今井 大洋 院長の独自取材記事
たいようこどもクリニック
(船橋市/船橋日大前駅)
最終更新日:2026/04/09
東葉高速線・船橋日大前駅から徒歩約3分。駅前通り沿いにたたずむ「たいようこどもクリニック」は、2007年の開院以来、地域の子どもたちの成長を見守ってきた。今井大洋院長は、子どもたちとの何げない会話を大切にしながら、それぞれが持つ自然治癒力を最大限に生かすべく診療を心がけている。アレルギー科を専門として気管支喘息やアレルギー性鼻炎の治療、とりわけ重度のアトピー性皮膚炎に対する先進の治療法に注目し実施している。そんな今井院長に、クリニックの診療方針や心がけていること、小児科医としてのやりがいなどについて語ってもらった。
(取材日2025年8月26日)
子どもに備わる自然治癒力を最大限に生かした治療を
クジラのシンボルマークが印象的ですね。何か由来があるのですか?

自身の名前に由来するクリニック名称から、空ではなく海にまつわる事象が良いと考えました。クジラは地球上で一番大きい生き物でそのゆったりとした感じが好きですし、子どもたちに対しても大きく健やかに育ってほしいという願いを込めています。今ではそれほど珍しくありませんが、かつてホエールウオッチングのツアーに参加して、実物のクジラを目の当たりにし非常に感動した時の気持ちが選んだ理由の一つでもあります。
主訴や保護者の小児医療に対する意識など、開業した時と比べて何か変化を感じることはありますか?
子どもたちが訴える症状としては発熱や咳、鼻水、腹痛、下痢、嘔吐などあまり大きな変化はないですね。ただ近年は、従来の発熱を主体とする急性症状による受診以外に種々の原因による体調不良からの不登校や他のお子さんとのコミュニケーションが上手くいかないなど、メンタル面での相談が増えてきたように感じます。また、新型コロナウイルス感染症の流行以降はリモートワークの影響もあってか、お父さんが受診に同行することが多くなりました。お父さんも普段から子どもの面倒をよく見ているのでしょう。ですから、お子さんの症状や体調についてもよくご存じで素晴らしいことですよね。
クリニックの診療方針をお聞かせください。

第一に、重要な症状や疾患を確実に見逃さず、適切な診断と標準的な治療を行うことを大切にしています。そしてそれを前提に、特別なことは無理にせず、良くなるために必要な対応はしっかり行いたいと考えています。例えば前の日に子どもの場合、体温が40℃ぐらいあっても次の日にはすっかり元気になっているといったことがありますが、大人ではあまり考えられないですよね。具体的には、解熱剤の使い方一つにおいても「お熱が何度以上になったら使ってください」と言うのではなく、お子さんの様子を見て「元気そうだったら急いで熱を下げようとしなくても良いですよ」とか、「それほど高い熱でなくても、つらそうだったら解熱剤を使って少し楽にしてあげましょう」と提案するなど、本来子どもたちが持っている自然治癒力をなるべく損なわないような対応を心がけています。
診療で大事にしていることは何ですか?
子どもの年齢にもよりますが、「幼稚園は楽しい?」「学校のお友達と仲良くしてる?」など、病気とは直接関係ないような話をしたり、小さいお子さんなら頭や手に触れたりして、なるべくコミュニケーションを取るようにしています。「今、どんな遊びがはやっているの?」など、他愛もないことですが、診療以外にそういうやりとりが少しでもあれば、気持ちを和らげてもらえるのかなと思いますし、こちらとしても子どもたちの興味がどのようなところにあるのかを知ることができます。決して特別なことではありませんが、そうしたやりとりによってお子さんのキャラクターやバックグラウンド、ひいては全体像までイメージできたらということですね。
生物学的製剤によるアトピー性皮膚炎の治療も提供
診療の際、何か工夫していることはありますか?

当院では錠剤を標本のように並べて患者さんに見せて「この大きさなら飲めそうですか?」と確認しています。やはり実物を見ると薬に興味がわいたりイメージしやすいので、大人の方にも同じものを使って説明します。服薬に関しては薬剤師さんが専門ですから、そこまで詳しい説明はしてませんが、一つの参考資料として活用しています。
小児科を受診する際のアドバイスをお願いします。
お父さんであれお母さんであれ、普段からお子さんとどの程度関わっているかは、お話を伺えばだいたい伝わります。「いつもと何か変わったことはないですか?」と問われても日頃からお子さんをしっかり見ていなければわかりません。もちろん、ほとんどの親御さんはきちんと観察していらっしゃるので特別意識することはありませんが、お子さんの普段の様子を把握しておくことは、病気の原因を見つけることやスムーズな診察に必要なポイントだと思います。
最近、特に力を入れている疾患や治療はありますか?

スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎に対しては舌下免疫療法を積極的に行っています。また外用薬だけでは改善が難しい重症のアトピー性皮膚炎や気管支喘息には生物学的製剤による治療も取り入れています。この治療の費用は高額ですが18歳までは公費での補助も受けられますし、眠れないほどのかゆみやひどい湿疹で日常生活にもお困りのお子さんや親御さんの一筋の光明になればという思いで導入しました。定期的に注射で行う治療法ですが、注射の痛みを嫌がるお子さんには事前に皮膚に麻酔シートを張るなど痛みを軽減できるよう工夫しています。また自己注射のできるお子さんや親御さんは、最初は当院で練習しその後はご自宅での注射を行えます。その他難治性の蕁麻疹や食物アレルギーについても、お子さんから大人まで幅広く相談を受けつけています。
患者との情報共有を重視し、より良い小児科医療を
小児科医をめざしたきっかけを教えてください。

大学病院での臨床実習で各科を回った時、小児科の先生がとても気さくに子どもたちに接していて、たいへん慕われている姿を見ました。非常に面倒見の良い先生で実習後も何かとお世話になったことが一つのきっかけであったと思います。それと私の父は終戦後に苦学して産婦人科医になったのですが、私が畑違いの小児科に進もうかと相談した際に「他のことは考えなくていいから自分のやりたいことをやれ」と背中を押してくれました。子どもたちはとても純粋でこちらが言ったことを素直に聞いてくれますし好奇心や理解力がとても旺盛ですから、それに応えるべく小児科医として真摯に向き合わないといけませんね。
実際、小児科医になられてみていかがですか?
他の診療科は診療の範囲がより専門的ですが、小児科はお子さん全般を診るのでいろいろな分野との関わりがあるのが特徴です。そして大人の診療と大きく違う点は、患者さんが成長することです。赤ちゃん、乳児、幼児、学童と年齢に応じて、背景や考えるべき疾病も変わってきますから、そういった視点を常に持っていなくてはならない点が難しさでもあり面白さでもあると思います。小児科は基本的には15歳までの診療ですが時には大学生くらいまで来られる患者さんもいます。卒業し社会に出る頃になって「これまでいろいろとありがとうございました」とあいさつに来られると、いよいよ巣立っていくのだなと寂しさを感じる一方、ここまで大きくなったなという感慨もひとしおです。開院してから15年以上たちますから、結婚してご自身のお子さんたちを連れてくる方もいらっしゃってますが、そんな場面はとびきりうれしい気持ちになりますね。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

開業以来「子どもの自然治癒力を妨げないような診療を」と心がけてきましたが、今後は病気にならないための予防についても積極的に啓発していきたいと思います。予防接種や定期健診を受けることで疾病を回避するだけでなく、異常の早期発見にもつながります。新しい感染症がいつまた流行するかわからない中、日頃の衛生管理習慣やワクチン接種、健診などによる備えがより重要になるでしょう。近年の医療現場ではSDM(Shared Decision Making)が重視されています。これは病気の内容だけでなく、生活背景や価値観なども含め医師と患者さんが互いに意見を交わしていく中で、その情報を共有しながら総合的に判断し治療や管理の方向性を決めていくプロセスです。当院でも極力このSDMを実践しながら患者さんと共に、より良い小児医療の提供に努めていきたいと考えています。

