根管治療から治療後の確認まで
歯科用マイクロスコープで精密に
福地歯科医院
(京都市中京区/烏丸御池駅)
最終更新日:2021/10/12
口腔内を3~20倍以上の視野に拡大することができる歯科用マイクロスコープ。口腔疾患とその原因は見えない場所に隠れていることが多いそうで、より確実に治療して再発を防ぐためにも、マイクロスコープは重要な機器だと「福地歯科医院」の福地淳二院長は話す。2台のマイクロスコープを備える同院では、精密治療を行う際はもちろん、治療前後のチェックにも使用しており、マイクロスコープが稼働しない日はほぼないそうだ。可視化によって治療の可能性が広がっただけでなく、患者自身が拡大画像を見て治療内容を理解しやすいことも、大きなメリットだという。「マイクロスコープは特別な機械ではなく、“歯科医師の目”」だと話す福地院長に話を聞いた。
(取材日2020年2月13日)
目次
マイクロスコープは「歯科医師の目」。歯科治療を行うために重要な診断ツール
- Qマイクロスコープは、どのような場合に使用するのでしょうか?
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A
マイクロスコープは歯科用顕微鏡とも呼ばれ、肉眼の3~20倍の視野で確認することができます。当院ではほぼすべての治療でマイクロスコープを使用しており、使わない日はありません。使用する場面は多岐にわたり、根管治療のような精密さが求められる治療や、審美歯科、歯の研磨から補綴物の装着までさまざまな工程で使用します。ですが、歯科治療にマイクロスコープが重要だと考えるのは、治療後の確認や歯の破折の原因を究明する際、その精度に関わるからです。診断ツールとして用いる意義は大きく、マイクロスコープで治療後の確認をせずに終わらせることは、将来の再発リスクを考えるとできませんね。
- Qマイクロスコープは専門性の高い治療で使うイメージがあります。
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A
確かに日本では、精密治療に用いる「特別な機械」のように扱われることもありますが、欧米の歯科医院の多くでは日常的に用いられています。マイクロスコープは特別な治療機器ではなく、精度にこだわって歯科治療を行うためになくてはならない道具の一つだと私は考えています。マイクロスコープは高倍率で患部を確認することができますが、見える場所には限界があり、確認できる範囲の広さは拡大鏡のほうが上です。また、歯科用CTやエックス線検査機器など、ほかの機器と併用することで病巣や歯周ポケットの状態を細かく把握できたり、治療の精度向上に役立てたりできるもので、マイクロスコープだけで良い治療ができるわけではないんですよ。
- Qマイクロスコープを用いた根管治療についてお聞かせください。
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A
特に根管治療の再治療では、歯の根っこの隅々にまで入り込んだ古い薬や接着剤を残さず取り除いていかなければならず、その作業においてもマイクロスコープの役割は重要です。もともと細かい作業が好きな私にとって根管治療は得意な治療の一つですが、「これ以上拡大したくない」と思うことがあるくらい、実に細かく根管内を確認することができます。ただ、マイクロスコープを用いても、見える部分は根管のおよそ3分の2まで。曲がった根っこの奥は、歯科医師の技術に頼らざるを得ない領域となります。確認できる箇所を確実に処置し、その先の細かい神経を精密に治療できるスキルと経験を培うことが、根管治療を成功させる鍵になるといえます。
- Qメリットはほかにもあるそうですね。
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A
マイクロスコープは治療中の様子をすべて記録として保存することができます。拡大した画像をモニターで患者さんにお見せすることができるのもメリットで、多くの方が「こんなに悪くなっていたんですね!」と驚かれます。歯の根っこの奥まできれいに細菌を取り除き、どれだけ隙間なくかぶせ物が入れられたか、治療内容や状況を説明する上で役立っています。20倍に拡大した画像というのはまさにミクロの世界で、それを見ただけでは距離感がつかみにくいですので、患者さんがイメージしやすいように、口腔内をカメラで撮影した連続写真を一緒にお見せしながら、治療の経過をお伝えしています。
- Q先生ご自身のスキルアップにもつながっているそうですね。
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A
治療は見える範囲でしか行うことはできず、以前は見えない場所は治療を諦めるか、手探りの治療をするしかありませんでした。マイクロスコープの導入によって可視化が進み、歯科治療の可能性は大きく広がりましたが、それと同時に「歯科治療の限界」を、歯科医師は見せつけられたといえます。補綴物を100%隙間のない状態で入れることは現実的に不可能であり、歯科医師、歯科技工士、両方がマイクロスコープを用い、そのスペースを極限まで合わせていくことが肝心だと考えています。また、そのスペースはセメントで補っていきます。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミック/6万円~