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石黒 良彦 院長の独自取材記事

いずみが丘クリニック

(名古屋市守山区/神領駅)

最終更新日:2019/08/28

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名古屋市守山区泉が丘、緑の多い住宅地の一角にかわいらしい外観の「いずみが丘クリニック」はある。院長の石黒良彦先生は泌尿器科が専門の医師。そのため、排尿困難や頻尿など尿の問題で困っている老若男女の患者が、県内外から多く訪れているという。人には言いづらいデリケートな問題だが、親しみやすい雰囲気の石黒院長は「患者さんとの時間を大切にしています」と優しく話す。医師として、丁寧で正確な治療を心がける姿や医師としての信念、診療スタイルなど、さまざまな話を聞いた。
(取材日2016年8月3日)

老若男女問わず、患者のデリケートな問題に丁寧に対応

まずこの地で開業された理由を教えてください。

開業前、私はこの守山区に隣接する尾張旭市の旭労災病院に勤めていました。自宅にも近く患者さんにも引き続き来ていただきやすいということ、そして勤務医時代からよく知っているこの地域に貢献したいという気持ちがあり、2006年にここで開業することを決めました。専門が泌尿器科ですから、尿が出ないとか逆に漏れてしまうという患者さんが来院されることが多いのですが、中には事故などで脊髄を損傷した方も結構いらっしゃり、車いすの方も多いです。時にはストレッチャーで来る方も。ですから、クリニックはバリアフリー化し、トイレも広くしました。またキッズスペースが畳であることと、受付と待合室の椅子の間を仕切る本棚を作ったことがこだわりですね。畳はお年寄りにも好評ですし、仕切りは、受付に立ったとき、椅子に座っている方から少し目隠しになるかなと思っています。

どのような症状の患者さんが来られますか。

一番多いのは前立腺肥大症の男性でしょうか。尿が出ない、出にくいといった排尿困難の方も多く、中高年の男性の割合が高いです。他に、お子さんのおねしょや外陰部の形状の相談。これはお母さんが心配し過ぎのこともあります。女性は膀胱炎や尿漏れの症状などですね。外陰部が炎症を起こして痛いということで婦人科ではなく当院へ来られる方もあり、私が医師になった頃に比べると泌尿器科に来やすくなったのかなと感じます。昔は「泌尿器科=性病科」みたいなイメージでしたが、著名な方が前立腺がんを公表することがあるなど、次第に泌尿器科が知られるようになりました。性病、つまり性行為感染症のうちクラミジアや淋病などは、男性の場合、尿道なので泌尿器科の領域になります。女性は膣ですから婦人科になりますね。

デリケートな問題が多いと思いますが、患者さんにはどのように接していらっしゃいますか。

とにかく偉そうにしないこと。診察室に入って来られたら「こんにちは」とあいさつし、患者さんのお名前を確認します。そして「石黒です。よろしくお願いします」と言ってから診察を始めます。これをするとしないとでは患者さんの気持ちが違うのではないかと思います。できるだけ専門用語は使わず、ちょっと冗談も交えながら話すようにしています。女性の診察は場合によって、看護師あるいは事務の女性を呼んで立ち合わせます。お子さんの場合には、なるべく腰を低くし目の高さを合わせて話すようにしています。あと、患者さんにはできるだけ自分の言葉で話していただきたいですね。インターネットで調べたのか専門用語を使われる方がいますが、誤解のもとになることもありますので普通に話してくださって大丈夫ですよ。

患者の話にじっくり耳を傾ける。それが診療スタイル

多くの患者さんが来院されていると伺いました。

多いですね。ですが、特に初診の方などはじっくり時間をかけて診療しています。それで他の方をお待たせしてしまうこともあるので、現在のところ予約制は取っていません。また、初診でなくても患者さんとの時間は大切にしていますよ。雑談でもその中に病気のヒントや原因が隠れていることもあるので侮れませんので。以前、うつ病の患者さんを診たとき、思いつめているので、時間を取って話し続けたこともあります。ですから、当院の待ち時間は正直に言って長いと思います。でも、この診療スタイルは変えられないと思います。

先生が泌尿器科に進まれたのはなぜでしょうか。

私はもともと薬学部で有機合成化学を学び、その後医学部に入りました。そのため、医師になったのは人より遅いんです。医師に対する考え方も、他の人とちょっと違いがあるかもしれません。私が考える医師とは、患者が「痛い」と言ったら「どれどれ」と治療し薬を出して、場合によっては手術しましょうと、ずっと寄り添うイメージです。昔の医師はそうだったと思いますよ。状況が悪くなっても、ずっと亡くなるまで責任を持ってちゃんと診る。泌尿器科は特にそうなんですね。手術も外科に送らないで自分で行いますし、男性も女性も子どもも、場合によっては胎児を扱うこともあります。前立腺がん、腎がん、膀胱がんなども亡くなる寸前まで診ます。それが私には一番医師らしく感じ、泌尿器科に進みました。

研修医時代はどのように過ごされましたか。

私は毎日のように大学の先生に怒られていましたね。モタモタして「おまえには任せられん」と言われたり。他科の先生に「やめたくなるんじゃないの」と心配されるぐらいでした。でも本当に鍛えられましたよ。泌尿器科の医師としての手技、知識はもちろん、患者さんへの接し方について多く学ぶことができました。先生は私には厳しかったのですが、患者さんにはとても優しかった。二診体制だったので隣から先生の声が聞こえて、「ああ、あんなふうに話せばいいんだな」と。今でも意識していますね。ついこの間その先生から電話があって、非常に大事な方を私に診てほしいという話をいただきました。先生に信用されている、と思うと涙が出ましたね。

泌尿器科の専門の医師として地域医療に今後も尽力

クリニックとしての強みはどんなことでしょうか。

よく患者さんに、腎臓は尿の工場で、膀胱は尿の倉庫という説明をします。工場が何かの原因でダウンすると倉庫に尿が流れず、倉庫の出荷体制がダウンすると在庫(尿)がどんどんたまります。以前、尿が出ないといって他院で利尿剤を処方されて状態が悪くなり、当院へ来られた方がいますが、倉庫の出荷体制がダウンしているのに、そこに気づかないで利尿剤を出したから、もともと問題なく尿を作っていた工場がさらに尿を作って大変なことになってしまったという例です。尿の問題は判断が難しい場合がありますので、尿のことは泌尿器科に来ていただきたいですね。ただやはり全身状態を診ることは重要で、私は患者さんにはどんな薬を飲んでいるのか必ず聞きますし、他院で採血した場合はデータを持って来てもらいます。きちんとした根拠に基づいた治療をしていきたいと思っています。

今後のことなどについてお話しください。

泌尿器で困っている患者さんをしっかり診つつ、内科、皮膚科など地域の方々が求められることにも応えていきたいですね。私は、大学で学んだことを社会に還元したい、少なくとも私の身の回りで泌尿器の病気に苦しむ人をなくしたいという思いで開業しました。そのために一般の方にも泌尿器に関する知識を持っていただきたいと考え、積極的に講演もしています。また、最近は訪問診療のニーズも増えているので力を入れていきたいですね。休診日に行うので休みがなくなってしまいますが、施設への往診も行っています。マイクロバスで皆さんが来院されるよりも、私が行ったほうが早いですからね。当院は看護師たちが協力的で、往診する患者さんのスケジュール管理をしてくれています。スタッフたちはみんな、優秀ですよ。忙しい中よく頑張ってくれています。

最後に読者へメッセージをお願いします。

先ほど利尿剤の例を出し、「尿の問題は泌尿器科へ」と言いましたが、泌尿器科を専門的に診療している医院は多くないのが現状です。最初だけ少し遠くても専門の先生のところへ行って治療方針を立ててもらい、あとは近くの内科の先生に薬だけ出してもらうという方法もあります。それで不安なことがあったら、また専門の医師の診断を受ける、そういう付き合い方もいいかと思います。また尿漏れなどで「年だから」と言う患者さんがいますが、治療を諦めてほしくないですね。確かに、年齢が影響することもありますが、病気は医師と看護師と薬剤師と患者さん自身が協力し合って治すもの。患者さんに対しては常に「良くなる方法を一緒に考えていきましょう」という姿勢でいたいですね。

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