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小林 恵三 院長の独自取材記事

小林整形外科クリニック

(神戸市東灘区/甲南山手駅)

最終更新日:2019/08/28

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JR神戸線甲南山手駅の改札から山側を見渡すと、山手幹線沿いのビルに「小林整形外科クリニック」が見える。兵庫県北西部出身の小林恵三院長が、「自らの力を試したい」との思いから、縁のないこの地で開業したのが2008年。今では「ありふれた病気をきちんと治すのが使命」という患者本位の治療方針と、「足と靴の外来」など特色ある診療を求めて、多くの患者が訪れている。さらに、豊富な話題とユーモアに満ちた院長の診察や、待ち時間を極力減らす診療の流れも同クリニックの大きな魅力。今回は院長に、過剰な治療・検査に頼らない診療の意義や、医師の品格を大事にする生き方について、これまでを振り返りながらたっぷりと語ってもらった。
(取材日2019年1月31日)

日常的な症状だからこそ早く的確に治療することが大事

ご開業から11年目を迎えています。

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開業前は神戸市内から明石、加古川方面の総合病院で勤務していましたが、勤務先から患者さんを連れて開業するようなことはしたくない、また自分が裸一貫でどこまでできるのか試してみたいという思いがあり、何のつながりもなかったこの場所で開業しました。当初は厳しい時期もありましたが、患者さんが次第に来てくださるようになり、今は子どもから高齢者まで、幅広い年代の方が受診されています。午前中はご高齢の方が多く、午後はお子さんや仕事帰り、学校帰りの世代が中心ですね。ケガで受診している小学生であれば、診療前の時間に来てもらって消毒をして、1時間目に間に合うように送り出すこともありますよ。

診療内容をご紹介ください。

膝や腰の痛み、肩凝り、外傷の応急処置、あるいはスポーツ障害や骨粗しょう症など、日常的な整形外科疾患が中心です。どれもありふれた病気ですが、だからこそきちんと治療したい分野です。野球チームの勝利には、年に数回のファインプレーよりも凡ミスのない日々のプレーが欠かせません。医療も同じで、日常的な病気をサラッと確実に治療できるのが、能力のある医師だと考えています。一方で、義肢装具士が靴のインソール(中敷き)に関するカウンセリングや作成・調整を行う「足と靴の外来」や、睡眠中の姿勢に関わる枕をオーダーメイドで作成する「枕の外来」、線維筋痛症の診療など、特色のある診療も行っています。患者さんの健康を維持し病気を予防するという観点から、良いものは見極めて取り入れ、時には専門家と協力しながら提供していく、これが患者さん本位の診療です。特に枕や靴は、日々通いやすいクリニックでこそ相談する意義も大きいですよね。

「患者さん本位の診療」で、最も大事にしていることを教えてください。

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「過剰な検査や治療はしない」ことです。例えば膝の前十字靱帯を切った可能性がある場合、例えばスポーツ選手ならMRIで確定診断をつけて手術を行うのが一般的ですが、ママさんバレーを楽しむ女性なら、入院やリハビリテーションのデメリットを考慮すると保存的な治療を選びます。ならば、MRIの必要性は高くないのです。われわれは知識や経験から症状を判断し、その検査がクリニックでの治療に直結するかどうかを考慮した上で、検査するかどうかを決めなければなりません。逆に、より専門的な治療が必要だと判断したら、自分で治療し続けるのではなく適切な医療機関に紹介できるのが、「良医」であると考えています。医師は、つい自分で治療したいと思いがちですが、時には脇役に徹することも必要なんです。

患者の目線を常に持ち続ける

靴の中敷きや枕の相談に対応するなど、予防的なアプローチにも力を入れるのはなぜですか?

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「治療して収入を得る」のが医師だとすれば、予防に取り組むのは医師の利益に反する、と捉える見方もあります。けれども、志のある医師は世の中に患者が増えることを望んではいません。利益を優先して病気という不幸が増えることを黙認してはいけない、そう考えています。さらに超高齢社会となった今、かかりつけクリニックの医師は、患者さんの健康全般をコーディネートする役割も求められていると思うのです。予防的なアプローチも、その一つですよね。症状を悪化させて治療を繰り返すより、転倒を防ぐため足に合った靴や、肩凝りをこれ以上ひどくしないためにオーダーメイドの枕を紹介する、こういった取り組みで、治療を必要としない状態を維持することができれば、患者さんには理想的でしょう。医師になってからずいぶん時間がたちましたが、どんなことに対しても「自分が患者であったなら、何を望むのだろう」と思い巡らすよう心がけています。

患者目線に立った診療では、スタッフさんの臨機応変な対応も重要ですね。

患者さんの待ち時間をできるだけ短くしたいので、私もスタッフも、診療やリハビリテーションが効率良く進むよう常に考えながらご案内しています。ありがたいことに、当クリニックのスタッフは最善の流れや対応を自発的に考えて動いてくれるんです。また、チームとして動いていますので、例えばご家族の病気で急に休むスタッフがいても、ほかのメンバーで補い合えます。私も、院内の業務はほぼできるんですよ。働き方改革の時代ですから、患者さんが治療や予防のために仕事を休める世の中であってほしいですし、スタッフも休みを取りやすい職場でありたいと思っています。

先生はクリニックの取り組みなどの情報発信を盛んにされていますね。

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こう見えて、実は社交的な性格ではないんです。待合室では患者さんとリラックスしてお話ししますが、もし院外で偶然お会いしたら、どぎまぎしていつもと同じようにはお話しできないかも(笑)。そんな私でも、ホームページなどの媒体を使って情報を発信することはできます。私が情報発信に注力するのは、1つには、整形外科疾患について大勢の方に正しく理解をしてほしいから。もう1つは、クリニックでの取り組みを知ってもらった上で、「このクリニックを受診したい、この医師の治療を受けたい」と思った患者さんに来ていただきたいからです。美容院や飲食店でも、初めて行く時にはちょっと緊張しますよね。医療機関ならもっとでしょう。でも、あらかじめ当院のことを知ってもらって「この先生となら合いそうだな」と思った方に来てもらえれば、お互いに得るものはより大きいと思います。患者さんの判断材料になればという気持ちですね。

自分を信じて努力を重ねる「品格」を大切に

常に目標を掲げて意欲的に取り組まれてきたそのパワーの源を教えてください。

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子どもの頃から負けず嫌いな性格で、運動も勉強も活躍できるほうだったのですが、融通の利くタイプではなかった私は、中途半端な気持ちで自分の進路を決められず、大学受験を目前に苦悩と葛藤の日々を過ごしていました。自分が医師になって、病気だった兄や多くの人たちを救いたいという気持ちとは別に、「救えない命を前にしたときに、亡くなった患者さんのことを引きずって、気持ちを切り替えられないのではないか?」といった不安があり、覚悟ができずにいたのです。別の業界に進むことも考えました。光が当たる部分だけでなく、医療の影の部分まで受け入れられるかどうか自答自問を繰り返し、明確な答えを出すのに3年の時間がかかりました。そこで回り道をしたことは、私の医師人生の大きな支えになっています。その後、迷いなく医学の道に突き進むことができ、現在もその頃の強い気持ちは変わらず、日々診療に向き合っています。

では今、先生にとって「医師」とはどのようなお仕事でしょうか。

主治医として、あるいは時にはサポートする立場に回りながら、困っている目の前の患者さんを助ける、という当たり前のことを続けていく仕事です。そのためには変化に対応する力量や、挑戦し続ける姿勢が欠かせません。また、医師は社会的な影響力の大きい立場でもあります。患者さんは、院外でお会いしても私のことを医師として認識されますよね。だから、世の中のメリットになる取り組みに努めなければなりませんし、いつも「地域の公人」であるという意識をもち、品格のある生き方をしたいと思っています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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開業医の成功の定義は、患者さんに支持されて、一つの場所で20年程度は診療を続けることだと考えています。そういう意味ではまだまだ道半ばですので、まずはあと10年、頑張りたいですね。そしてそういう私の姿を見て、格好良い生き方だと共感し、医学の道に進んでくれる若者が10人いてくれたら、最高だと思っています。

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