村田 克敏 院長の独自取材記事
北吉田診療所
(松山市/山西駅)
最終更新日:2021/10/12

松山空港に近く、周辺企業で働く人たちやその家族が多く暮らすエリアにある「北吉田診療所」。大学病院や総合病院で幅広い診療に従事してきた村田克敏院長が2002年に開業した。循環器内科、消化器内科などでの経験を生かし、健康診断や幅広い検査に注力。患者の全身を診ることを常に意識し、病気の早期発見・早期治療に努めてきた。患者に満足してもらえる診療を提供するため、医療設備の拡充に努めるとともに広くアンテナを張り、新しい知識の習得にも余念がない。系列のグループホームと連携し、「医療と介護をつなげて最期まで患者さんに寄り添いたい」と穏やかに話す村田院長に、医療にかける思いを聞いた。
(取材日2019年9月5日)
全身を診る診療で地域の人々の健康に貢献
関西ご出身と伺いましたが、愛媛県にはどのような経緯で来られたのですか?

兵庫県の尼崎出身で、小学校から高校までは和歌山県橋本市で過ごしました。岡山大学医学部に進み、卒業後は広島県の三原赤十字病院、山口県の国立岩国病院、岡山大学病院で内科を中心に診療に従事。そして1998年から4年ほど帝人松山診療所に勤務した後に、この診療所を開業しました。妻が小松町(現・西条市)出身で、この地域にはなじみがあったんです。帝人の診療所に来た時は、高度成長期に近隣の化学工場に大量入社された50歳前後の方とそのご家族の方が多かったですね。その方たちがそろそろ後期高齢者という年齢になっており、当診療所の患者さんもその年代の方が多いです。
今はご高齢の患者さんが多いのですね。
ご高齢の方は複数の疾患がある場合が多いですね。循環器にも消化器にも病気があり、がんが見つかったり膝などに痛みが出てきたり。当診療所の医師は私一人ですから、幅広いお悩みに応えられなければ患者さんにご満足いただけませんし、病院との連携もスムーズにいきません。勤務医時代には消化器内科、循環器内科を含め内科全般の診療に携わりましたので、開業時にはそれらの経験や蓄積してきた知識を総ざらいし、全身を診ることで地域の皆さんの健康に貢献したいとの思いで患者さんに向き合ってきました。また内科はご高齢の方がメインの診療科ですので、お一人お一人に寄り添っていくために、南吉田町にグループホームを開設。医療と介護をつなげて最期まで責任を持って診させていただきたいと思っています。
医師をめざされたきっかけは?

私の身内に医療従事者はいませんが、父をはじめ親類に技術者が多い家系でした。幼い頃から、生きていくには手に職をつけることが重要だと聞かされていましたので、何か技術を身につけたいという思いはずっとありました。医学部に進もうと決めたのは高校に入ってから。私も経験がありますが、親類の中には、夜中や年末年始など長期の休みに体調を崩した時など、なかなか近くの医療機関で診てもらえなかったという人がいました。また、その疾患や領域を専門とする医師に診てもらえず不安を感じたといった話もあって、医療の分野で技術を磨いて専門家になることで人々の役に立ちたいと強く思うようになったんです。
入念な検査によって、病気の早期発見に努める
先生は幅広い種類の検査に力を入れていらっしゃいますね。

勤務医時代の経験を生かして健康診断、各種検査に力を入れており、年間数多くの方が受診されます。長時間心電図・モニター心電図装置では主に不整脈の診断やその重症度を評価。超音波断層診断装置で腹部、心臓、頸動脈まで幅広い診断に対応しています。また胃や小腸・大腸のバリウムによるエックス線診断のほか、胃カメラ・大腸カメラ、日帰り大腸ポリープ切除も行っています。肺機能検査では慢性呼吸不全の診断、睡眠時無呼吸症候群の精密診断も可能です。患者さんは自覚症状がない病気に関しては受診へのモチベーションが働きにくいもの。しかし生活習慣病、睡眠時無呼吸症候群などは早期に見つけて治療しないと、脳卒中や心筋梗塞などの発症リスクを高めると考えられます。積極的に受診して早期発見・早期治療を心がけていただきたいですね。
生活習慣病については食事・運動指導もされているのですか?
生活習慣病というと厳しい食事制限や運動が必要だと思われがちですが、今は薬も進歩しており、昔ほど患者さんに我慢を強いることはありません。食事の内容を聞いて基礎代謝を計算して、「体重をあと1キロだけ減らしてください」「腹八分目を心がけてください」といった程度ですね。薬も院内で処方しますので、わからないことはなんでも聞いてもらい、納得していただいた上で個々の生活リズムに合った指導を行っています。また睡眠時無呼吸症候群や禁煙治療の検査、治療にも対応。先ほども申し上げましたが、睡眠時無呼吸症候群は、夜間の交感神経の緊張により脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めると考えられますから、日中の強い眠気やいびきなどがある方には検査をお勧めします。タバコは吸っている期間が長くなるとやめられなくなるもの。やめたいと思われたらお早めにご相談ください。
漢方も取り入れているそうですね。

病気を治すというよりは症状を和らげる目的で使っています。更年期障害を訴える女性に処方することもありますね。中年期から初老期にかけて、若い頃には起こらなかった不快な症状が起こるのを一般的に更年期障害と呼びますが、その主な要因としては女性ホルモンの減少と、自律神経の乱れがあります。自律神経には体を緊張させる交感神経と体を休める副交感神経があり、基本的に若い人は副交感神経が優位で、夜もよく眠れますしちょっとしたことに腹を立てることもほとんどないと思います。年齢を重ねるとすぐにイライラしたり、眠れなくなったりするのは交感神経が優位になるからだとされています。本来は副交感神経が優位になるはずの夜中にも交感神経が勝ってなかなか眠れない。そうなるとさまざまな病気につながりやすくなります。更年期障害を訴える方には、全身を検査し疾患がないと確認した上で、症状を穏やかにするために漢方を処方しています。
医療、介護の両面から患者の人生に寄り添う
診療で心がけていることは?

設備を充実させるとともに常に新しい知識を吸収し、内科全般にわたって多くの人に満足していただける診療ができればと考えています。この診療所に来て良かった、次に何かあったときにもここに来ようと思っていただけるような診療ですね。そのためには患者さんの全身を診て、幅広く悩みを聞くことが重要です。例えば、年齢とともに腰痛などが出てきて日常的に痛み止めを服用されている患者さんもいます。痛み止めを多く飲んでいると、ほかの病気で起こる痛みまで消されてしまうこともあるんです。痛みというのはとても大切な病気の自覚症状であり、痛みを感じなくなることにより重大な病気に気づくのが遅れるということにもなりかねません。ですから、患者さんが訴えられている症状だけでなく、ほかに調子が悪いところはないか、不自由に感じていることはないか詳しく話を聞いて、その人の全身を診ることが重要なんです。
今後の展望をお聞かせください。
高齢化がますます加速しますので、医療と介護の両面から責任を持って患者さんの人生を支えたいと思っています。全身を診ることを大切に、多方面にアンテナを張って知識を得るとともに技術を磨いていきたいですね。診療所、グループホームで働く看護師をはじめとした優秀な人材の確保も重要です。職員のモチベーションアップのため勉強会にも積極的に送り出し、多くのことを吸収してもらうとともにリフレッシュしてその先の業務にまい進できるような体制も整えています。また、職員同士で台本作りから手がけて、ちょっとした劇を敬老会や地域の公民館などで行うことも。お年寄りにも喜んでいただけますし、連帯感も生まれて日々の仕事にも良い影響を与えています。今後ともチームワークで患者さんを支える医療法人でありたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

ご高齢の方はいくつも疾患があり、医療機関を3つも4つもはしごして通っている方も多いですね。当診療所に来ていただければ、さまざまな診療科、疾患の診療が可能ですので通院の負担が軽減できると思います。1ヵ所で診ることによって全身を俯瞰することができ、病気の早期発見にもつながると思います。また、年齢を重ねると病気のリスクが増えますので、自覚症状がなくても定期的な健康診断の受診をお勧めします。健康的に人生を楽しめるよう、ご自分の体のチェックを怠らないでいただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃レントゲン検査/5000円、胃内視鏡検査/1万円、腹部エコー検査/4500円
すべて税別です。詳細はお問い合わせください。