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小野 晃嗣 理事長の独自取材記事

おのクリニック

(新潟市中央区/新潟駅)

最終更新日:2022/08/29

小野晃嗣理事長 おのクリニック main

新潟駅南口から徒歩10分、中央区笹口エリアにある「おのクリニック」。「癒やしの森」をコンセプトにした緑に囲まれた外観は、訪れる患者の心を和ませてくれる。2007年に開業以来、近隣住民だけではなく遠方からも多くの患者が訪れる同院の理事長を務めるのは、脳神経外科を専門とし研鑽を積んだ小野晃嗣先生。診療では頭痛治療に力を入れ、「困っている人にできるだけ早く医療の手を届けたい」という言葉からは、患者に寄り添う親身な診療スタンスが伝わってくる。認知症患者の医療と福祉の連携にも力を注ぎ、診療のモットーは笑顔だと話す小野理事長に、クリニックの特徴や力を入れている頭痛治療、また医師を志した頃のエピソードについて、たっぷりと語ってもらった。

(取材日2022年7月13日)

癒やしの森の環境で体も心にも優しい医療を提供したい

笹口エリアに開業するにあたり、この場所を選んだ理由をお聞かせください。

小野晃嗣理事長 おのクリニック1

開業するのであれば緑の多いところがいいなと思っていて、その場所を探していました。そして見つかったのが現在の場所で、街中でこれだけ緑があるところは本当に珍しかったんです。ですので、当院の外観周りにある樹木は、もともとあったものを自然のまま生かしているんですよ。やはり自然の緑は落ち着きますし、気持ちも癒やしてくれます。当院は病とともに心も癒やすような優しい医療をめざして16年前に開業いたしました。この自然あふれる空間が、患者さんの不安感の軽減につながればうれしいですね。

先生は新潟県のみならず山形や長野でも研鑽されておられますが、地域医療の違いなどはあるのでしょうか?

僕は、生まれは東京ですが親が転勤族で、各地を転々とした後、新潟大学に進学しました。大学卒業後は、山形県立中央病院脳神経外科に勤務しました。地域として特別に違いは感じたことはありませんでしたが、勤務をしていた昭和60年代は交通事故と脳卒中がとても多い年代でした。私は基幹病院に勤めていましたので、救急搬送や夜間の緊急手術なども日常茶飯事でした。何日も自宅に帰れないという状態でしたが、まだ若かったので元気でしたね。その後、水原郷病院に勤務した後、諏訪湖畔病院に勤務しました。そこは当時、県内で数少ない脳神経外科を備えた病院でしたので、地域の方々にはとても大切に扱っていただいたと思います。当時は今ほど医療が進歩していませんでしたが、患者さんも私たち医師も現在に比べるととても素朴でしたし、ともに助け合っていたと思います。

こちらの患者層や特徴、最近目立つ主訴についてお聞かせください。

小野晃嗣理事長 おのクリニック2

年間を通して最も多いのは頭痛です。季節の変わり目など厳しい時期になると増えてくるのが、めまいですね。それが当院の二大主訴でしょうか。頭痛は30代から50代の女性が多く、めまいでは壮年期から更年期と広い年齢層の受診となります。また、次に多いのが認知症の患者さんで年齢は70代から80代の方になります。ただし、認知症は医療介入で進行を遅らせることは期待できても、治癒はできない疾患です。そのため介護の介入が必要となり福祉との連携が欠かせなくなります。当院では各地区のケアマネジャーさんや、地域の包括支援センターと連携しております。やはり、認知症の場合は治療よりも必要なのは日頃の生活をどうサポートするのかという点です。患者さんのご家族やケアマネジャーさん、われわれ医療者など、支援者たち皆が協力することが大切ではないかと考えています。

脳神経外科ならではのオーダーメイドの頭痛治療を

頭痛についてお聞かせください。

小野晃嗣理事長 おのクリニック3

頭痛は片頭痛と、慢性の肩凝りなどが原因で発症する緊張型頭痛に分けられます。しかし、一般的な内科で緊張型頭痛と言われた方も頭痛の専門家から診ると片頭痛であるケースがとても多いのです。もしくは緊張型頭痛と片頭痛の両方を持っているというケースもあります。ご自身で緊張型頭痛だと思い込んでいらっしゃる患者さんも、よくいらっしゃいますが、寝込んだり、仕事ができなかったりするほどつらいものは片頭痛です。それをわかった上で上手に薬を選んであげないと根本的な改善にはつながりません。鎮痛剤ばかり飲んでいると、なかなか治らないこじれた頭痛に発展してしまう危険性もあります。また、片頭痛ではなく、脳に大きな病気が潜んでいる可能性もありますので、まずはきちんと検査を受けられることをお勧めします。

こちらのクリニックで行っている頭痛治療について教えてください。

頭痛の治療はオーダーメイドです。皆さん同じ治療ではなく、お一人お一人の症状や経過をしっかりとヒアリングした上で、漢方や新薬、注射なども含めて、患者さんと相談しながら治療を進めていきます。最近では、新しい頭痛薬の開発も進んでいます。長年悩まされていた慢性の片頭痛が緩和されれば、日々の生活の質も大きく向上するはず。頭痛は我慢することが当たり前と思わずに、まずは相談していただけたらと思います。

こちらならではの強みは?

小野晃嗣理事長 おのクリニック4

予約なしで受診いただけることです。本音を言うとオペレーションとしてはかなり大変なんですが、困っている患者さんをできる限り診るというスタンスを貫いています。「困っているから早く診てほしい」という患者さんを早く診られるように受付順を採用しています。

患者さんと接する際に心がけていることはありますか?

笑顔ですね。診察室には、初めての方も常連の方もいろいろな気持ちで入ってこられます。しかし、出て行く時には「来て良かったな」と思っていただきたいと考えて日々の診療をしております。また、必ず一言「良かったですね」と声をかけるようにしています。クリニックで起こることは、決していいことばかりではありません。病気が見つかり肩を落とされる方もいらっしゃいます。けれども「早く見つかって良かったですね」と、声をかけて、少しでも気持ちを軽くしてもらいたいのです。そして、診察室を出る時には、前向きになっていただくことが大切だと思っています。

希望を与えられる医師という仕事に笑顔と誇りを持って

脳神経外科を専門にされたきっかけは何なのでしょう。

小野晃嗣理事長 おのクリニック5

学生時代に新潟大学の脳研究所で実験助手のアルバイトをしていまして、それがきっかけで神経に興味を持ちました。一般の医学生にとっては、神経は実はとっつきにくい分野なのですが、自分で興味を持って取り組むと面白味を感じ、どんどん夢中になっていったんですよ。また、新潟大学は脳神経外科分野で全国的にも屈指の歴史と実績があり、そこの脳研究所でアルバイトをしていたご縁から、卒業後は迷わず脳神経外科に入局しました。医師としての研修は、山形県立中央病院を皮切りに、水原郷病院、諏訪湖畔病院、長岡中央綜合病院などで修行を重ねていき、大学で研究の道へと進んでいきました。

大学時代や勤務医時代の印象的なエピソードなどあれば教えてください。

学生時代に出会った患者さんと担当の先生との出来事なんですが、学生はローテートといってあちこちの診療科を回るんです。内科の外来を見学した時、診療を受けていたのが拒食症の方でした。拒食症は神経系の病気で食思不振症という病気なんです。患者さんはガリガリに痩せた女性の方で、学生の私から見ても大変な状況でした。でも笑ってニコニコして主治医の先生について私におっしゃるんですよ「私はこの先生に助けられた」と。主治医の先生の笑顔に助けられたと言われるんです。その患者さんにお会いしたのは一度きりですが、すごく印象に残っていて、医師は「体も心もつらい人に希望を与えられる仕事なんだ」と教えられました。その時の経験が、実際に医師となった今、患者さんに笑顔と「良かったですね」と前向きな言葉がけをすることへとつながっています。

今後の展望をお聞かせください。

小野晃嗣理事長 おのクリニック6

今のスタンスを守って、困っている人にできるだけ早く医療の手が届くようにしていきたいと思っています。治療に関して言うと、実は僕自身も頭痛持ちなんですよ。ですので、頭痛のつらさはよくわかっています。困っている患者さんたちが、少しでも改善に向かえるように、提供できる医療も向上させていきたいと常に考えています。私は現在67歳です。「いつまで診療できますか」と問われると明確には答えられませんが、体と脳が健康なうちは頑張っていきたいと思っています。

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