杉山 榮一 院長の独自取材記事
杉山歯科
(上尾市/上尾駅)
最終更新日:2025/01/15

上尾駅から歩いておよそ14分の住宅街にある「杉山歯科」。東京医科歯科大学および同大学院で歯科保存学を学んだ院長の杉山榮一先生が、妻の杉山泰代先生とともに地域に根差した診療を続けている。歯周病治療を中心に一般歯科全般を担当する杉山院長と、主に小児歯科・矯正歯科を担当する泰代先生は、患者自身の歯を残すことを大切にしながら、患者の話に耳を傾けて適切な治療を行えるよう努めているという。昼間は忙しく通院しにくい人のために、平日・土曜夜は20時まで、日曜も13時まで診療している。2023年には「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」となり、口腔管理のための診療を受けやすい体制が整った。「歯周病や虫歯の治療が終わった後も継続的な管理が大事」と話す杉山院長に、クリニックの診療について詳しく話を聞いた。
(取材日2024年9月26日)
歯周病治療とその後の管理継続のための啓発も重視
どのような患者さんが多く受診していますか?

受診される患者さんは近隣の方が中心です。小さなお子さんから会社勤めの方、ご高齢の方まで幅広い年齢層の方が来られますが、地域柄、ご高齢の方が多い傾向があります。平日、土曜日の夜は20時まで、日曜日も13時まで診療しているので、お仕事帰りの方や平日は来られない少し遠くにお住まいの方などもいらっしゃいます。開業して20年目を迎えますが、長く通ってくださっている患者さんも多いですね。主訴はさまざまで、歯周病や虫歯、義歯、インプラント治療などの一般的な歯科診療に加え、矯正歯科や審美歯科にも対応しています。私が歯周病治療を中心に一般歯科全般を診て、妻が小児歯科と矯正歯科を担当しています。
先生が診療において大事にされていることを教えてください。
当院では、「生活習慣の改善」「フッ素塗布」「患者さん自身で行うブラッシング」「経過観察」の4つをモットーとし、それらを「すぎやまクローバー」と呼んでいます。四つ葉のクローバーの緑は当院のイメージカラーでもあります。この4つのモットーを基本に、80歳で20本の歯を残すことをめざして診療にあたっています。特別なことではありませんが、忙しい毎日の中で難しいと感じる人も多いようで、スタッフとも協力しながらサポートに尽力しています。また、できる限り患者さんの希望に沿って治療方針を立てることも心がけていますね。お仕事が忙しい方などに、「1回で治療を終わらせてほしい」と希望されることも少なくありません。基本的には時間をかけて、また継続的に経過観察していくことが理想ですが、患者さんそれぞれで事情もあると思いますので、「何が患者さんのためになるか」を日々考えながら治療方針を検討しています。
歯周病の治療に特に力を入れているとお聞きしました。

はい。歯科では虫歯と歯周病が二大疾患とされていますが、歯周病は虫歯と違って痛みなどの自覚症状が乏しいこともあり、気づいた時にはかなり進行していることもあります。「歯を失う原因の第一位」といわれるのはそのせいです。歯周病は治療が終わった後も、患者さん自身が丁寧なブラッシングを続け、定期的に検診を受けることが大切です。歯周病は高血圧症や動脈硬化などと同じ慢性疾患であり、「経過観察のない歯周病治療はありえない」と考えていただきたいのです。また、普段の食事や歯磨き、喫煙、ストレスなど生活習慣とも密接に関わる病気のため、それを理解していただくための啓発も重要だと考えています。患者さんにも常日頃そういったお話をしていますし、患者さんに参考にしていただけるよう、当院のホームページでも歯周病とその治療についての解説をしています。
歯を残すことを大切に考え、通院しやすい環境を整える
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所とは何ですか?

厚生労働省によって定められた歯科医院の施設基準の一つで、今は「口腔管理体制強化加算」という名称に変わった制度です。治療だけでなく、虫歯や歯周病の予防や口腔機能の維持・回復を目的とした診療を積極的に行う歯科医院に向けたものです。私たちは地域の方々のかかりつけ歯科医院として、開業以来ずっと「継続的な口腔管理をしない歯周病治療はない」という信条で、スタッフと協力しながら定期的な経過観察を継続することに力を入れてきました。そして昨年、施設基準も満たすことができました。基準を満たせたことで健康保険の適用範囲が広がり、そういう意味でも患者さんにとってより受診していただきやすい環境が整ったと思っています。
歯を残すことを大切に考えているのですね。
大学時代の専攻が歯科保存学だったこともあり、できるだけ歯を残す治療を行いたいという考えが根本にあります。技術の進歩により義歯やインプラントも良いものは出てきていますが、やはり自分の歯に勝るものはありません。年齢を重ねても、ご自分の歯で噛んでおいしく食べられれば食事が楽しくなりますし、それがひいては体の健康にもつながります。ただ、望む治療は人それぞれ異なりますので、歯科医師として歯を残すための最大限の努力をしつつ、治療の選択肢を複数用意して患者さん自身に決めていただくようにしています。患者さんが望む治療に対応できるよう、歯科用CTやデジタルマイクロスコープ、レーザーなど、適切な診断と治療に必要な機器も導入しています。特に歯科用CTは、3次元の立体断層画像で歯茎や歯を支える骨や血管、神経の状態まで確認でき、大きな病院に検査を受けに行っていただく手間を取らせず診断することが可能です。
治療や管理を継続するために気を配っていることはありますか?

歯科での経過観察は生涯にわたって続けていくものなので、患者さんとは長いお付き合いになります。それだけに、患者さんには安心して気持ち良く受診していただきたいと思い、「無理なく続けられる治療」をめざしています。金銭的な面でも不安を感じることのないように、保険診療内の治療を基本としています。ただ、歯列矯正やインプラント治療は保険外の自由診療扱いになってしまいますので、これらの治療については費用面についてもしっかりと説明を行って同意をいただくよう、わかりやすい説明を心がけています。
これからも地域住民の口腔内の健康を守り続けたい
訪問歯科診療も行っているのですか?

個人的なことになりますが、数年前に父を亡くしたことで、訪問診療の必要性を実感しました。父は歯科医師でしたが、そんな父でも外出できなくなると、次第に口腔内のケアができなくなってしまったのです。当院の患者さんにも、長年にわたって通い続けていただいていたものの、ご高齢で通院が大変になってしまった方がいらっしゃいました。高齢化が進んでいますので、今後はさらに通えなくなる患者さんが増えていくでしょう。そういう方々にもしっかり経過観察を続けていただけるよう、患者さんのご希望があれば、訪問歯科診療にも取り組んでいきたいと考えています。
お忙しいと思いますが、ご自身の楽しみや健康の秘訣はありますか?
診察が休みの火曜も予約制で根管治療を行っていて、なかなか時間が取れないのですが、もともと歴史が好きなので、時間があればお城や遺跡巡りをしたいと思っています。他にも、落語を聞きに上野の演芸場に行ったり、博物館や美術館巡りをしたり、バレエやコンサートを観に行ったりすることも好きです。また、私は開業以来、一度も体調不良で休診したことはないのですが、1年前から筋力を維持するためにスポーツジムに通っています。患者さんの健康をサポートするためには私自身が健康でいることが大切ですし、患者さんの前ではキビキビと動ける自分でいたいと思う気持ちもありますからね(笑)。それが結果的に病気予防や免疫力アップにもつながればいいなと期待しています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

開業以来、ずっと患者さんの歯と口腔内の健康を維持するために取り組んできました。これからも変わらず、歯科医師とスタッフで協力しながら、日々、目の前の患者さんの診療に精一杯向き合い、地域の皆さんがいつまでもご自身の歯で食べる楽しさを味わえるよう最大限の努力をしていきたいと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療(1本)/40万円~、部分矯正(子ども)/10万円~、ホワイトニング(上下)/2万5000円