中原 恭子 院長の独自取材記事
女性クリニック ラポール
(広島市中区/市役所前駅)
最終更新日:2022/03/02

広電1号線・市役所前駅から徒歩5分の好立地に「女性クリニック ラポール」はある。院長を務めるのは、日本産科婦人科学会産婦人科専門医の資格を持つ中原恭子先生。クリニック名である「ラポール」はフランス語で「患者と医師の信頼関係を築く」という意味を持っていて、患者一人ひとりを大切にしてより良い信頼関係を築き、健康に導いていきたいという思いが込められている。また、同院では婦人科のほかに漢方内科も診療。中原院長は日本東洋医学会漢方専門医の資格も有し、西洋医学ではなかなか改善しない幅広い悩みに対し、漢方薬を併用することで全身の状態を整えることや、悩みの解決へつなげていく。患者一人ひとりに丁寧に寄り添いながら健康に導くことへ注力する中原院長に、診療に対する思いを聞いた。
(取材日2021年12月15日)
思春期から更年期、老年期まで女性の一生を見守りたい
まず、先生が医師を志したきっかけを教えていただけますか?

今から40年以上も前の私が学生だった頃は、女子で勉強が得意というと、医学部への進学を勧められることが多く、恥ずかしい話ですけれど、私自身も最初は特に何か信念があったわけではなく、勧められたままに医学部に入りました。その後、医学部での6年間でいろいろな方との関わりを通して育てていただき、少しずつ医師としての使命を感じるようになっていったという感じです。とはいえ、当時は女性医師というのは全体の1割程度しかいなかったので、医師になってからも「女には診てもらいたくない、主治医を変えてほしい」と言われることも多く、いろいろと悔しい思いをすることもあったんですよ。
さまざまな診療科の中でも、産婦人科を選んだのはなぜですか?
私が医学部にいた当時は、医学部の最後の2年間で診療科をローテーションしながら勉強をするのですが、いろいろな診療科の中でも同じ女性ということもあって、産婦人科に惹かれました。産婦人科はほかの診療科と比べて少し特殊で、命の誕生というお産も扱えば、婦人科では病気の治療もします。思春期から20代、30代、更年期、そして老年期と女性の人生に長く寄り添っていくことができるということに、同じ女性として大きなやりがいを感じたのです。今は婦人科がメインで、産科については妊婦健診までしか担当していませんが、出産直前の30週くらいまでは当院で診させていただき、その後は出産のできる病院をご紹介しています。
院内の設備などでこだわっているところはありますか?

患者さんによりリラックスしていただけるように、BGMを流したりアロマを活用したりして和やかな気持ちで過ごせる雰囲気を大切にしています。特に院内は清潔感を保つように、毎日の清掃に加えて年4回は大がかりな定期掃除を行っています。6年ほど前にリフォームをしてじゅうたんの床に変えてからは、入り口で靴を脱いで入ろうとされる患者さんもいらっしゃるんですよ。開院して10年以上たっていますが、「開院して2、3年のよう」と患者さんに驚かれることもあります。
東洋医学も積極的に取り入れて、悩みの解決をめざす
患者層についてはいかがですか?

婦人科には、思春期からAYA世代と呼ばれる30歳くらいまでの方、妊娠・産後、子育て世代、更年期・老年期世代まで幅広い年代の女性が通われています。当院は漢方内科も診療していますので、そちらには女性だけでなく男性の患者さんがいらっしゃることもあります。例えば、もともと奥さんやお母さんが通っていて、その旦那さんや息子さんも来院するという感じです。ただし、女性の多い待合室で男性に待っていただくのも申し訳ないので、基本的に男性の患者さんは予約制にして来院をしていただいています。
漢方内科についてもう少し詳しく教えていただけますか?
漢方というのはとても幅広くて、小さなお子さんから世代を問わずに飲むことができます。当院の漢方内科にいらっしゃる患者さんも、婦人科系の悩みに限らず、皮膚の病気や喘息、胃カメラや大腸カメラなどでも問題がなかったのに胃腸の不調があるなど、さまざまな悩みを抱えておられます。このように、西洋医学の標準的な治療ではなかなか悩みが改善されない場合に、漢方を取り入れて全身の状態を整えることをめざすのが漢方内科です。
先生が漢方を取り入れようと思ったのはなぜですか?

西洋医学における薬というのは、症状と疾患にターゲットを定めて作用させるというのが一般的で、疾患名が同じならほぼどなたも同じような薬になります。一方漢方薬は病気病態を見越してその源に迫るので、同じような症状でもまったく異なる薬を使用することもあります。そういう部分に興味を持って、開業前に1年間、中医学を専門にする先生のもとで漢方薬について学びました。患者さんの中には、漢方は長く飲まないといけないと思っている方がとても多いのですが、実際は即効性が期待できるものもたくさんあります。保険適用のエキス剤だけでも数多くありますから、月経にまつわるさまざまな悩みや、不妊、更年期などの悩みはもちろん、西洋医学の標準的な治療ではなかなか改善されなかったお悩みがある方は、ぜひ一度相談していただきたいと思います。
傾聴・敬意の姿勢を大切にし、患者との信頼関係を築く
先生が診療の際に大切にしていることは何ですか?

当院は「傾聴・敬意・解決」の3つの柱を理念として診療を行っています。当院のクリニック名である「ラポール(Rapport)」というのは、フランス語で「患者と医師の信頼関係を築く」という意味があるのですが、患者さんの話に丁寧に耳を傾けて、医師として患者さんに敬意を払いながら、その方が抱えている悩みの解決をめざすことで、より良いラポールを築くことができると思っています。当院では、西洋医学のみならず東洋医学も活用するなど、さまざまな角度から医療のアプローチをすることで、皆さんを健康に導き日々の生活を快適に過ごしていただくことをめざしています。
お忙しい毎日だと思いますが、休みの日はどのようにお過ごしですか?
それほど趣味が多い方ではないので、ガーデニングを楽しむくらいでしょうか。今はなかなか旅行にも行けないのですが、新型コロナウイルス感染症が広まる2年前までは、子どもの学校でPTAをしていた時に仲良くなったお母さん友達と一緒に、毎年旅行を企画してずっと行っていたんですよ。子どもはもう30代ですから、20年以上続く恒例行事になっていて毎年の楽しみでした。それが今は行けなくなってしまって残念ですね。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

漢方の言葉で「未病」というものがあるのですが、「病に至らないけれど健康からは離れつつある状態」の方は実はたくさんいて、病院に来ていない人のほうが圧倒的に多いんです。ですから、まずはちょっとした不調に気づくということが大切だと思います。例えば、当院では新型コロナウイルス感染症が流行する前からオンライン診療を行っているのですが、今後もそういうものを活用して間口を広げ、クリニックに来なくてもまずは相談が気軽にできるようにしていきたいですね。例えば、健康に関する講演会などをするという方法もあると思うのですが、私は「1対多数」ではなく「1対1」で話をし、その方がどのような生活をしていて、どのような生育歴をたどってきたかを一人ひとり読み解きながら問題を見極めていくことが大切だと思っています。なかなか改善しない症状でお悩みの方はもちろん、ちょっとした不調を感じている方は、まずは一度気軽にご相談ください。