小森 玲子 理事長、小森 隆之 院長の独自取材記事
こもりクリニック
(広島市安佐北区/あき亀山駅)
最終更新日:2026/07/07
高齢者が多く住む安佐北区飯室地区にあり、眼科・形成外科・整形外科を診療する「こもりクリニック」。理事長である小森玲子先生と院長の小森隆之先生が、夫婦で診療にあたっている。玲子理事長は埼玉医科大学病院の眼科医局、隆之院長は埼玉医科大学総合医療センターの形成外科医局で研鑽を積み、その後、ともに伊奈病院、さらに千代田中央病院に勤務。それぞれ形成外科と眼科のエキスパートとして技術を磨き上げてきた。2002年に開業して以来、二人三脚で地域住民の健康をサポートするために尽力している。温和で優しい玲子理事長と、専門分野を雄弁に語る隆之院長の2人に、眼科と形成外科の親和性や高齢化が進むこの地域での診療について聞いた。
(取材日2026年6月4日)
眼科と形成外科の親和性に着目した診療を実施
お二人の専門を教えてください。

【玲子理事長】当院は眼科、形成外科、整形外科を診療しています。私は眼科を担当していて、日本眼科学会眼科専門医の資格を持っています。
【隆之院長】僕の専門は形成外科で、整形外科も担当しています。形成外科を専門に選んだのは、この分野があまりに興味深かったからです。僕が医師になった頃は、まだ形成外科の医師が少なく、形成外科自体が広く知られていない時代でしたが、植皮、皮弁の立ち上げや血管をつなぐための手技を見てその見事な技術に感動し、この科を専門にしようと決めました。
開業のいきさつをお聞かせください。
【玲子理事長】当院を立ち上げたのは院長です。私たちは大学の同級生で、卒業後も同じ病院に勤務していました。眼科と形成外科というお互いの専門が親和性が高かったので、一緒にやろうということになったんです。
【隆之院長】この地域は、住民の高齢化や過疎化が進んでいます。当院がある飯室地区にも高齢者が多く、特定の場所でお年寄りが車にはねられるという交通事故が多発していました。私はその原因が、高齢者の目の見えづらさによる信号の見落としにあると考え、そういう方の助けとなれたらという思いでこの場所に開院しました。
【玲子理事長】交通手段を持たない、足が悪くて遠くの病院に行けない人たちが通える場所にクリニックがあれば、という思いもありましたね。
クリニックの特徴を教えてください。

【玲子理事長】先ほども少しふれましたが、眼科と形成外科という親和性が高い診療科目を診療していることでしょうか。
【隆之院長】例えば、眼科で目の手術を行った際に形成外科の技術で傷痕を目立ちにくくするための処置を行うなど、形成外科は眼科と非常に関わりが深いんです。また、当院ではまぶたを完全に閉じられない兎眼や、物が2つに見えるディプロピアといった希少な症例にも対応していますが、希少ゆえにマニュアルどおりに対応できるケースはあまりありません。そんなとき、手術の際の切開や縫合について、お互いの知識を持ち寄り協力しながら治療にあたることができることは強みだと思います。
日帰り手術から希少疾患の診療まで幅広く対応
眼科にはどのような患者さんが多いですか。

【玲子理事長】お子さんから高齢の方まで、幅広い年齢の患者さんがいらっしゃいますが、高齢者が多いという地域柄、白内障、緑内障、眼瞼下垂などのご相談が多いですね。日帰り手術も行っていますが、ベッドが6床ありますので入院もできます。若い世代では、コンタクトレンズや眼鏡の処方を希望される方もいらっしゃいます。当院には眼鏡作製技能士もいますので、眼鏡を調整することもできますよ。その他にも、業務に差し障りが出ないように、業務中のサングラスの使用に関する診断書を書く場合もありますし、お子さんの目のトラブルや、目の定期健診にも対応しています。近年一番気になっているのは、スマホを長時間暗いところで見ているせいで、お子さんの近視が強くなっていることです。スマホを見るなら明るいところで見ることをお勧めします。
眼瞼下垂について詳しく教えてください。
【玲子理事長】眼瞼下垂はまぶたが上がらなくなる状態のことで、お年寄りの目の見えにくさの原因の一つです。治療は、眼科や形成外科での手術が一般的で、私はこの手術を得意としています。美容外科で手術を受ける方もいらっしゃいますが、当院には形成外科もあるため、まぶたの皮膚が長くなってしまった眼瞼皮膚弛緩症などの複雑な症状にも対応可能です。
【隆之院長】他の病気が隠れている可能性を含め詳しく診るには眼科、手術後の傷痕の修復には形成外科が適しているため、当院では両方の科で連携を取ることができます。手術後の見た目にも配慮した診療を行うことで、患者さんの生活がより豊かなものになればうれしいですね。
形成外科と整形外科ではどのような診療に対応してますか。

【隆之院長】形成外科の治療対象は体の表面のケガや形の異常で、僕は手の指の数が多い多指症などといった、希少疾患の診療を得意としています。遠方から相談に来られる患者さんもいらっしゃいますし、そのニーズに応えなければならないと思っています。また、機能だけでなく見た目の修復という点では、やけどの治療も得意としています。遠くの病院に歩いていけない高齢者のために、一般的な整形外科の診療も行っています。主訴はひざや腰の痛みですが、地域柄、山で外傷を負った患者さんもいらっしゃいます。山の斜面を滑り落ちた、チェーンソーを使っていてケガをしたなど、救急車で大きな病院に送っていては間に合わない緊急性が高い外傷は、私が縫合することもあります。
患者のことを第一に、気軽に相談できる雰囲気づくりを
診療で心がけているのはどのようなことですか。

【玲子理事長】患者さんのことを第一に考えた丁寧な対応を、ドクターもスタッフも徹底しています。安心して治療を受けていただけるよう、症状や治療について理解していただけるまでわかりやすい言葉でお伝えするようにしています。また、雑談を交えながら密なコミュニケーションを取って、患者さんが気軽に相談できる雰囲気づくりを心がけています。設備面では、どんな方も通院しやすいよう、院内を全面バリアフリーにして、院内で使っていただける歩行器や車いすもご用意しています。
【隆之院長】医療は日進月歩の世界です。より良い医療を提供するために、世界のさまざまな文献を読んだり、講習会を受講したりするなど、日々研鑽を積んでいます。
お二人のプライベートについても教えてください。
【隆之院長】僕はカメラが大好きです。ドイツのとあるメーカーのカメラが好きですが、日本国内にもお気に入りのメーカーがあるので、実は今日撮影してくださっているカメラマンさんの機材が気になります。レンズや機材にもこだわっているので、かなり語れるんです。その知識は、院内の医療機器を選ぶときにも役に立ちました。カメラのレンズと同様、顕微鏡は同じドイツ製でも、メーカーによって焦点深度の値が全然違うんですよ。
【玲子理事長】私はお裁縫と料理が好きです。実は院長の実家がある栃木でも同名のクリニックを経営しているので、2人で行き来してそちらでも診療を行っているんです。休みの日も、それぞれが趣味を楽しむというよりも、ほとんど一緒に過ごしていますね。
今後の展望をお聞かせください。

【隆之院長】広島と栃木のクリニックを行き来することに、最初は周りから否定的な声もありました。ですが、追求しないで諦めるのは嫌だったんです。患者さんのために自分が何ができるのか、僕はそれを追求して自分にできることをやっていきたいと思いますし、これからも続けていきたいですね。
【玲子理事長】高齢者の中には障害のある方や生活保護を受けている方もいらっしゃいます。そのような方々のサポートもできればと考え、私は身体障害者福祉法第15条の指定医の役割を担っています。また、当院は生活保護法指定医療機関でもあります。この場所で地域に根差し、困っている人に寄り添う診療を行うためには、そういった役割を担うことが必要だと考えたからです。私はこの地域の学校医も勤めているので、子どもたちの目の健康も支えていきたいですね。これからも地域のかかりつけの医院をめざして、皆さんの健康をサポートしていけたらと思っています。

