渡邊 治彦 院長の独自取材記事
わたなべ整形外科
(いなべ市/楚原駅)
最終更新日:2025/08/29

三重県いなべ市、幹線道路である県道から少し進んだ広大な土地に構える「わたなべ整形外科」は整形外科医師として総合病院などで研鑽を積み、日本整形外科学会認定整形外科専門医の資格も持つ渡邊治彦(はるひこ)先生が地域医療に貢献するために開業したかかりつけクリニックだ。同院では、渡邊院長の長年にわたる経験と、スタッフ一丸となった診療体制を生かしながら、患者一人ひとりに合わせた親身な診療を提供する。常に患者目線で地域に寄り添ってきた渡邊院長に診療のモットーや今後の目標をじっくりと聞いた。
(取材日2019年10月31日/情報更新日2024年7月25日)
整形外科のエキスパートとして、経験を生かした診療を
先生が医師をめざされたきっかけは何ですか?

実は僕の家系には政治家や公務員が多く、医療関係者はいませんでした。身内の中で医師は僕と妹だけです。僕自身は少年時代はスポーツが好きで野球に打ち込んでいました。野球を続けるために大阪の某大学の付属高校へ進学したのですが、その学校が不祥事により活動停止処分を受けてしまったのです。空いた時間で予備校の講習会に通い勉強に専念したところ、理系の成績がどんどん上がり、医学部も狙えるようになりました。そこで、推薦入学を辞退し、医学部受験一本に絞り、運良く現役で関西医科大学に入学できました。大学時代はラグビーをやっていたのですが、ラグビーの先輩方は整形外科の分野に進む人が多く、なんとなく整形外科を専門に学ぶことを決めました。現在もラグビー部の先輩後輩の整形外科の先生に手術をお願いしたり、ラグビー観戦に行ったりと、縦横の絆で強くつながれています。
開業までの経緯を教えてください。
1989年に関西医科大学を卒業後、同大学整形外科学教室に入局し学位を取得するまでの10年間は、関西圏内でしか仕事の経験がありませんでした。手術のスペシャリストになるか、地域医療に貢献するために地元で開業するか、二者択一を迫られましたが、尊敬する恩師であった当時の教授が退官するタイミングで、両親のふるさとであるいなべ市で開業するために三重県に戻り、1999年に35歳で開業しました。
医院の周りに調剤薬局まで整えられているのですね。

3歳年下の妹が内科の非常勤医師として週2回勤務することになったのと、田舎のかかりつけ医として他科の多種多様な薬を処方するために調剤薬局を誘致したんです。整形外科でも骨粗しょう症やリウマチ、神経痛、慢性疼痛などに対する新しい薬はどんどん開発されますので、すぐに購入をお願いし対応していただけるのは感謝の気持ちしかありません。開業地は、公共機関も乏しく車なしでは生活できない場所ですので、95%の患者さんが車通院です。こつこつと近隣の地主と交渉して、1700坪の土地を譲っていただき、現在は2000坪の広大な土地に十分な駐車場を確保することができました。
幅広い年代の症状に対応し、地域医療に貢献する
どんな診療を行っていらっしゃいますか。

変形性関節症や脊椎症、骨粗しょう症などの高齢者に多い疾患や、頸椎・腰椎のヘルニア、肩関節周囲炎などの働き盛りの患者さんに多い疾患には、関節注射・ブロック注射・投薬・点滴・リハビリテーションなどの保存治療を行います。骨折、靱帯損傷などの青少年に多いスポーツ外傷に対しては、固定・リハビリ期間をできるだけ短縮し、早期にスポーツ復帰させるよう心がけています。リウマチ患者さんには、生物学的製剤やJAK阻害剤を積極的に使用し、QOL向上に努めております。重症化した巻き爪・ばね指などの日帰り手術を行う一方、手術や入院の必要な患者さんは、スペシャリストの先生方に速やかに紹介し、多岐にわたる整形外科疾患の治療に尽力しています。
スタッフの体制について教えてください。
今は看護師、受付、リハビリのスタッフ、柔道整復師を合わせて16人。そこに経理を担当している妻や内科医師の妹など家族を含めて20人で対応しています。おかげさまでクチコミで日々多くの患者さんにご来院いただいています。当院では、1人の患者さんをできるだけ素早く治療して、その方のクチコミで次に5人の患者さんにご来院いただくようなイメージで診療を提供しています。もちろん一定期間リハビリが必要な疾患はありますが、それ以外ではできる限り1回の通院で治療を完結し、次の予約を取らずにお帰りいただくことが理想です。当院の看護師は25年継続勤務のオープニングスタッフを筆頭に、経験豊富なベテランぞろいです。また、リハビリスタッフは技術もさることながら人当たりも良く、患者さんからも慕われています。
診療のモットーはありますか?

痛みは人間にとって苦痛ですから、患者さんにできるだけ負担の少ない方法で痛みを取り除き、なるべく早く社会復帰を果たして、快適な状態へと戻っていただけるよう意識しています。診療の目標は、例えば車いすで来院した方でも診察終了後には独歩で帰宅できるように、診察時間内にできることは躊躇なく行っています。診療については、関節注射・ブロック注射・点滴・装具療法・リハビリなどの保存治療を患者さん一人ひとりに合わせて行うことを意識しています。
他院との連携体制づくりにも力を入れる
他院との連携について教えてください。

他院との連携は緊密に取っています。例えばMRI・CT機器は当院にはありませんので、近隣の連携病院にお願いしています。その病院から大学病院の放射線科に診断依頼し、見落とし予防に二重のチェック体制を取っていただいております。入院が必要な患者さんを他院に紹介する場合も、関節・脊椎・手の外科・腫瘍などの信頼できる各専門の医師を紹介し、高度な技術を要する手術もお願いしています。
接骨院からの紹介で来院する患者さんもいると伺いました。
はい。当院では、接骨院との医接連携体制を確立しています。接骨院に通院している患者さんの中で、整形外科での診断や治療が必要な患者さんの紹介・逆紹介を積極的に行っています。
今後の展望を教えてください。

勤務医を10年、開業医を25年以上経験してみて、超高齢社会に伴いロコモティブ症候群で苦しんでいる患者さんや、スポーツによる痛みに苦しんでいる患者さんも、多数おられるということがわかりました。遠方からわざわざ当院を選択して来院してくださる方も多くいらっしゃいます。その背景には、痛みを取るために親身になって、治してあげようと全力で取り組んできたことがあると自負しております。これからも、患者さん一人ひとりを自分の家族同様に考え、ベターな治療で満足することなくベストな治療を施せるように全力投球し、地域医療に貢献していきたいと考えております。