えましたが、今後も自分の仕事を全うしたいです。毎日の診療を続けていく中で、いつでも自然体であることは忘れずに、自分でこれはいいなと思える方向に少しずつでも変化していけたらいいと思っています。そんなふうに、日々診療を行うためのモチベーションを保ちつつ、今私がこの仕事をしていられることを親に感謝しながら、これからも地元の患者さんを診ていきたいです。

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