全国のドクター9,182人の想いを取材
クリニック・病院 158,625件の情報を掲載(2024年4月25日現在)

  1. TOP
  2. 岐阜県
  3. 本巣市
  4. モレラ岐阜駅
  5. なかむら歯科
  6. 中村 浩 院長

中村 浩 院長の独自取材記事

なかむら歯科

(本巣市/モレラ岐阜駅)

最終更新日:2021/10/12

中村浩院長 なかむら歯科 main

住居や農地が点在する本巣市の一角に「なかむら歯科」はある。手間を一切惜しまない診療を通して日々患者と向き合う中村浩院長。「一生物の治療はない。だからこそ、患者さんには少ない負担で良い治療を提供し続けていきたい」と語り、費用負担の少ない保険診療をベースに治療内容を組み立てていくという。できるだけ口腔内に人工物が存在しなくて済むような治療を検討し、もしも多くの歯を失ってしまった場合には、中村院長の専門である義歯(入れ歯)治療を行うなどして、患者の「噛める」の維持に努めている。そんな中村院長に、診療に対する思いや歯を守ることの大切さなどをたっぷりと語ってもらった。

(取材日2019年5月17日)

時間をかけてじっくり診療に取り組む

開業までの歩みについてお聞かせください。

中村浩院長 なかむら歯科1

父親が歯科医師で、診療所兼自宅で生活していたものですから、幼心に自分も同じ道を歩むんだろうなって思っていましたね。朝日大学歯学部進学を機に、京都から岐阜に出てきました。特に専門的に学んだのが入れ歯の治療です。大学院修了後には付属病院に入職して、その後もずっと義歯治療をメインに研鑽を積んできました。その後、ここを開業したのは2001年です。このあたりは妻の地元で、開業に際して地域の不動産屋さんに相談したらこの場所を勧められました。当時周辺に歯科医院がなかったからでしょうね。ここに作ってくれたら助かるといわれ、「それならば」と決めました。

どのような患者さんが多いですか?

得意としていることもあって、義歯治療を求める患者さんはやっぱり多いですし、進行した歯周病などの相談もあります。治療後のメンテナンスで継続して通われている患者さんも多いです。そんなこともあってか、長く通っている患者さんから話を聞いたご家族が一人、また一人と来院し気づいたら家族みんなを診るようになった、なんてことも珍しくないですね。また当院では、嫌がるお子さんを押さえつけて治療するなんてことはしません。怖い場所だと思ってほしくないですから、根気よく待ってお子さんが自分の意志で診療室に入ってチェアに座れるようになってから治療を始めます。

診療は朝7時から行われているとか。

中村浩院長 なかむら歯科2

歯科衛生士の出勤が朝9時からなので、それ以前の時間帯でできることはやや限定的になりますけれど、希望があれば応じています。僕自身が夜より朝のほうが得意なのも理由の一つですが、朝は患者さんの体の調子も良いことが多いですし、診療後不調を感じたら午後にまた来院すれば良い。対して夜は患者さんも疲れもたまって本調子ではないし、こちらとしても朝と比べると集中力が落ちてくる可能性があります。こう比較すると、朝の時間帯の診療は意外と利点が多いと思います。それと診療は完全予約制で、治療もメンテナンスでも1人あたり原則1時間かけて一度にできることをとことんやり切るんです。メンテナンスで虫歯を見つけたらその場で治療しますし、臨機応変に対応するためにも、あらかじめ時間を取っておきます。時間をかける必要がある場合は、午前いっぱい1人の患者さんに時間をとって治療を行うこともありますよ。

手間を惜しまない、「減らさない診療」

診療で大事にされていることは何ですか?

中村浩院長 なかむら歯科3

保険診療を軸に、1回の診療でできることをやり切る。患者さんを噛めない状態で帰すようなことはしない。これらに尽きます。例えば歯を1本抜いたら、必ずその日のうちに仮歯をつけています。何かが「減った」状態で患者さんを帰らせるのは、僕にとって耐えがたいんです。どうしても仮歯が入れられないのなら、改めて日程を調整します。仮歯も、急場しのぎのものではなく、きっちり作り上げます。勤務医時代、よく先輩から「お前は仮歯をきれいに作りすぎる」と言われましたね。実はこれ、褒め言葉ではないんです。仮歯の仕上がりがきれいだと、仮歯でも不自由ないと感じた患者さんは治療からフェードアウトしてしまうので、先輩としては患者を次回診療に来てもらう意識を持て、と言いたかったんでしょう。あとは、口腔内を健康的に保つ大切さを実感してもらうため、歯磨き指導なども徹底的に行っています。

患者さんにかける時間や熱量がすごく大きいと感じます。

最初のうちは1時間みっちり歯磨き指導をします。指導中に僕や衛生士が歯ブラシで患者さんの歯を磨くと、普段自分が磨いているときと感覚が違うと驚かれますよ。重症化している患者さんも多く診ていますし、指導中に痛い思いをされる方も少なからずいます。でも、痛みを実感してもらうのはとても大事なことなんです。なぜなら、ナイロンのようにやわらかい素材で触れて血が出るなんて、とても正常とは言えない状態ではないでしょうか? 治療では、まずそれを理解してもらわなければいけないんです。「今は歯磨きだけで痛いって思っていても、ちゃんと磨けるように改善すれば、痛くなくなるよ」とちゃんと説明して理解してもらう。一度痛感したら、治療後のメンテナンスの重要性も理解してもらいやすいですからね。

保険診療に重きを置かれているのはなぜですか?

中村浩院長 なかむら歯科4

僕の持論ですが、自費での治療は「保険診療ではできないことをやるためのもの」なんです。もし矯正治療やインプラント治療などを希望されたら他院にお任せしていますが、それ以外のことなら、当院で保険で治療します。どんなに良い素材で作った入れ歯も寿命はだいたい2~3年程度。かぶせ物も、治療後のメンテナンスが悪ければいずれ不具合が起きてしまいます。保険であれ自費であれ、一生持つ治療というのはありません。必ずしも「自費=長持ちする治療」とは言えないし、費用面などで患者さんの負担の少ない保険できっちり治療するほうが良いと思っているんです。要は手間を惜しまないのが一番大事。以前、入れ歯の作製を歯科技工士に依頼した際「これって自費の入れ歯ですよね?」なんて技工士から言われたこともありました。保険のものだと伝えたら驚かれましたけれど、僕にとっては当たり前なんですよね。

歯科医師である自分にできることを考え患者に伴走する

そのほか、大事にされていることはありますか?

中村浩院長 なかむら歯科5

治療では金属素材は使用しません。口の中に金属があれば、常に金属から発生したイオンを体に取り込み続けることになります。当然全身への影響も考えられますから、もしもすでに患者さんの口の中に金属の詰め物などがあれば、すべて外してから再度かぶせ物や詰め物を取りつけます。体のことを考えたら、そこまでしないといけないと思います。歯周病治療についても同じ考え方です。歯周病の原因菌は体によくない作用をしているから歯茎に炎症が起きるんです。その原因菌が口の中にあって飲み込んでしまうことを考えたら、時間と手間を惜しまず、徹底的に治す必要があります。

治療後のメンテナンスの取り組みについてもお聞かせください。

治療後は、基本的には月1回お口の状態を見せに来てとお願いしています。入れ歯を作ったら、半年に一度は入れ歯の状態を見せてもらって、不具合があったらその場で調整しています。そして6回目くらいには、次の入れ歯を作るタイミングになりますかね。そんなふうに、メンテナンスやケアを通して、良い状態を維持するためのサイクルを保っていきます。ただ、治療後の通院はあくまでも「お願い」程度にしています。僕らはあくまでもお口の健康を守るお手伝いをする立場。患者さんが必要だと思って取り組んでもらわないといけないと思いますから。良い状態を維持していくには患者さん自身のご理解と頑張りが不可欠なんです。

先生にとって診療のやりがいとは何ですか?

中村浩院長 なかむら歯科6

やっぱり「噛める」を持続できるようにすることですね。噛めなくなると唾液が減って細菌も増殖しやすくなります。そうすると結果として口の中だけでなく、全身に影響を与えますから。よく入れ歯は噛めない、噛むと痛いなんて言われますが、僕らがきっちり作って、そんな悩みを解消していきたいですね。だから当院では、入れ歯を入れたら「何でも食べて良いよ」って伝えているんです。そのためか、うちの患者さんはよく入れ歯を割っちゃうんですが(笑)。でもそれって、硬い物でも何でも食べたいと思った物を食べていただけている証拠だと思います。入れ歯は義手や義足と同じく、機能を補うもの。毎日ちゃんと噛めるという機能を果たせるように治療していくのが僕の役割に他ならないと思っています。

Access