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吉岡 博 院長の独自取材記事

よしおかこどもクリニック

(京都市西京区/桂駅)

最終更新日:2025/07/09

吉岡博院長 よしおかこどもクリニック main

阪急京都本線の桂駅から徒歩約7分の住宅地にたたずむ「よしおかこどもクリニック」。吉岡博院長は京都府立医科大学で長年後進の指導にあたっていたが、2002年に父の遺志を継ぐ形で開業した。「クリニックにやってくる子どもたちがかわいくて。僕のほうが癒やされているんですよ」と穏やかにほほ笑む姿からは、77歳とは思えない若々しさと子どもへの深い愛情が伝わってくる。小児神経とてんかんの専門家でありながら、「小児科医はすべての小児疾患を診ることが前提」と、あえて専門性を前面に押し出さない謙虚な姿勢も印象的だ。発達障害の相談では、道案内役として適切な機関を紹介し、共働き世帯の増加など時代の変化にも柔軟に対応する。そんな吉岡院長に、子どもや保護者への思いについて聞いた。

(取材日2025年5月30日)

父の思いを受け継ぎ、地域の子どもたちのために開業

どのような経緯で開業されたのですか?

吉岡博院長 よしおかこどもクリニック1

父が京都第一赤十字病院の小児科部長を経て、1970年頃にこの近辺で開業していました。将来は一緒に診療しようと話していたのですが、私が医師になってすぐに亡くなってしまったんです。当時はまだ若輩でしたから、父の医院は閉院とし、私は大学で25年間研鑽を積みました。新しい世代に引き継ぐ時期になり、助教授としても一区切りがついたので、「そろそろ父との約束を果たそう」と。2002年に現在の場所で開業しました。車で来院される患者さんも多いので駐車場も確保できるこの場所を選びました。開業当初から「来る人はできるだけ全部受け入れて診てあげよう」という気概でやってきました。困っている親御さんがいたら、全部診てあげようという思いは今も変わりません。

小児科医を志したきっかけと、大学での研究について教えてください。

一番は子どもが好きだったからでしょうね。父が新生児医療に力を注いでいた影響もあり、私も新生児の脳、特に脳の障害の原因を突き止めて治療法を開発するための研究をずっと大学でしていました。教授から「君は神経について極めなさい」と言われたのがきっかけですが、神経を専門にするならば新生児の神経にしようと研究を開始しました。その後、大学には約25年いて、その間に30人ぐらいの後進も指導しましたね。さらに、アメリカのペンシルベニア大学にも1年間客員教授として留学し、実験や研究を行いました。助手の時から教える立場でしたから、指導者としての経験も長いです。研究は大変なこともありましたが、やりがいは大きかったですね。

こちらのクリニックの特徴について教えてください。

吉岡博院長 よしおかこどもクリニック2

待合室から中待合室に入って診察室へ、そして診察室から直接待合室に出ていただく一方通行の動線にしています。診察前後の患者さんがすれ違わないよう、スムーズな動きにするための工夫です。患者さんは新生児から中学生までと幅広く、感染症にかかって来られる方が多いですね。基本的に小児科医は、子どもについて全部診ることができるのが基本です。迅速キットでインフルエンザや新型コロナウイルスも調べられます。私は小児神経とてんかんの専門家でもありますが、それに関係なく、お子さんに関する相談は何でも受けつけています。最近は忙しい親御さんも増えていて、その時々で空いている医療機関へ行く傾向がありますが、病気は刻々と変わるもの。複数回同じ医師にかかることで経過がよくわかり、その子の情報の積み重ねができます。見守ってもらえるかかりつけ医を持つことの大切さを知ってほしいですね。

道案内役としてあらゆる相談を受けつける

小児神経とてんかんの専門家として、どのような診療をされていますか?

吉岡博院長 よしおかこどもクリニック3

てんかんの患者さんは多くいらっしゃいますね。遠方だと大阪や奈良から来られる方もいます。コロナ以降の医療の変化に伴い、検査機器は設置をやめて血液検査は外注でお願いをし、脳波検査は近隣の病院にお願いしています。専門的な知識と長年の経験を生かしながら、患者さんに負担の少ない診療を心がけています。

発達障害の相談も増えているそうですね。

年齢を問わず増えていて、6割くらいは未成年です。日本の小中学生の8.8%に発達障害の可能性があるともいわれています。ただ、カウンセリングには時間がかかるので、熱のあるお子さんも診ている関係で私の所では十分な時間が取れません。そこで私は「道案内」をしています。どこに行けば相談に乗ってもらえるかわからず、困っている人がたくさんいますから。「ここに行けばきちんと対応してくれる」という適切な医療機関を紹介したり、役所でも「この窓口に行きなさい」と具体的に教えます。相談に行った先が間違っていると、その家族にとって役立つ答えが得られないことが多いですから。病名をつけることが目的ではなく、その子の長所や能力を明確にする仕分け作業として診断があり、その先に支援があると考えています。

発達障害について、どのようにお考えですか?

吉岡博院長 よしおかこどもクリニック4

アメリカから来た医学では何にでも病名をつける傾向がありますが、日本人は病名をつけられるとネガティブな方向にイメージしがちです。発達障害の中に自閉スペクトラム症がありますが、スペクトラムとついているということは極端に異常が目立つ子もいれば、ほぼ普通と思われる子も含まれるということです。ですから、発達障害は、少しでこぼこがあって癖があるけれど、必ずしも全部が問題ではない。特性というか個性があるわけだから、その特性のいい面を生かせばいい。病名をつけられたから大変なことだと思いすぎないでいてほしいですね。その子のいい面を生かせばすごく伸びる可能性もある。インターネットの情報だけでは不安でしょうがないでしょうから、そういう取捨選択のアドバイスをしてあげる場所が必要なんです。

子どもたちから癒やしをもらい、生涯現役で地域に貢献

診療で大切にされていることは何ですか?

吉岡博院長 よしおかこどもクリニック5

小児科は子どもの診察も大事ですが、親が納得するかどうかが一番だと考えています。ですので、親御さんが理解できるように話をすることを大切にしています。それと、お子さんが怖がらないように注射の際などは木のおもちゃを使って気をそらすようにしています。実は以前は白衣を着ずにシャツとネクタイで診療していました。そのほうがお子さんが泣かないんです。新型コロナウイルス感染症の流行期間を経て、仕方なく今の格好になりましたが。日々思っているのは、クリニックにやってくる子どもたちが本当にかわいいということ。お子さんの姿を見て、僕はいつも癒やされているんです。そんな自分にとって、小児科医は天職だと感じています。スタッフも、お子さんを複数連れてきて大変そうなお母さんを手伝いに行ったり、育児が初めてのお母さんに丁寧に話しかけていたりと、こまやかに対応してくれるのでたいへん助かっています。

77歳の今も現役で診療を続ける原動力は何ですか?

まだまだ元気ですから、「老兵」なんて言いながらも頑張っていますよ(笑)。日本小児科学会小児科専門医、日本小児神経学会小児神経専門医の資格も持っていて、研鑽を続けています。妻が食事に気を使ってくれているおかげで健康を維持できています。夜8時まで診療して9時に夕食というのは今の時代遅いかもしれませんが、全面的にサポートしてくれていてありがたいです。好きな食べ物はすしで、温泉に入ることも好きなのでそれがリフレッシュになっていますね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

吉岡博院長 よしおかこどもクリニック6

親御さんは医療については素人ですから、何も知らなくても恥ずかしいことではありません。どんな些細なことでも、そんなこと言ったら笑われるなんて心配せずに、気軽に医療のプロである医師に相談するのが一番いいと思います。核家族も多く、子育ての情報を祖父母から簡単に聞けない時代になりました。インターネットで調べても情報があふれすぎて選択が難しいですよね。生活スタイルが変わって、お母さんも仕事をしている人が増えました。そういう時代の変化も理解していますから、困ったことがあれば遠慮なく、安心して相談に来てください。診察では要領良くまとめて話していただけると助かりますが、わからないことは何でも聞いてもらって構いません。2025年7月からはウェブ予約も始めます。ただ「来たい人は拒まない」という姿勢は変わりませんので、ウェブで予約が取れない場合は電話してくれたら時間内であれば受けつけます。

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