金 孝一 院長の独自取材記事
えんぴつ公園こどもクリニック
(市川市/南行徳駅)
最終更新日:2026/04/23
東京メトロ東西線の南行徳駅から歩いて1~2分ほどの場所にある「えんぴつ公園こどもクリニック」。一見すると保育園や幼稚園のような温かな印象だ。そんなクリニックの雰囲気同様、金孝一(きむ・ひょいる)院長は、優しく穏やかな口調が印象的。院長自身がカバに似ているということから、クリニックのキャラクターにカバを採用し、子どもたちからも「カバ先生」や「えんぴつ先生」と呼ばれて親しまれている。取材では、金院長が診療する上で大事にしていることや、地域の親子への思い、スタッフたちと力を入れて取り組む院内イベントなどについて聞いた。
(取材日2025年6月23日)
一人ひとりに時間をかけて丁寧な診察を
小児科の医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

大層なエピソードはないのですが、子どもが持つ「絶対に生きる」という意識に応えたいと思ったからです。生まれたばかりの赤ちゃんがオギャーと泣くのは、生きようとしているから。赤ちゃんが「自分なんか生きていないほうがいい」なんてことは、絶対に言いませんよね。実際に小児医療の現場では彼らの持つ強い生命力を常に感じられますし、人としても診療上でもそれに救われます。また、生きていく上ではさまざまな診療科にかかることになりますが、人によってはまったく関わらないまま終える診療科もあるでしょう。小児科医は生まれた時から大人になるまでの子どもたち全員が対象ですので、すべての人に必要とされる仕事であるとも考えました。
南行徳に開業された理由を教えてください。

私は順天堂大学出身なのですが、大学卒業後に順天堂大学医学部附属浦安病院で勤務し、その後も浦安・市川市民病院と、浦安・行徳地域でずっと新生児・小児科の医師を務めてきました。勤務医時代には「開業するなら近所にしてくださいね」と多くの患者さんから声をかけてもらったこともあって、この地域を選びました。本来医師はあらゆる地域で勤務することが通常なので、私のように一つの地域に留まっているのは珍しいかもしれません。おかげで生まれた時から長く診させていただいている患者さんも多いです。地域の特性もある程度理解できていますので、患者さんとの接点も持ちやすいですね。
最近増えている相談などはありますか?
便秘に関する相談が増えています。子どもの便秘は風邪によって引き起こされることもありますが、中には改善せず治療が必要になるケースも少なくありません。腸に常に便がたまった状態でいると、便意が感じにくくなり、お漏らしをするリスクにもつながります。特に、離乳食の開始・終了時や入学のタイミングなどは便秘になりやすい時期です。当院では、生活習慣の見直しや食事療法をはじめ、場合によっては腸内の働きを活発にさせるための薬を処方することがあります。こうした便秘や夜尿症などの長期通院が必要になる症状に対しては、日誌を活用して一緒に経過観察を行い、寄り添って支えることを大切にしています。お子さんの便秘が気になる場合は気軽にご相談ください。
スタッフが主役となり乳児健診や院内イベントにも注力
こちらのクリニックでは乳児健診に力を入れていると伺っております。

育児は授乳から始まり、離乳食やトイレトレーニングなどめまぐるしく、その分悩みも尽きません。当院ではまずスタッフが親御さんからじっくりお困り事や不安な点をお伺いし、私がそれらを認識した上で診察を始めます。健診中、お子さんはスタッフと月齢に合わせた遊びをしてもらいます。これは私たちがお子さんの発達の進み具合を把握するとともに、親御さんにもご確認いただけるようにと考えてのことです。健診後はスタッフがお子さんのできていたことをお伝えし、成長ぶりを実感していただきます。さらには医師と話してみて伝えきれなかったことなどがあれば丁寧に伺い、不安を残したままお帰りいただくことがないよう努めています。全体で1時間に及ぶ健診なので同じスタッフが付き添うことでスムーズにコミュニケーションが取れるよう配慮しています。
スタッフさんが幅広く活躍されているクリニックなのですね。
当院の主役はスタッフです。資格を要する医療行為は担当者が行いますが、それ以外のことは全員で共有しています。特に乳児健診では子どもの発達についての医学的な知識が必要なので、医学書や保育の専門書を読むなどしてそれぞれが勉強に励んでいます。また、親御さんから漫然とお話を聴くのではお悩みや不安に思うことをお聞きすることはできません。そこでインタビュースキルの専門書から傾聴などについて学んだり、講師の方をお招きして直接アドバイスをいただいたりしています。皆、努力を重ねるにつれ少しづつ自信もつき、近年は小児医療の勉強会で、他のクリニックの皆さんの前で当院の乳児健診について発表するにまで至りました。
院内で、親子向けのイベントも開催されているそうですね。

診療以外でも、保護者やお子さんの生活を支えるために何かできないかということは常々考えていました。そんな中で、2024年に当院が20周年を迎えましたので、スタッフたちと相談して記念イベントを開催したことが始まりです。内容は院内ツアーに加え、便秘、離乳食、遊びに関する講演会の4つです。すべてスタッフの発案によるもので、小児医療に関する勉強会に参加した際に得た知見をヒントにしたスタッフもいます。実際に、イベントには多くの親子が参加してくれて、いろいろな情報を得られただけでなく、私たちや他の親子とも交流を図れたことを喜んでくださいました。その時に、地域の親子が集う場としてのニーズを強く感じたんです。そこでスタッフたちと話し合い、イベントの継続を決めました。現在は「親子であそぼう会」と「離乳食講演会」の2つのイベントを、月に1~2回程度開催しています。多くの方にご参加いただけたらうれしいです。
これからもホッとして家路につける診療をめざして
診療する上で大事にしていることがあれば教えてください。

診療方針にも掲げていますが、大事なのは「ホッとして家路につける診療」でしょうか。診察や薬の処方に終始せず、ホームドクターとして患者さんや親御さんの不安や疑問にもきちんと寄り添うことを大切にしています。新型コロナウイルス感染症の流行を経て、オンライン診療も増えてきましたし、この2~3年で診療形態もだいぶ変わってきました。ちまたでは子どもにまつわる多くの病気が取り沙汰され、どのタイミングで、どんな検査をして、どんな薬を飲んだらいいのか不安に感じられることも多いでしょう。ただその中でも当院が大事にしていることは、やはり人と人だと思っています。たくさんの検査やお薬などの「数をもって制する医療」よりも、適切な診察と丁寧な対話が患者さんの安心につながればと思っています。親御さんに「よくわかりました」や「安心しました」と言っていただけるように努めています。
地域医療に貢献するために重要なことは何でしょうか。
今は大規模病院と地域の診療所は明確に区分されていると思います。昔のように風邪でもなんでも病院という時代ではありません。その中で、地域のクリニックの務めの一つは、皆さんの日常に寄り添い、ご相談に乗ることだと思っています。病気に関わらず、衣・食・住に至るまで、親御さんのお悩みは多岐にわたりますし、インターネットの膨大な情報から適切なものを取捨選択するのは容易ではありません。「どんな時に来院したらいいですか?」というご質問をよく受けるのですが、「親御さんが不安や疑問に思ったらいつでも」とお答えしています。当院を受診するのに軽症であることや専門外といったことは問題ではありません。不要不急に思えても「ちょっと聞いてみよう」と思ってもらえることが大事だと思っています。そうした中で専門的な対応が必要になった際には迅速に病院へとつなぐのも、私たちの重要な役割ではないでしょうか。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

子どもを授かると誰もが理想とする育児を思い描き、それを成し遂げようと努力するのだと思います。でも、実際は思いもかけないことばかりで、時に、うまくいかずに落ち込むことも少なくないでしょう。そんなときは決して一人で抱え込まず、誰かと分かち合えたらと思います。それは家族であったり、友人であったりもするでしょう。そして、そこに私たちも仲間に入れてもらえたら、うれしいですね。私たちは皆さんの傍らでお話を聞き、育児に寄り添えればと願っています。お悩みや困ったことがありましたら、ぜひ当院までご相談ください。

