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荒木 映雄 院長の独自取材記事

泌尿器科あらきクリニック

(松山市/衣山駅)

最終更新日:2021/10/12

荒木映雄院長 泌尿器科あらきクリニック main

松山市中心部、伊予鉄高浜線衣山駅から徒歩5分の場所に、2008年に開業した「泌尿器科あらきクリニック」。泌尿器科は女性にとって少し抵抗を感じる診療科のイメージがあるが、「女性にも男性にも優しく、痛くない・恥ずかしくない診療」というコンセプトと、院長の荒木映雄先生の明るく親しみやすい人柄もあってか、患者の半数近くが女性なのだとか。診療では丁寧な問診によって患者の思いを聞き出し、さらに検尿やエコーなどの検査によって診断を導き出す。プライベートではヨガやピラティス、カラオケやゲームも好きという多趣味な一面も。「泌尿器科は昔と比べれば受診しやすくなったので、気軽に相談してほしい」と語る荒木先生に、泌尿器科の病気や地域連携について聞いた。

(取材日2019年11月12日)

女性患者も多い泌尿器科クリニック

先生はなぜ医師を志したのですか?

荒木映雄院長 泌尿器科あらきクリニック1

両親がともに薬剤師で新居浜市で薬局を経営していて、両親を見ているうちに自然に「実際に人を診てみたい」と思うようになり医学部へ入ったんです。当時の臨床研修はすべての診療科を経験した後、最後に専門を選べ、そこで泌尿器科を選択しました。命に直結する診療科は心情として合わず、かといって内科の検査と理論の世界も自分に合うと思えませんでした。泌尿器科は腎臓から膀胱までと間口は狭いのですが、尿路結石、尿路感染症などの感染症、前立腺がんや膀胱がん、精巣がん、腎臓がんとさまざまな病気があり、血液検査やエコー、膀胱の内視鏡検査などの検査から、外科的治療まで一貫して担います。また大学病院の泌尿器科には高齢の患者さんがとても多くいらっしゃいました。排泄という機能はとても大事で、お年寄りの介護にもかかわりますから、その点も自分の性格に合っていました。教室の雰囲気も良く、それで泌尿器科の医師になったわけです。

開業までのご経歴を教えてください。

広島大学医学部の泌尿器科の入局から始まり、松山赤十字病院、広島の庄原赤十字病院、福岡県の病院などに勤務してきました。松山赤十字病院では、扱う症例数が多く、ドクターたちの人数も多くて優秀で、その中で経験を積ませてもらったことが自分にとって大きかったですね。さらに偶然、妻の父が松山で医師として医療法人を運営しており、しかも広島大学の大先輩でもあったので、松山で一緒にやらないかと言ってくださって開業を決意しました。当時は病診連携が話題になり始めた時期でもあり、日赤病院としても連携できるクリニックを探していたという偶然も重なりました。数年後に開業する意思を大学にも伝えて松山に戻り、同院の泌尿器科で副部長を2年間務めたのち、義父が理事長を務める医療法人が運営する医療サポートつきシニアマンションの1階に開業しました。

患者層はいかがですか?

荒木映雄院長 泌尿器科あらきクリニック2

当院は泌尿器科としては珍しく、女性の割合が外来患者さん全体の3割となっており、女性が多いのが特徴です。今でも泌尿器科は「恥ずかしい」とまだまだ敬遠されがちですが、過活動膀胱がメディアを通じて一般に浸透したことで、女性の患者さんも増えました。女性では、経産婦の方は骨盤底筋の緩みから尿漏れの相談も多いです。男性では前立腺肥大症が多いですね。年齢層は50代以上が中心ですが、膀胱炎などで若い人も受診されます。まだまだ敷居の高いと思われている診療科ですので、少しでも気軽に来ていただきたく、検査や処置はなるべく刺激がないよう心がけています。がんが見つかったり、手術、CTやMRI検査が必要だったりする場合は、松山赤十字病院をはじめ、済生会松山病院や愛媛県立中央病院など、患者さんの希望やお住まいを考慮して紹介しています。

患者の内なる声を引き出したい

先生が診療で大切にしていることは何でしょうか?

荒木映雄院長 泌尿器科あらきクリニック3

患者さんの思っていること、言い出せないことを引き出してあげることです。病院、特に泌尿器科はふらっと来るような場所ではないでしょう? 患者さんはおしっこに関わることで困っていて、決心して来院されるわけですから、その思いをできるだけ引き出してあげたいのです。恥ずかしい、うまく伝えられない、ということも多々ありますから、問診を大切にして、さらに検査によって正確に評価しアドバイスします。例えば「尿が出にくい」といっても、量が少ない、勢いが弱いなど人それぞれ。排尿検査機能つきのトイレで量、勢い、時間を測定して本人の感覚を見える化します。他に検尿やエコー、軟性鏡による膀胱鏡検査などを行い、「こういう症状じゃないですか?」と引き出してあげるのが仕事だと思っています。

どのような瞬間にやりがいを感じますか?

患者さんがなかなか言葉に表せなかったものを、排尿行動という一つのポイントから「この病気じゃないか」、「睡眠障害が隠れているんじゃないか」、「足腰が悪いから排尿動作にトラブルが起こっているのではないか」と診断をして治療して、それで喜んでいただけたらドクター冥利に尽きますね。泌尿器科の病気は「残尿感がなくなった」、「夜トイレに行かなくなった」など本人が自覚できることが多いのも良いところ。基本的に、膀胱炎などは良くなったらお薬をやめて、そこから経過観察に移ります。必要以上に来てもらうことはなく、またトラブルが起こったときに来てもらっています。

訪問診療もされているそうですね。

荒木映雄院長 泌尿器科あらきクリニック4

国の方針として在宅医療を推進してますが、実は泌尿器科の訪問診療は少ないんです。けれども勤務医時代、尿道カテーテルが詰まった、管を引っ張たら血が出たなど、在宅の人が救急に来ることは珍しくありませんでした。老人ホームなどの施設でも、泌尿器科の先生がいませんから苦慮するんです。このため自分の専門性を生かして少しでも力になれないかと、昼の2時間で訪問できる範囲に伺っています。個人宅や介護施設などで診療をおこなっています。訪問する際は、モバイルエコーを持って行き、膀胱や前立腺の状態を確認して処置ができるようにしています。

ためらわずに、気軽に受診してほしい

普段の生活で気をつけたい症状など教えてください。

荒木映雄院長 泌尿器科あらきクリニック5

女性は男性に比べて尿道が短く、出産や加齢に伴い尿漏れしやすくなります。一方で男性は年齢とともに前立腺が肥大して、尿が出にくくなります。これらは体の構造や加齢によって起こる当たり前のこと。注意したいのは逆の症状が出ているときです。つまり女性なのに尿が出にくい、男性なのに漏れやすいという症状がある場合、何らかのトラブルが起こっている可能性が高いです。特に要介護の人に対する排泄ケアの場合、これを目安に医師に相談するといいでしょう。血尿が出た、尿の色がおかしいという場合もすぐに相談してください。また、メディアなどで「水分をたくさんとりましょう」とよく言われますが、とりすぎるのも問題。頻尿と思って相談に来て、水分の取りすぎによる多尿ということもよくあります。その場合お薬は必要なく、生活習慣の改善で良くなりますよ。

開業当時と比べて患者さんの意識の変化はありますか?

昔と比べて、女性も泌尿器科にかかりやすくなったと思います。そこはメディアの功績が大きいでしょうね。ただ病気がどの程度認知されているかと言えば、まだまだなのかなと思います。例えば女性に多い膀胱炎。「癖になりませんか?」とよく聞かれますが、膀胱炎は膀胱の感染症ですから癖にはなりません。同じ感染症の上気道炎だって、年に何回かかかるでしょう? 女性は男性と比べて尿道が短いので雑菌が入りやすいんです。風邪も上気道炎も膀胱炎も、どちらも体の感染症ですが、膀胱炎はデリケートゾーンに関わるので、特に若い女性は特殊な意識が働いてしまうのかなと思います。ただどの病気にも言えることですが、大切なのは早期発見・早期治療。放置せず、早めに受診すればその分早くすっきりしますよ。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

荒木映雄院長 泌尿器科あらきクリニック6

排尿に関することでお悩みがあれば、まずは検尿だけでも受けてみてください。泌尿器科はどうしても恥ずかしいという思いが先立って、受診するまでに時間がかかります。その間インターネットでいろいろと調べてくる人も多いのですが、自己流の診断を下すよりは、早めに受診することをお勧めします。検査をして、異常がなければそれで安心ですし、異常があれば早期に治療できます。内科などと比べるとまだまだなじみが薄く、ためらいがあるかもしれませんが、われわれのような専門家に気軽に相談してください。

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