松浦 宏司 院長の独自取材記事
松浦みみ・はな・のどクリニック
(宮崎市/南方駅)
最終更新日:2021/10/12
宮崎空港から車で6分の場所にある「松浦みみ・はな・のどクリニック」。2008年に院長の松浦宏司先生が開業した同院は、クリニック名のとおり地域患者の耳、鼻、喉に関する診療を行っている。風邪やアレルギー性鼻炎などの他、めまいや睡眠時無呼吸症候群の検査、補聴器の相談などにも対応。さらに障害のある患者の診察にも力を入れている。「例えば、『耳垢を取ってほしい』というような些細な相談でもまったく構いません。地域の皆さんのかかりつけの耳鼻科となれるよう、日々努めています」と語る、明るく、話しやすい雰囲気の松浦院長。今回はそんな松浦院長にクリニックの特徴や診療スタンスなどについて話を聞いた。
(取材日2021年7月15日)
インターネット予約を取り入れ、幅広い年齢層に対応
クリニックのホームページから予約ができるようになっていますね。
耳鼻科は待ち時間が長い、というイメージを持たれている方も多いと思いますが、事実その傾向がありますし、それをできる限り減らせるようにと導入しました。予約は当日から2週間先まで可能です。インターネット予約は当日も含めて7〜8割、直接いらっしゃる方が2〜3割といったところでしょうか。お仕事をされている方やインターネットに慣れている方などはインターネット予約が多いですね。もちろん「昨晩・今日の朝から熱が出た」という飛び込みの方や、インターネットに疎い高齢者の方はその日に飛び込みでいらっしゃいます。あまりお待たせしないように、とは常に心がけていますが、やはりじっくりとお話を聞かないとわからない点も多いですから、その兼ね合いは難しいですね。どの耳鼻科の先生も同じジレンマを抱えておられると思います。
患者さんの層や主訴はどのようになっていますか?
耳鼻科ですから、0歳児から高齢の方まで本当に幅広いです。主訴は時期によっても変わります。花粉症であっても、スギ花粉は飛散量が多い年、少ない年とその時々によって変わりますし、スギ花粉がおさまった頃に入れ替わるように、イネ花粉で症状が出る方もおられます。おおまかに田植えの時期からと考えて良いので、5〜6月がピークで、秋口くらいまで症状が続く人もいます。こういったアレルギー性鼻炎は昔に比べて増えましたね。とある調査では、日本人の約半分が何らかのアレルギーを抱えているとわかったそうです。学校検診にも行くのですが、そこでもクラスの3分の1くらいはアレルギーがあるな、と感じています。
新型コロナウイルス感染症流行の影響は感じておられますか?
お子さんの免疫力に影響が出ている、と感じることがあります。小さいお子さんは幼い頃に風邪などをひいて、そこで免疫をつけていくものなんです。しかし今はステイホームということもあり、なかなか外に出て遊ぶこともできず、保育園などもお休みする場合もあったりして、免疫力がついていないという印象がありますね。とはいえ、やはりお子さんの受診は多いです。時間帯によっては小児科のようになりますから(笑)。近くに保育園があるので、お子さんのお迎えからそのままこちらに来院、という流れもとても多いですよ。当院では授乳室も設けていますので、そこを活用されている方もおられます。また院内には無線LANも設置していますので、待ち時間などに活用していただければと思っています。
中耳炎などの他、めまいや睡眠時無呼吸症候群の相談も
この場所に開業されたきっかけなどをお聞かせください。
いろんな方に意見を聞きながら探していたんですが、このエリアに耳鼻科のクリニックが足りない、ということが決め手でした。ここは宮崎市の中心部から車で30分ほどの場所ですが、国道沿いで交通量も多い。それに大学もあり、小学校・中学校・高校なども多く、子育て世代のたくさん住む新興住宅地もあります。一方で団地もありますので、幅広い年代の方が住んでいる文教地区とも言えます。そこに開業すれば、地域の皆さんにも喜んでいただけるのでは、と考えました。耳鼻科は実は診られる範囲がとても広いんです。風邪やアレルギー性鼻炎などはもちろん、めまいや難聴、睡眠時無呼吸症候群などにも対応しています。これまで耳鼻科を受診したことがなかった方々にもそういった部分の診察を受けていただきたいですし、家族皆さんのかかりつけ医として地域に根差していければと考えています。
これまで印象的だった患者さんはおられますか?
声がれが気になる、と耳鼻科を受診された方がいらっしゃいました。調べてみると、声帯が動いていないんです。でもその周辺にがんなどはない。それでさらに調べると、「胸の動脈がん」が見つかりました。これは命にかかわることです。すぐに専門の先生に紹介すると即手術だと判断されました。これには患者さんもたいへん感謝しておられました。当院でもそういったかたちで地域の方のお役に立ちたいと思っています。“大病院につなぐ”役割を担うのが、地域のクリニックとも言えますからね。ですから、当院のホームページには「できること」「できないこと」を明記しているんですよ。MRIなどはできませんが、めまいや睡眠時無呼吸症候群の検査、急性中耳炎に対する鼓膜切開術、舌下免疫療法、補聴器の相談なども行っています。
漢方薬も取り扱っておられますね。
漢方薬も保険適用のものがあります。慢性の症状がある方などには、一般的な西洋薬に漢方薬を加えた処方も行っています。組み合わせることでより効率的にアプローチできることもあるんです。もちろん症状に応じて適宜使い分けをしていますので、希望される方は気軽にお尋ねいただきたいですね。また高度難聴などの聞こえの障害、重度の心身障害のある方の診療にも取り組んでいます。病院への紹介、検査依頼などがあれば、こちらもぜひ遠慮なくお尋ねいただきたいですね。実は私の娘にも障害があり、寝たきりの生活を送っています。以前、宮崎市総合発達支援センターおおぞらで耳鼻科の外来担当の医師として依頼を受けた時にそれを引き受けたのも、同じ親として少しでも他の親御さん、そしてお子さんの役に立てればという思いがあったからでした。
難聴など障害のある人も気軽に来られるクリニックへ
クリニックにもその思いは反映されていますか?
もちろんです。通常のクリニックだと時間がかかるという理由などで障害のある方を診察するのが難しいことも多いのです。しかし当院ではそういった方にもぜひ来てほしいという思いがあります。宮崎は二次医療に対応した中核病院が少なく、クリニックから紹介するとしたら三次治療を行う大病院になってしまうことが多いのですが、できる限り、患者さんが無理なく通える範囲で治療を受けてほしいという思いもあります。これは行政が関わることなので私一人ではどうしようもない部分ではありますが、だからこそ地域のクリニックとしての役割を果たし、麻酔を使った手術などは大病院で、と、役割分担をしていく。これらをきちんと行っていくことが重要なのだと感じています。
耳鼻科の器具などが苦手、という方もおられますよね。
そうですね、粘膜などデリケートな部分に触れることもありますから、特にお子さんは嫌がりますね。しかし、例えば30〜40年前とは比べ物にならないくらい医療器具も発達しています。当院はどれか一つ、例えば耳や鼻の手術、花粉症などの特定の分野に突出した治療を行うというわけではなく、あくまで地域の皆さんの受け皿として、幅広く診て、治療できるものは当院で行うというのがポリシーです。耳鼻科は、先ほどもお話ししたようにかなり幅広い症状に対応できます。音声を専門的にやっている後輩や手術を積極的にやっている後輩の耳鼻科に紹介することもあります。
耳鼻科では幅広い相談ができるのですね。
そうですね、そこも役割分担なのだと思います。「耳垢を取ってほしい」という本当に小さなご相談から、花粉症、中耳炎、風邪など、生活によく見られる症状に幅広く対応しているのが耳鼻科です。気になること、不調があればぜひ足を運んでほしいですし、当院のホームページにはできるものだけではなく「当院でできない診療・検査・処置」も記載しています。わからないことがあれば遠慮なく問い合わせていただければと思います。地域の皆さんの「かかりつけの耳鼻科」をめざして日々努めていますので、どうぞお気軽にお越しください。