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石田 史彦 院長の独自取材記事

いくた小児クリニック

(鎌倉市/大船駅)

最終更新日:2026/07/09

石田史彦院長 いくた小児クリニック main

大船駅笠間口から徒歩3分ほどの場所で、2003年の開院以来、地域の子どもたちと保護者に寄り添い続けてきた「いくた小児クリニック」。2026年4月、生田孝一郎前院長からバトンを受け継ぎ、新たに娘婿である石田史彦先生が院長に就任した。これまでも10年以上にわたり非常勤で同院の診療に携わってきた石田院長は、大学病院などでは約20年間、NICU(新生児集中治療室)で超低出生体重児をはじめとする数多くの重篤な赤ちゃんの命と向き合ってきた。前院長が築き上げてきた地域密着の温かい医療を土台とし、時代に合わせたアップデートを重ねて始動した同院の新たな展望と、診療への想いを聞いた。

(取材日2026年6月19日)

家族で紡ぎバトンをつなぐ、地域の小児科クリニック

クリニックを継承されたのですね。

石田史彦院長 いくた小児クリニック1

妻の父が立ち上げた当院には、私自身も10年以上前から非常勤として診療に関わってきました。一昨年あたりから代替わりを検討し始め、同じく小児科医師である妻を含めた家族でよく話し合った結果、私が引き継ぐこととなりました。これまでは、新生児医療を専門としてNICU(新生児集中治療室)の医師として20年ほど働いてきました。長く関わってきたこの場所を受け継ぐことができること、前院長が26年にわたり積み上げてこられたものの大きさを思うと、その重みと尊さを深く実感しています。また、患者さんとの長年の信頼関係をしっかりと守っていくことに大きな責任とやりがいを感じます。前院長が大切にしてきた地域医療のバトンをしっかりと受け継いでいきたいです。

診療体制について教えてください。

基本的には私が診療し、必要に応じて前院長と妻に加わってもらう体制で運営しています。家族ですので常時連絡も取れますし、感染症流行期などの忙しい時期にはヘルプに来てもらいやすい環境です。フレキシブルに動けるのは家族ならではのチームワークだと思っています。また、平日に休診日を設けず週6日とする診療体制は前院長から引き継いで維持しています。子どもの体調は急に変わるものですから、「困った時にいつでも来られる場所」でありたいというのが私の思いです。患者さんにとって、クリニックがいつも開いていることは、きっと安心やありがたさにつながっているのではないかと思います。その思いにお応えし続けることは決して簡単なことではありませんが、地域の医療機関として大切に守り続けていきたいと考えております。

同じ小児科医師として、前院長から何を学ばれましたか。

石田史彦院長 いくた小児クリニック2

前院長はここで26年もの間、クリニックを引っ張ってこられました。小児科医としてのキャリア全体で見れば50年にも及ぶ大ベテランですし、これまで一貫して地域の子どもたちや親御さんのために捧げてこられたその情熱は、同じ医師の目から見ても本当に尊敬されるべきものだと強く感じています。日々の診療で見せていた患者さんへの向き合い方や、地域からの厚い信頼というのは、一朝一夕で築けるものではありません。人が変われば当然医師としての個性や診療のスタイルに多少の違いは出てきますが、医療の根本にある「地域の子どもたちを守りたい」という思いは変わりません。前院長が築いた安心感を大切に守りながら、私もこの場所に立ち続けたいと思います。

NICUでの経験も糧に、親子に寄り添う診療スタイル

小児科診療で大切にしていることは何ですか。

石田史彦院長 いくた小児クリニック3

そんな大層なものはないんですが、よくお話を聞いて、誠実に対応する、そこに尽きるんじゃないかと思っています。小児科は、お子さんご本人と親御さんの双方から情報を集める必要がある点で他の科とは少し違っています。赤ちゃんはもちろん言葉で訴えることができませんから、私たちのほうで診察の所見や表情、様子など見た上で判断していく必要があります。一方で、親御さんのお話は非常に重要な情報です。日頃一番近くでお子さんを見ているのは親御さんですから、些細に思えることでも気になったことはぜひ教えていただきたいですね。「なんとなく変だ」という感覚も大切な情報です。

親御さんとのコミュニケーションで工夫されていることはありますか。

病歴を聞くのは当たり前のことですが、病歴以外のことからも診療に役立つ情報を引き出せるかどうかが大切だと思っています。例えば、その日の天気や季節のお話、もうすぐ運動会があるとか、遠足や修学旅行に行ったなどのお子さんを取り巻く環境や日常のイベントについても意識して伺い、想像を膨らませるようにしています。そういった生活環境の違いによって、病気の感染経路の予測やケアの方法も変わってきますからね。加えて、どうしても緊張しがちな診察室の場を少しでも和ませられるよう、一見病気とは関係のなさそうな世間話やちょっとしたお声がけを挟むようにしています。緊張しているお子さんや、心配でいっぱいの親御さんにとって、診察室を少しでも安心できる場所にできると良いですね。

NICUでのご経験は、今の診療にも生かされていますか。

石田史彦院長 いくた小児クリニック4

実際に扱う病気や重症度という点では、NICUの現場と街のクリニックとで違うことのほうが多いのは事実です。ただ、来院されるお子さんの親御さんたちの心理に目を向けると、本質的な部分は何も変わらないと感じています。病気が重たいから心配の度合いが大きくて、軽い病気だから心配が少ないというわけでは決してありません。軽度のお子さんであっても、親御さんは大きな不安を抱えていらっしゃいます。NICUでは、助かる子も助からない子もいるという命のせめぎ合いの中で、不安の大きいご両親に寄り添いながら、日々向き合ってまいりました。不用意なことを言わないというのはもちろんですが、一方で相手を元気づけることも大切で、その両方を意識し続けてきました。そうした経験は当院での診療にも十分に生かせますし、それが自分の強みにもなると思っています。

利便性をアップデートし、困った時いつでも頼れる場に

継承に伴い、刷新された部分があれば教えてください。

石田史彦院長 いくた小児クリニック5

基本的な医療の中身や姿勢はそのまま引き継いでいますが、外見やシステムをいくつか更新しました。まず内装を新しくし、ホームページの全面リニューアルを行いました。そして一番大きな変更点として、新しい予約システムを導入し、一般診療のほかに予防接種や乳幼児健診の予約もウェブ上で行えるようになっています。子育て中の親御さんは、平日の昼間にクリニックへ電話をかける時間を確保するだけでも本当に大変ですよね。24時間スマホからアクセスできれば、夜の少し家事が空いた時間などにも予約を確保していただけ、大きなメリットになると思っています。一方で、急な体調変化に対応できるよう、当日の来院もいつでも受けつけています。今は予約の方と当日来院の方が半々くらいです。お子さんの体調はいつ急変するかわかりませんから、予約でいっぱいだから診られないということは絶対に避けたいと考えています。

地域での役割をどのようにお考えですか。

26年続けてきたクリニックですので、長くお越しくださっている方には引き続き診療の場を提供したいというのが第一です。同時に、私が引き継いだことで新たなスタートでもありますから、地域に新しく生まれる子たちも含めて、またゼロから一緒に見守っていきたいとも考えています。この近くには小児科さんがたくさんあるのですが、当院には26年分の患者さんのカルテが積み上がっています。赤ちゃんの頃のカルテがある20歳の方が来てくださることもあるんですよ。そういった関係を引き継いでいけることは、この場所を守り続ける大きな意義だと感じています。

最後に、メッセージをお願いします。

石田史彦院長 いくた小児クリニック6

困った時に頼れる場所でいたいと思っています。些細なことでも構いませんので、気になることがあればお気軽に相談しにいらしてください。新生児医療に長く携わってきた経験がありますので、赤ちゃんや月齢の小さなお子さんの診療は特に得意としています。また週6日の診療を続けていますので、「困った時に来ていただける場所」として頼っていただけたらうれしいです。前院長から引き継いだ診療の姿勢は変わりません。見た目は多少アップデートしましたが、中身は今までどおりであり続けたいと思っています。「院長は変わりましたが、考えている根っこは一緒ですよ」とお伝えしたいです。新しくこの地域にいらっしゃった方にも、以前からお越しの方にも、ぜひ安心してお越しいただければと思っています。