茂地 秀紀 院長の独自取材記事
もじ子どもクリニック
(堺市北区/新金岡駅)
最終更新日:2026/10/06
新金岡駅から徒歩6分の「もじ子どもクリニック」は、2004年開業の小児科クリニックだ。木目とパステルカラーを基調にした院内には人気キャラクターの絵画やぬいぐるみが上品に飾られ、親子で安心して過ごせるぬくもりがある。院長の茂地秀紀先生は、大阪母子医療センターや済生会吹田病院のNICU(新生児集中治療室)で新生児医療に携わってきた医師歴約40年のベテランだ。地域医療のゲートキーパーを志して開業し、以来この地で子どもたちの成長を見守り続けている。穏やかな語り口の奥に、発熱はとことん調べるという診療へのこだわりや、予防接種をあえて対面で受け付けるこまやかな姿勢がのぞく。「当院を選んで来てくださったらうれしいなと」と静かにほほ笑む茂地院長に、長年の診療で大切にしてきたことを聞いた。
(取材日2026年9月24日)
自らの闘病体験を原点に、地域のかかりつけ医へ
先生が小児科を志されたきっかけを教えてください。

私自身が2歳の時に腎臓の病気を患い、そこから約20年間にわたって運動制限を受けて育ちました。学校の行事でも運動会には一切参加できず、周りの友達と同じように体を動かすことが叶わない子ども時代でした。だからこそ、子どもの病気に真正面から向き合える医師になりたいという思いが、自分の中にずっとあったんです。大阪医科大学を卒業した後は、迷うことなく小児科の道に進みました。幼い頃から長く患者として過ごしてきた経験がある分、病気を抱えるお子さんやそのご家族が感じる不安や心細さは、自分なりに理解できるところがあると思っています。あの長い闘病の日々こそが、小児科医としての自分の原点です。
ご開業までに、どのようなご経験を積まれてきたのでしょうか。
大阪労災病院で2年間の初期研修を積んだ後、大阪母子医療センターのNICUで超未熟児の救命を中心とした新生児医療に4年間携わりました。その経験を生かして済生会吹田病院でNICUの立ち上げに関わり約4年間勤務、大学院で医学博士号も取得しています。その後、再び大阪労災病院に戻り、出生児全員の管理を約4年間担当しました。新生児医療に長く身を置く中で、地域の子どもたちを最初に受け止めるゲートキーパーになりたいという思いが強くなったんです。クリニックで診られるものと大きな病院に行くべきものをきちんと見極めたい、それが開業の一番の動機でした。堺は大きな病院が多く連携が取りやすいですし、子育て世帯も多い地域。長年暮らしてきた愛着あるこの土地でやっていこうと決めました。
院内づくりでこだわられた点を教えてください。

院内は木目とパステルカラーを基調に、温かみのある空間づくりを心がけました。私自身が世界的有名アニメの世界観が好きということもあり、人気キャラクターの絵画や刺繍、ぬいぐるみをあちこちに飾っています。クリニックのロゴマークは子豚のキャラクターなのですが、実は下の娘が小学校低学年の時に鉛筆で手描きした絵がもとになっているんです。その鉛筆画の雰囲気をそのまま生かしてロゴに仕上げてもらいました。あれから23年、ロゴはクリニックの「顔」として私たちと共に歩み、娘はすっかり大人に。振り返ると感慨深いものがありますね。コロナ禍の感染対策で待合室の飾りはだいぶ減ってしまいましたが、お子さんにも親御さんにもほっとしていただける場所でありたいと思っています。
発熱はとことん調べ、予防接種の受付は対面で丁寧に
診療で特に力を入れていることを教えてください。

患者さんが困っている症状や病気の原因をとことん調べる、これが私のポリシーです。発熱だから風邪だろうと片づけてしまいたくないんです。こじれると何度も通院が必要になりますし、早めに診断をつけることがお子さんにとっても親御さんにとっても大切です。当院ではエックス線や迅速血液検査はもちろん、インフルエンザ・RS・アデノウイルス・溶連菌・ヒトメタニューモウイルス・マイコプラズマ・コロナの迅速抗原検査、さらに便のノロ・ロタ検査まで一通りそろえています。今はほとんどのご家庭が共働きですし、保育園のこともありますから、親御さんは早く原因を知りたいですよね。検査はお子さんにとって痛いこともありますが、診断がつくことがその子のためになると信じて取り組んでいます。
予防接種についてはどのように対応されていますか?
予防接種の予約は、あえてネット予約にせず、お電話か直接受付でお受けしています。今の時代にネット予約が主流なのは承知していますが、お子さんの月齢や接種歴によってスケジュールは一人ひとり異なりますし、保護者の方にも聞きたいことやご不安があるはずなんです。ネット上のやりとりだけでは、そうした声を拾い上げることが難しい。当院のスタッフはベテランぞろいで、何ヵ月のお子さんにはどのワクチンを組み合わせるかを熟知していますから、お話を伺いながら適切なスケジュールを組むことができます。たとえば同時接種に不安がある方には、1本ずつや2本ずつ毎週通っていただくようなプランにも柔軟に対応しています。保護者の方のお気持ちやご事情を丁寧にくみ取れるのは、対面ならではの良さだと考えています。
お子さんやご家族と向き合う上で、大切にされていることは何ですか?

当院では赤ちゃんから中学生まで、慢性疾患のある方は高校生まで幅広く診ています。発熱や消化器症状など基本的に何でも診る姿勢で、最近は若い女性を中心に体調がすぐれない・学校に行けないといった心身症のご相談も増えてきました。どんな症状でもまず受け止めるのが、地域のかかりつけ医としての役目だと考えていますし、自分の手に負えないものはきちんと専門の先生にご紹介しています。その中で私が特に大事にしているのは、親御さんに納得していただくことです。お子さんの診察はもちろんですが、お母さんの不安をどう取り除くかが実は一番大切かもしれません。「小児科」というよりは「お母さん科」に近いかなと感じることもあるくらいで、安心して帰っていただけるよう丁寧にお話しすることを心がけています。
ベテランスタッフとともに、子育て家族を見守り続けて
スタッフの皆さんについてお聞かせください。

現在、受付が6人、看護師が6人の体制で診療にあたっています。ありがたいことに開業以来23年間ずっと勤めてくれているスタッフがいますし、受付は5人が15年以上続けてくれています。子育てを終えた世代のベテランが多く、さまざまな場面で気を利かせてくれて本当に助かっています。当院では紙カルテを運用しているのですが、私の字をきちんと読み取って正確に入力してくれる有能なスタッフばかりです。診察の運営面では、順番取りシステムと直接来院の両方を受け付けておりまして、できるだけお待たせしないようスタッフがカルテの順番を調整しながらスムーズに進む工夫をしてくれています。長年の連携があるからこその対応力だと感じています。
小児科医としてのやりがいを感じるのはどんな時ですか?
孫ができたときに、あらためて「小児科をやっていてよかったな」と心から感じました。子育てというのは、答えがわかるのが20年以上先なんです。これが本当に長い。自分の子どもたちが成人して結婚し、孫が生まれたことで、ようやく自分のやってきたことは間違っていなかったとわかりました。長い医師人生を歩んできましたが、孫ができたことで新たに視野が開けたところもあるかもしれません。今まさに子育て真っ最中の方には先の長い話に聞こえるかもしれませんが、日々お子さんとしっかり向き合っていれば、いつか必ずその答えが見えてくると信じています。
最後に、子育て中の読者へメッセージをお願いします。

子育て中の親御さんにお伝えしたいのは、お子さんをしっかり育てて一人前の社会人として送り出すこと、それが親の大切な役目だということです。子どもには子どもの人生がありますから、一人の人間として尊重し、きちんと向き合って育ててほしいと思います。当院は2004年の開業以来、この地域でたくさんのお子さんを見守ってきました。最初に1歳、2歳で通ってくれていた子たちが成長して小児科を卒業し、また新しい世代のお子さんが来てくれる。そうした世代の移り変わりを見届けられることが、この仕事を長く続けてきた喜びです。私はあまり自分からアピールするタイプではないのですが、当院を選んでくださったらうれしいなと思っています。これからもこの地域で、お子さんたちの健やかな成長を見守っていきたいです。

