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岸本 知弘 院長の独自取材記事

きしもと歯科医院

(京都市北区/北大路駅)

最終更新日:2025/06/27

岸本知弘院長 きしもと歯科医院 main

北大路駅から歩くこと3分ほど、北大路通りに面した場所にある「きしもと歯科医院」。かつて岸本知弘院長の祖父が内科医院を営んでいた地に、2007年開業した。岸本院長は「地域を大切にしたい」という想いを胸に、地域住民だけでなく広く国民全体に歯科の魅力を伝えるべく、診療と並行して教育や啓発にも力を入れている。2020年からは個人の健康記録を管理するPHR(パーソナルヘルスレコード)を活用した口腔健康管理を実践し、来院する人の行動変容を促進。PHRを通じて来院する人のさまざまな健康データを継続的に把握できる環境を整え、人々が健康な生活を維持するためのサポーターとして、歯科医師の職務をまっとうしたいと意気込む。そんな岸本院長に診療への想いやこだわりなどについて語ってもらった。

(取材日2025年5月28日)

デジタル健康管理と笑顔を重視する新時代の歯科診療

歯科医院とは思えない、すてきなお庭に驚きました。

岸本知弘院長 きしもと歯科医院1

来院された皆さんが喜んでくださる庭園ですが、あえて外からは見えないようにしています。来院される方のための景色といいますか、チェアに座って目にしていただくことを想定して設計しました。歯科診療の場所なのに、四季を感じられる日本庭園が広がっている、実はそのギャップが大切なんです。歯科医院というと、どうしてもネガティブなイメージを持ってしまいがちです。そこで、不安になってしまうような要素をなるべく排除したいと考えました。「歯科イコール緊張」ではなく、癒やしや心地良さを演出することで、少しでも皆さんにリラックスしていただきたい。そんな思いから、当院では「デンタル」と「リラクゼーション」の言葉をかけ合わせた「デンタリゼーション」という造語を掲げて、日々診察にあたっています。

「口腔健康管理」に注力されていると伺いました。予防歯科との違いは?

口腔健康管理は歯科診療だけでは実現できません。来院する人の生活背景や趣味嗜好も含めた包括的なアプローチが必要です。「虫歯や歯周病を予防して終わり」では十分ではありません。そうした包括的な管理を実現するために、当院ではPHRを推進しています。これは個人の健康や医療に関する情報をデジタルで一元管理・活用する仕組みで、将来的には検診情報や体重、歩数、歯磨き回数や食事など、さまざまな情報を個人の健康情報としてご自身のスマホで管理します。現代人はスマホを肌身離さず持ち歩きますので、自身の情報を常に身近に持つことができます。また専用アプリにマイナンバーカード情報を搭載すると、スマホで保険証の利用が可能になりますので、スマホ1台でより健康管理がしやすくなります。

PHRの活用は来院する人にとってどんなメリットがありますか?

岸本知弘院長 きしもと歯科医院2

来院する人の行動変容が期待できます。普段から歯の健康を意識されている人はすぐ変わりやすいですが、どのようなきっかけで変わるかは人それぞれ。その変わるきっかけの一つになればと考えています。継続的なPHRでの管理により、歯の保存、入れ歯の調整など、来院する人それぞれに適した方法を見つけ、噛む力につなげていきます。それに加え、私が重視しているのは、来院する人の笑顔を増やす手段になり得ること。口の中にマイナス意識があると、うまく笑うのが難しくなります。それを解消して、自然と笑えるようになっていただきたい、という思いで取り組んでいます。笑いは心身にとって良い影響があるといわれていますし、笑うことは口元が関わってきます。だからこそ歯科の立場からも、口腔の健康に関する啓発活動を通じて、全身の健康に貢献していくことが大切だと考えています。

歯科への理解向上に向け、教育や啓発にも注力

来院される方を診ていて感じることはありますか?

岸本知弘院長 きしもと歯科医院3

ここ京都には大勢の大学生が暮らしていますが、親元を離れると歯磨きがおろそかになり、虫歯になってしまう人がいます。お口の中を診ると、どんな生活をしているのかわかってしまうんですね。私は常々、この仕事は診療が責務ではあるものの、もっと大切なのは歯科にまつわる教育と啓発ではないかと感じています。歯の健康維持について、学校ではほとんど習いません。小学校への巡回指導はありますが、それで十分とはいえません。どこか悪くなってから受診する、という方もきっと少なくないでしょう。ですので歯科医院へ通う意味を知って、一つの習慣として定期的にお越しいただきたいのです。予防的観点からもそれは重要なことで、健康を維持していくためには必要なことと考えています。

教育が大切だということですね。

はい。お口の健康について、学校では教えてくれないことを発信していきたい。いわば教育機関でもありたいというのが、私の信条です。虫歯の状態で生えてくる歯は一本もないですし、歯周病を患った状態で生まれてくる子は一人もいません。でも虫歯になる人は国民の8割とされ、40歳以上では多くの人が歯周病になっているといわれています。これは裏を返せば、われわれの啓発不足ともいえます。後天的な疾患を、国民の大多数の人に発症させてしまっているわけですから。本来なら予防できるはずなんですよね。ということは、歯科医師として関わらなければいけない余地が、まだたくさんあるということ。虫歯治療や歯周病治療ももちろん大切ですが、その前にもっと寄り添い歩み寄る必要があるのではないか、と思うんです。病気すべてに言えることとして、重症化予防も大切ですが、発症予防はもっと大切です。

歯科以外の連携も積極的に取り組んでいると伺いました。

岸本知弘院長 きしもと歯科医院4

歯科医師会を通じ歯科医療の啓発活動を行っていますが、特に力を入れているのが歯科以外の分野との連携です。個人のクリニックだけで完結する時代ではもうありません。包括支援施設や訪問看護施設、そして生活習慣病の分野との連携を推進しています。その中でも注目しているのが、歯周病と糖尿病の相互関係です。歯周病は糖尿病の第6の合併症とされており、歯周病の状態と糖尿病の指標であるHbA1cの値が連動することがあります。このような医科歯科連携において、PHRの役割は重要です。私も血液データを参考に診療を考えることがあります。加齢は避けられませんが、変化を緩やかにし健やかに過ごせるよう支援するために、歯科以外の分野との連携は今後ますます欠かせません。

人々の生活に寄り添う歯科診療をめざして

来院される方への接遇で大切にしていることは何ですか?

岸本知弘院長 きしもと歯科医院5

お一人お一人の価値観に目を向けることですね。私は歯科医院というのは、皆さんが歯科医師と価値観を共有する場でもあると思っています。診療での説明に10分かけた場合、長くて面倒だと思う人もいれば、丁寧と感じる人もいるでしょう。同じ10分でも人それぞれによって捉え方が大きく違う。価値観というのは、そういうことなんです。また、歯科診療は、皆さんの生活に寄り添い、暮らしの質を上げていくのがその使命です。しかしながら、皆さん自らの日々の口腔ケアも重要です。だからこそ、共有の場が必要なのだと考えています。

歯科診療は生活に直結しているといえそうですね。

どこまで皆さんの生活に寄り添うことができるか、そこにかかっています。例えば「入れ歯になれば、大好きだった食べ物が食べられなくなるのでは?」といった本音を、歯科医師に遠慮をして伝えられない方もいらっしゃいます。そこで心の声をくみ取って、その方の生活の質を下げないようサポートする。そこが私のめざすところでもあります。またそうした歯科診療だけでなく、もう少し皆さんと深く関わっていくことも、私たちの役目ではないかと。それは診療を通じて、皆さんの生活背景を伺うことができてこそです。認知症や育児の悩みなど来院された方の変化に気づき、地域の専門的な施設へつないでいく。当院は、一歩踏み込んで日常的にもフォローできる場でありたいです。

読者にメッセージをお願いします。

岸本知弘院長 きしもと歯科医院6

改めてお伝えしたいのは、皆さんの口元は他の誰のものでもない、皆さんご自身の貴重な財産なんですよ、ということ。例えば高価なブランドバッグは大切に使いますし、壊れたら修理するか、新品に買い換えるでしょう。でも歯は一度失うと、新品に取り替えることができません。だからこそ口腔健康管理が大切で、当院ではそのためにPHRを活用しています。私は一人でも多くの方に、そこに気づいてほしいのです。私の希望は、皆さんがきちんと歯科診療にかかるということです。それは、もちろん私の歯科医院でなくても構いません。とにかく、歯科医院に習慣として長く通っていただければ。それが私の本望です。

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