安田 年伸 院長の独自取材記事
名駅2丁目クリニック
(名古屋市中村区/名古屋駅)
最終更新日:2023/03/10
名古屋駅から徒歩5分という好立地で、地域住民はもちろんのこと、近隣のオフィスで働くビジネスパーソンや、県外などの遠方から通院する患者も多い「名駅2丁目クリニック」。開業18年目を迎えても、隅々まできれいに整えられたクリニックには、スタッフたちの患者に対する思いやりが感じられる。穏やかな笑顔が印象的な安田年伸院長が精神科を選んだのは、机と椅子さえあれば患者を治療できるという理由から。これまで総合病院などで研鑽を積み「目の前の患者さんを、一番身近で診たい」と開業へ踏み切った。安田院長がいつも大切にしているのは、患者に寄り添い、一緒に治していくという思いだ。高校生から90代の高齢者まで、幅広い患者が通う同院。安田院長に、興味深い話をたくさん聞くことができた。
(取材日2018年10月17日/情報更新日2023年1月30日)
机と椅子さえあれば、患者を治療できる精神科の道へ
とてもきれいなクリニックですね。開業にあたって、なぜこの場所を選ばれたのですか?
ありがとうございます。今年で開業18年目ですが、いつもきれいにしてくれるスタッフたちのおかげです。この土地を選んだのは、いろんな地域の患者さんに通ってもらいたいと思ったからです。最初は、別なエリアを検討していましたが、縁あってこの地で開院させていただきました。地域住民の方はもちろんのこと、岐阜県や三重県、静岡県などの遠方から通われる患者さんもいらっしゃいます。年代としてはビジネスパーソンを中心に、下は18歳から上は90代まで幅広いですね。特に高校生のお子さんたちは、本人はもちろんのこと、付き添いのご両親に対しても、しっかり説明するように心がけています。
先生の生い立ちや、医師を志したきっかけを教えてください。
私は海部郡蟹江町出身で、高校時代も大学時代も、すべて愛知県で過ごしてきました。両親が共働きだったため、祖母に育てられていましたが、中学1年生のある日、祖母が腰の病気で入院することに。私も自然と病院で過ごす時間が増え、そこで働く人を見るうちに、漠然と大人になったら医療関係で働きたいと思うようになりました。中学の頃は祖母がお世話になった整形外科の医師になりたいと思っていましたが、高校生になり具体的な進路を考え始めた頃から外科に進みたいと思うようになり、大学進学後は外科と心臓外科を視野に入れつつ、いろんな科について学びました。
それからどのように、精神科の道を選ばれたのですか?
大学で幅広い分野を学び、最終的には救急医療に興味が湧き、名古屋掖済会病院での臨床研修を受けることに。ここは救急の歴史が深く、祖母や友人もお世話になった経験があり、救急をやるなら掖済会病院で働きたいと思っていました。1年目は救急で働きながら当直なども行い、2年目から救急と同時に心臓外科で研修を受けました。貴重な2年間でしたね。しかし医師として長く医療に携わりたいと考えた時に、特別な設備や薬がなくても、机と椅子さえあれば患者さんを治療できる精神科の医師になりたいと思うようになりました。「人の話をよく聞く、人を和ませる力がある」などの理由から、友人たちに精神科が向いていると勧められたのも大きいですね。臨床研修時代に積んだ経験は今も生きていて、精神的な部分のみならず、いろんな視点から患者さんを診られますので精神疾患以外の症状の発見に役立っています。
患者の背景を知り、カウンセリングなどを提案
これまで総合病院などで経験を積まれたそうですが、開業に踏み切ったきっかけは?
総合病院や個人のクリニックの勤務医も経験しましたが、診療機関ごとに患者層が違うと感じました。中でもクリニックに通院される患者さんは、ビジネスパーソンなど今すぐ症状を改善してほしいという方が比較的に多いです。私自身、目の前の患者さんを、一番身近で診られるクリニックが向いていると思い、開業に踏み切りました。開業してみると、いろんなお立場の患者さんと出会えるようになったので良かったです。当院にも重度の精神疾患に悩む患者さんもいらっしゃいますが、中には「こんなことで病院にかかってもいいのかしら」と迷って来られる方も。どんな患者さんが来てくださった時にも、常にねぎらう気持ちを大事にしています。
心療内科と精神科の違いについて教えてください。
精神科は内因性精神病と言い、統合失調症や躁うつ病など精神疾患を扱います。心療内科はそれに伴う自律神経失調症や頭痛、手足のしびれや動悸など、身体症状が絡む症状を診る科です。初診の流れとしては、受付後に問診票を記入してもらい、その内容に基づいて私が患者さんの背景や、症状が出たきっかけをヒアリングします。その日または数回通院してもらった後に診断をつけて、精神療法や薬物治療、臨床心理士による心理カウンセリングなどの治療に入る流れです。薬物治療を希望しない方には、私の診断後に心理カウンセリングを受けていただくという流れもあります。
どのような症状に悩む患者さんがいらっしゃるのですか?
軽症うつ病、適応障害に悩む方が多いですね。近年、メディアでもよく耳にする適応障害というものは、日によって症状が異なります。平日は症状が出るけど休日は問題ない、友人関係はいいけど職場関係の人は駄目など。例えば、周りの人から「いつもと違う」と言われたり、これまでにないくらい仕事や学校を休んだり、生きることがつらいという気持ちがある方は、迷わずクリニックへ来てください。また、心の悩みを抱える患者さんのご家族に心がけていただきたいのが、孤独を感じさせないためにはどうするかということ。なかなか同じ立場にはなれませんが、何もできなくても話を否定せず、軌道修正しながら寄り添うことが大事です。無理に元気にさせようとせず、そばにいてあげてください。
大切にしているのは患者を尊敬し、感謝すること
先生の健康法や、心を元気に保つための予防法を教えてください。
私の健康法は旅行や散歩に出かけることですね。知らない町並みなどを散策すると気持ちもリフレッシュしますし、いい運動になります。あと、野球が好きなので、スポーツ観戦も楽しみの一つです。また、皆さんにも心を元気に保つための方法として、適度な運動やバランスの食事はもちろんのこと、一人で悩まないように心がけてほしいです。一人でいることは悪くありませんが 取り残されているという孤独感をなるべく感じないように、サークル活動や映画読書など気分転換になることを、ぜひ生活の中に取り入れてください。
診療する上で大切にしていることや、どんな時に喜びを感じますか?
いつも心がけているのは、患者さんをねぎらい、安心感を与えること。そして何より、患者さんを尊敬することを一番大事にしています。家族や友達のように大事に接して、当院を選んできてくれたことに感謝しています。診療の際に最も気をつけているのは、診療室から不調な顔のまま出て行かせないことです。少しでも楽になったと思ってもらいたいですからね。薬を1ヵ月処方しても、いつでも来てくださいと伝えますし、今はつらくても通院を続けてくれれば、3ヵ月後や半年後、1年後を見ると変わっていくと思うからと明るいビジョンを伝えるようにしています。医師として何よりうれしいのは患者さんが通院を卒業できた場合ですね。また、診療ではいつも一定のスタンスを保つようにしています。例えば、症状が良くなったことに患者さんと一緒になって喜ぶのは大事ですが、一度やってしまうと、次はもっと先生を喜ばせなきゃと患者さんが無理をしてしまいますので。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
良くなるという気持ちさえ持てば症状は改善につながるので、一番何をしたらいいか考えることが大切です。ぜひ私たちと一緒に治療していきましょう。スタッフ全員で協力するので、通院してくれれば、根気よく治療をします。ちょっとでも不安があれば、気軽にお越しください。もちろん実際に来院されて、精神的な疾患ではない場合は、適正な医療機関を紹介するので心配いりません。来院前に予約の電話をいただければ、スタッフが症状を聞いて対応します。電話だけでも構わないので、スタッフ一同お待ちしています。