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小林 淳一 院長の独自取材記事

神奈川レディースクリニック

(横浜市神奈川区/東神奈川駅)

最終更新日:2019/08/28

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東急東横線東白楽駅とJRの東神奈川駅、京急仲木戸駅から徒歩圏内にある「神奈川レディースクリニック」。清潔で広々とした明るい待合室は、キッズルームもあり、快適に待ち時間を過ごせるようになっている。院長の小林淳一先生は、まだ日本で体外受精が行われていなかった頃から不妊治療や不育治療に取り組み、多くの女性たちの支えになってきたベテラン医師だ。朝7時から夜の11時まで、365日休まず仕事に励む小林院長。動物好きで、家に帰ればたくさんの犬に囲まれ「まるで動物王国のよう」と話し、自らを「普通のおじさんですから」と笑顔を見せる。不妊治療の歴史からクリニックの診療に至るまで、余す所なく話を聞いた。
(取材日2017年11月26日)

何もないところから、手探りでスタートした不妊治療

先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。

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私は1971年に山梨から出てきて、慶應義塾高等学校に通学するため、日吉の伯父の家に下宿していました。この辺は自転車でしょっちゅう走り回っていましたね(笑)。父は車のディーラーをやっていて、長男だった僕は、本来なら父の仕事を継ぐべきなのでしょうが、父からはひと言も継げとは言われませんでした。そのかわり、どんな職業にでも就けるよう、しっかりと成績を残しなさいと言われ、それなら、医学部に行けるくらいの成績を残そうと思ったのがきっかけです。

不妊治療に興味を持たれたのはいつですか?

私は高校の時にボートを始めて、大学まで続けていたのですが、そのボート部の顧問の先生が産婦人科の教授で不妊治療に携わっていました。その縁で、卒業後に同大学の産婦人科に入局し、不妊治療に関わるようになりました。当時、体外受精はまだ日本で行われておらず、産婦人科は、周産期医療の「出産」か婦人科の「がん」かの両極しかなく、中間のリプロダクション、すなわち不妊治療の分野すらない大学がほとんどでした。慶應義塾大学でもまだ本当に狭い分野で、何もないところからのスタートだったので、目的もゴールもわからないまま大海を泳ぐようでしたね。しかも、最初の頃の不妊治療はとても簡単だったので、まさかこんなに技術が進歩し、奥が深い分野になるとは思ってもいませんでした。

当時の不妊治療はどのように行われていたのですか?

最初は何もなかったので、培養液も全部自分たちで作っていました。粉を混ぜるので空調がつけられず、真夏のように汗だくになって作業していました。今でこそ当たり前にいる培養士も当時はいませんでしたから、何から何まで自分たちで行い、本当に大変でした。済生会神奈川県病院にいた30代の頃は、不妊治療からお産、がんの治療と全部行っていたので、これでは体が持たないと思い、新横浜母と子の病院に移って、不妊治療から出産までを担当するようになりました。でも、そこにいた6年間でも、体外受精で出産した人はわずか70人ほど。今は70人と言ったら当院の体外受精の出産数1ヵ月分なので、技術は格段に進歩しましたね。

スタッフの体制はどのようになっていますか?

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最初は8人で始めたクリニックですが、今は22人の培養士と、25人の看護師、私を含めた4人の医師、その他スタッフも含めると、総勢85人にもなります。通常、クリニックは2年でスタッフがいなくなると言われている中、オープン当初から残っているスタッフも多く、患者さんへの説明が行きわたるようにとカウンセリング部門を立ち上げたり、培養士による外来を立ち上げたりして、1つだった診察室も今は3つに増えました。

医師ひとりの力ではなく「総合力」で患者を支える

スタッフ間の情報共有はどのようにされているのでしょうか。

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月に1度、スタッフ間のミーティングを行っています。培養士も看護師も、自らいろいろな分野を勉強したり学会活動に出席したりと、積極的にレベルアップを図っていますし、培養士の中には、大学院に通っている人も何人かいます。私が医療の分野において重要だと考えるのは、「個々のスタッフがキャリアアップしながら、なんでも言える風通しのよい環境」です。例えば、患者さんについてスタッフが意見したとき、「お前にそんなことを言う資格はない」なんて言われたら、もう言えなくなってしまいますよね。そんなことのないよう、必ず思ったことを自分の言葉で言い、隠さずに報告ができる環境が、医療の現場には絶対に必要だと思っています。

クリニックの特徴をひと言で表すとしたら?

ずばり「総合力」だと思います。私はいろいろと表に出ることが多いですが、医師部門の一員に過ぎず、後ろには多くのスタッフが連携をとりながら患者さんを支えています。また、患者さんの不安や悩みを受け止めるために、スタッフそれぞれが相談窓口になっています。例えば、カウンセラーと培養士では、患者さんに同じことを話すのに違う表現になることだってあります。さまざまな分野から意見を聞くことができるので、院内でセカンドオピニオンができる感じです。不妊治療は、患者さんがいかに妊娠できる卵を排卵できるかが鍵なので、育った卵は一つも無駄にしたくないと思っています。不妊治療と併せて不育治療に力を入れているのも、当院の特徴だと思います。

設備面ではどういった特徴がありますか?

2017年からタイムラプスを用いたシステムを導入し、患者さんの胚を24時間監視できるようにしました。培養庫内にカメラが設置されていて、胚を一定間隔で24時間撮影するので、培養庫から胚を出すことなくリアルタイムで観察ができます。それにより、体内環境に合わせた温度、湿度、ガス濃度に近づけることができるので、胚にストレスがかかりにくく、撮影された画像をもとに、複数の胚から良好なものを選び出すことができます。もし途中で成長が止まってしまっても、どの時点で止まったのかが確認、分析ができるので、次回以降の培養に生かすことができます。精度の高い体外受精で、1つでも多くの正常胚を、妊娠から出産までつなげていきたいと思っています。

決して無理強いはしない、まず患者の気持ちが最優先

先生が診療中に心がけていることは何ですか?

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手際よく診療を行うことでしょうか。あまり長々と諭すのではなく、じゃあこうしようか、こうやってみようか、というように手際よく提案を出すようにしています。不妊治療の領域は、あれこれ言うよりも黙って結果を出すことが一番いいことなのです。また、「頑張る」「やめたほうがいい」という言葉は、患者さんにストレスになるので言わないようにしています。こちらからいくつかの提案をしたら、治療の選択権は患者さんにあります。いくらこちらがいいと思っても、患者さんがやりたくないと言ったら決して無理強いはしません。患者さんが少し休みたいと思ったら休んでも構いません。患者さんの気持ちを最優先にするのが、当院の考え方です。

健康維持のために、普段されていることはありますか?

毎日、患者さんの採卵を10人ほど行うのですが、手の力がとても必要で、特に左手がものすごく疲れます。そのため、毎朝2キロのバーベルを持って肩を回し、6キロ歩いて、近くの公園の鉄棒で斜め懸垂を20回行っています。クリニックに出勤したら、腕立て伏せを30回やりますし、診察室には5キロのバーベルが整理体操用に置いてあります。昼食もとりませんし365日休みません。学生時代にやっていたボートは、スタートしてからゴールまで休まないので、それが染み付いてしまっているんです(笑)。やらされているのではなく、自分からやっているので一度もつらいと思ったことはありませんし、今では周囲も心配しなくなりました(笑)。

最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

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何もないところからスタートし、30年以上、不妊症や不育症、着床不全など、さまざまなテーマの治療に取り組んでいます。医師や培養士、看護師、カウンセラーなど、クリニックのスタッフ全員が、さまざまな角度から患者さんをサポートしますので、安心して受診してください。不妊症や不育症の両方を持っている人は多いので、どんな状況なのかを理解するためにも、まず検査をして、もし体の異常が見つかったら、そこでいろいろと対策を考えていきましょう。一歩を踏み出す勇気は、ご本人同様、ご主人の協力も必要です。可能性が小さいと思っても諦めずに、当院を上手に利用して、納得した治療と満足のいく結果を手に入れてほしいと思います。

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