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松尾 憲篤 院長の独自取材記事

椿原松尾歯科

(唐津市/東唐津駅)

最終更新日:2026/10/23

松尾憲篤院長 椿原松尾歯科 main

JR筑肥線の東唐津駅から車で約4分。2023年に開設された「椿原松尾歯科」の松尾憲篤院長は、福岡歯科大学卒業後、40年以上にわたり唐津の地域歯科医療を支えてきた歯科医師だ。歯科医師会の活動に長年携わるなど地域に尽くしてきたが、65歳を迎えた時、初心に帰って一人の開業医として一からやり直したいと、前院長の厚意でこのクリニックを継承した。取材中にも患者からの電話に気さくに応じる場面があり、地域との距離の近さが自然と伝わってくる。終始にこやかに、飾らない言葉で一つ一つの質問に答える姿が印象的だ。「皆さんのおかげで大きくしてもらえた」と語る松尾院長に、診療で大切にしていることや地域医療への思いを聞いた。

(取材日2026年9月29日)

育ててもらった地域への恩返しに、初心に返る

先生のこれまでの歩みと、こちらの歯科医院を開かれた経緯を教えてください。

松尾憲篤院長 椿原松尾歯科1

1981年に福岡歯科大学を卒業し、東京・渋谷の「山田矯正歯科」の立ち上げから携わりました。その後、父が病気をしたことをきっかけに唐津へ戻り、約1年間ともに診療した後、28歳頃に父の歯科医院を引き継いで開業しました。以来40年以上、この地で歯科医療に取り組んできましたが、65歳を迎えた時、初心に帰って一人の開業医として一からやり直してみたいという思いが湧いたんです。2023年に前院長のご厚意で「椿原松尾歯科」を継承し、約1年の引き継ぎを経て開設しました。引き継ぎの中で、前の先生のもとに長年通われていた患者さんの心理にふれ、人間的な付き合いの大切さを学びました。完璧な治療ができる人間はいませんから、一人ひとりとの信頼関係を丁寧に築いていくことが何より大事だと身をもって感じました。

長年にわたり地域の歯科医療に携わってこられた原動力をお聞かせください。

原動力というと大げさに聞こえるかもしれませんが、やはり「育ったところだから」という気持ちに尽きます。この地域の皆さんのおかげで大きくしてもらった。その感謝と恩返しの思いが、すべての根っこにあります。私はいつも後輩たちに「社会人になってから歯医者さんをしなさい」と伝えてきました。歯科医師である前に一人の社会人として地域でどう生きるかを考えることが、この仕事の土台だと思うからです。歯科医師会では、学校歯科保健の推進や休日歯科診療所の設置、歯科口腔連携室の立ち上げなどに携わってきました。ただ、これは私一人の力ではありません。同じ志を持つ先生方が一緒に頑張ってくださったからこそ成り立ったことです。私だけが頑張ってきたわけじゃないんですよ。

日々の診療では、どのような患者さんと向き合っていらっしゃいますか。

松尾憲篤院長 椿原松尾歯科2

この地域は高齢の方が圧倒的に多く、歯周病ケアや定期メンテナンスで通ってくださる方が中心です。お子さんの歯並びや口腔機能が気になるというご相談もあり、矯正歯科にも対応しています。現在の診療体制は、私ともう一人の歯科医師、歯科衛生士3人、受付1人のチームです。往診は制度ができる前から約30年続けており、当院でもケアマネージャーさんと連携しながら施設や在宅の患者さんを訪問しています。田舎ですから「顔が見える診療」が自然と成り立つんですね。夜に電話がかかってくることもありますが、それもご近所付き合いのような信頼関係だと思っています。唐津市浜玉町にある本院とも連携していますので、こちらで対応が難しい場合もご相談いただければ道筋をつけられます。

「きれいとおいしいが一番」食べる喜びを守りたい

診療ではどのようなことに力を入れていらっしゃいますか。

松尾憲篤院長 椿原松尾歯科3

アポイントの7割から8割は、歯周病のケアや定期的な予防メンテナンスの患者さんで占められています。予防こそが歯科医療の柱だと考えていますので、衛生士たちと連携しながら一人ひとり丁寧にケアにあたります。矯正歯科に関しては、成長期のうちにご相談いただければ、歯並びも含めてかなりのことに対応できる時代になりました。気になったときに気軽に足を運んでいただければと思います。小さな虫歯の治療から歯周病治療まで、一般歯科としても幅広く診ています。インプラントについては、設備が整っている本院にて私が直接手術も行っています。ですので、まずは何でもお話しください。

診療を通じて患者さんに届けたいものは何でしょうか。

きれいな笑顔と、何でもおいしく食べられるお口を守ること。それが私の診療の根っこにあります。唐津は本当に食べ物に恵まれた土地で、佐賀牛に呼子のイカ、お魚もお野菜もおいしい。大切な人と一緒にご飯を食べて、おいしいねと笑い合う。その時の笑顔がやっぱり最高なんですよ。食べるということは、お口の役割の中で一番大きなものです。歯並びが多少気になっても、笑った時に歯茎から血が出ているようではいけません。均整の取れた口の機能を保つことが何より大事です。高齢の方には摂食嚥下の指導も行い、食べる力をできるだけ長く守れるようサポートします。この土地で暮らす皆さんがいくつになっても食べる喜びを感じられるように。それが「きれいとおいしいが一番」に込めた思いです。

患者さんと向き合う上で心がけていることをお聞かせください。

松尾憲篤院長 椿原松尾歯科4

「優しさ・対話・ゆとり」を日々の診療の基本姿勢としています。思いやりを持って人と向き合い、しっかり対話をする。対話がなければ、どれだけ良い治療をしようとしても患者さんには伝わりません。そしてゆとりを持つこと。患者さんの中には、こちらの提案とは違うお考えの方もいらっしゃいます。それでも「困ったらやりましょうね」と焦らず寄り添う姿勢は持っておかなければなりません。歯科医療というのは、医療というよりも生活の困り事に寄り添うものだと私は思っています。丁寧にきれいに治療することはもちろん基本ですが、それ以上に目の前の一人ひとりと誠実に向き合うことを大切にしています。認めてくださるのは関わった患者さんだけでいい。その思いはずっと変わりません。

地域医療の喜びを次の世代へ

診療を支えるスタッフさんとの関わりについて教えてください。

松尾憲篤院長 椿原松尾歯科5

歯科医療は一人ではできない仕事です。歯科衛生士がいて、受付がいて、歯科技工士がいて、多くの方の手を借りて初めて成り立ちます。その自覚を常に持っていたいと思っています。今のスタッフにはものすごく感謝しています。本当に良いメンバーに恵まれました。一人ひとりにそれぞれの生活がありますから、ライフステージに合わせた働き方を尊重することも大切にしています。月1回の院内勉強会を行っていますし、外部講習への参加は交通費も含め全面的に後押ししています。本院と同様の院内研修制度も活用できます。人を育てるには時間がかかるものです。すぐに結果を求めるのではなく、じっくり向き合いながら少しずつ一緒に成長していければと考えています。

これからの歯科医療を担う若い先生方に伝えたいことはありますか。

まずお伝えしたいのは、自分をよく知ってほしいということです。どんな歯科医師として生きていきたいのかをしっかり考え、行動してほしい。開業だから良い、勤務だから楽ということはなく、自分らしい歩み方を見つけることが大切です。地域医療には「人の役に立ちたい、役に立ててうれしい」という気持ちが欠かせません。田舎だからこそ、先輩方から受け継がれてきた地域の歯科医療とは何かを肌で感じることができます。さまざまな患者さんと出会い、距離の近い環境で成長できる場所です。唐津は子育てや教育環境にも恵まれた暮らしやすい地域です。難しいことも多いですが、でも楽しいですよ。

最後に、患者さんへメッセージをお願いします。

松尾憲篤院長 椿原松尾歯科6

やはり一番大切なのは予防です。歯を失ってから後悔するのではなく、日頃からお口の健康に気を配っていただきたいと思います。今さら聞けない歯磨きの仕方や、ずっと気になっていたけれど相談できなかったこと。些細なことでもどうぞ気軽にお話しください。お子さんの歯並びについても、成長期のうちにご相談いただければ対応できることがたくさんあります。ご自身に合った治療について、お尋ねいただければ提案ができます。一方的に治療を進めるのではなく、一緒に考えていくことを大切にしています。虫歯がほとんどない、みんなが笑顔で暮らせる地域に少しでも役立てるよう頑張りたい。それが「椿原松尾歯科」の願いであり、私自身の願いでもあります。