全国のドクター13,820人の想いを取材
クリニック・病院 156,768件の情報を掲載(2025年6月21日現在)

ドクターズ・ファイル会員でできること

予約情報をマイページ上で管理できます!

過去の予約を一覧化

予約内容の確認

予約の変更・キャンセル※

※一部対象外の医療機関もありますので、あらかじめご了承ください

会員登録がお済みでない方は

すでに会員の方は

  1. TOP
  2. 埼玉県
  3. さいたま市浦和区
  4. 浦和駅
  5. 坂井メンタルクリニック
  6. 坂井 俊之 院長

坂井 俊之 院長の独自取材記事

坂井メンタルクリニック

(さいたま市浦和区/浦和駅)

最終更新日:2024/10/18

坂井俊之院長 坂井メンタルクリニック main

浦和駅から徒歩1分の便利な場所にある「坂井メンタルクリニック」。内装は、白い壁と木目調の腰壁の組み合わせが温かな雰囲気を醸し、診療室は遮音でプライバシーも確保している。院長の坂井俊之先生は、昭和大学病院で重い精神疾患の治療から、うつ病、パニック障害、不安障害などの薬物療法まで幅広く経験を積んだ。その後、さらに重い閉鎖病棟での精神疾患の治療と地域医療、社会復帰をめざすことを含む福祉的サポートを学んできた。その豊富な診療経験と、産業医学からアプローチする知見を生かし、現在は精神科と心療内科のさまざまな症状に対応している。「患者さんが元の生活を取り戻し、笑顔が戻るようお手伝いをしていきたいです」と、語る坂井院長に、これまでの経歴やクリニックの概要、診療の流れなどについて、広く聞かせてもらった。

(取材日2024年10月2日)

浦和駅すぐ前。幅広い年齢層が訪れる精神科クリニック

まずは、クリニックの概要を教えてください。

坂井俊之院長 坂井メンタルクリニック1

当院は浦和に2007年に開業した精神科・心療内科のクリニックです。パニック障害や社会不安障害、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、強迫性障害など、精神科の病気の診療と、ストレスなどによって起こる体の不調を診させていただいています。診療室はリラックスしてお話しいただけるように、待合室などに声が漏れない遮音にしています。精神科の診断や治療については、医師独自の進め方ではなく、画一的にならないように患者さんの特性や背景を加味して判断し、エビデンスに基づいた標準的な治療を心がけています。その中で休職や復職などの支援も行い、患者さんが元の笑顔を取り戻すためのお手伝いをしていきたいと思っています。また、当院は治療をして回復をめざすことが診療の基本となるため、診断書のみを希望される方のニーズには応えられていません。予約制で、もし同席される方がいる場合も予約が必要です。

主な患者層や主訴についてお聞かせください。

当院は地域のクリニックということもあり、20歳から90代まで幅広い年齢層の方がいらっしゃいます。通院は半年から1年という長めのスパンになるので、通院しやすい地域にお住まいの方やお勤めの方が多いです。うつ病やパニック障害、不安障害の方が多く、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、発達障害、睡眠障害の方もいらっしゃいます。職場環境に悩む働く世代の方も多いですが、今は高齢者のうつが増加しています。体は元気な方が増えている中で、心に不調を抱える方が目立つようです。80~90代でも治療を受けることで、「水泳を再開した」「歌の会にまた参加できた」といったお話を聞けると、とてもうれしいですね。

どのような症状があったら受診を考えたほうが良いですか?

坂井俊之院長 坂井メンタルクリニック2

一つの目安として今までできていたことができなくなったら、受診を検討してみてください。例えば、働き盛りの世代の方ならば、仕事が今までどおりにできない、普段だったら半日で終わる仕事が1日かけても終わらない、それが週単位で続くのは受診の目安になると思います。会社に行けない日が続くことは、症状としては重い段階です。精神科でも早期発見・早期治療の利点はあり、ご本人がいつもと違うと感じるようでしたら、受診を考えてみてもいいのではないでしょうか。

産業医学の知見を生かし復職支援も行う

先生のご経歴を教えてください。

坂井俊之院長 坂井メンタルクリニック3

昭和大学医学部を卒業後、同大学の精神科に入局しました。大学病院では珍しく閉鎖病棟があり、症状の重い方や合併症のある患者さんが入院されていたことで、さまざまな治療経験を積めました。師事していた教授がうつ病やパニック障害、不安症に対する薬物療法の専門家であったことも、今の診療にとても役立っています。その後、埼玉県立精神医療センター急性期精神科に勤め、こちらではさらに重い精神疾患の診療と併せて地域医療についても学ぶことができました。後に勤めた東京都立中部総合精神保健福祉センターも、地域との連携が深い施設で、ホームヘルパー利用などの公的サービスや地域のリハビリテーション施設など保健福祉のさまざまなサポート、必要な方への手帳取得の支援、社会復帰の手助けもしてきました。地域で患者さんを支えてきた経験は、今の診療にも生かされています。

診療はどのように行われますか?

まず初診でしっかりと時間を取ってお話をお聞きします。精神科の病気は検査をして原因がわかるものではなく、患者さんが意識していないことでも病気の症状に影響を与えている場合がありますので、これまでの生い立ちや家族関係、今のお仕事や生活環境などさまざまなお話から理解を深めていきます。ご負担かもしれませんが、チェックリストや問診表をたくさん用意してご記入いただいています。詳しく聞くことは、のちのちの診断でも役立ちますので、初診の時間はとても大事です。診断をして病気が判明すれば、標準的な治療を行います。薬物療法は治療の有用な方法ですので、症状に合わせ、量や種類を調整して薬を処方しています。

薬物療法の他に、回復に向けて重要なことは何ですか?

坂井俊之院長 坂井メンタルクリニック4

生活習慣と環境を整えることは回復に有用な場合が多いので、診療で指導することがあります。刺激が多すぎる場合は静かな環境をめざし、休養が取りにくいような仕事環境であれば、休職を勧めるケースもあります。逆に、回復して休職から復職をめざす際は、仕事をしていた時と同じような生活リズムに戻すことが重要です。1日8時間・週5日働けるような気力と体力がないと再発の可能性も高まりますので、どうやってそこまで活動性を上げていくのかを考慮し、慎重にサポートしていきます。私は開業前から企業や地方自治体で働く方たちのメンタルヘルスケアの経験があり、復職・休職の支援も得意としています。

精神科の診療とカウンセリングの違いは何でしょうか?

精神科の診療では、医師が生活指導や病気の説明、薬のメリットとデメリットのお話、復職支援などをします。カウンセリングは医師というよりは主に臨床心理士が担当し、長い時間をかけてストレスや心の葛藤への洞察を深めたり、自分の認知のゆがみを修正したりといった心理相談を行います。当院は地域の精神科クリニックとして多くの方を受け入れたいと思っていることから、カウンセリングは行っていません。どうしても必要な方にはカウンセリングオフィスを紹介することも可能です。

誰にでも起こり得る精神の病気。希望を失わずに受診を

医師をめざしたきっかけや、医師として喜びを感じる瞬間などを教えてください。

坂井俊之院長 坂井メンタルクリニック5

私は、高校時代に病気で入院をしたこともあり、高校3年間はあまり勉強も運動も遊びも十分にできませんでした。大学進学をめざすも大きな目標を持てず受験し、失敗。そこで、一念発起して医師をめざすことにしたのです。病気の経験が医学の道をめざすことに強く影響を与えました。精神科に進んだのは、もともと人間の心理に興味があり、医学部に入る時には精神科に入局すると決めていましたね。大学病院や県立病院、都立病院などに勤務をして、やはり地域に根差す診療所が患者さん一人ひとりを診ていくことが重要であると気づき開業したのですが、開業から現在に至るまで診療できていることをありがたく感じています。精神科の病気は治療が難しく、再発もしやすいのですが、きちんと治療を終えられた患者さんから「お世話になりました」と言っていただき、それに対し「ここに来ることのないようにしましょう」と伝えられたなら感慨深く思えるでしょうね。

ところで、お仕事終わりや休日に行う楽しみは何かありますか?

ハイキングやトレッキングなどのアウトドアが好きで、冬はスキーにも行きます。ですが、どちらも時間を取るものなので、普段は料理を楽しんでいます。新型コロナウイルス感染症が流行してから外食がなかなかできず、この辺りもお店がほとんど開いていなかったので、それをきっかけに料理を始めたんです。ですので、約4年間続けています。最近は週2回、一緒に働いている妻の分もお弁当を作って持ってきているんですよ。

最後に地域の方へのメッセージをお願いします。

坂井俊之院長 坂井メンタルクリニック6

精神疾患は誰にでも起こる病気ですから、あまり特別なことと思わずに受診してほしいです。一人で考え込まず、なんだかいつもと違うなと思ったら受診を検討してみてください。精神科の病気になると絶望感を抱えてしまう方もいるのですが、後で振り返ってみると人生の中のほんの短い期間だったりしますので、希望を失わずに、精神科の治療を受けていただきたいです。

Access