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内科や小児科など幅広い視点で
取り組む「アトピー性皮膚炎」

たかみざわ医院

(横浜市港北区/日吉駅)

最終更新日:2021/10/12

たかみざわ医院 内科や小児科など幅広い視点で 取り組む「アトピー性皮膚炎」 たかみざわ医院 内科や小児科など幅広い視点で 取り組む「アトピー性皮膚炎」

激しいかゆみ、人に見られたくない発疹。病院でもらった薬で一時期良くなったと思ったら、また症状が出てきて、また悩む。アトピー性皮膚炎に悩まされ続けている人も多いだろう。今回は、内科・小児科専門の「たかみざわ医院」の高見澤重隆先生にお話を伺い、一般的な皮膚科的治療とは少し違った治療法に焦点を当てる。複数の皮膚科をまわり、ドクターショッピングに嫌気がさした人にはその治療法に注目してほしい。

(取材日2015年1月23日)

排除できる要因を排除し、変えるべき要因を変えることが改善の近道

Qアトピー性皮膚炎とはどのようなものですか?
A
たかみざわ医院 優しく丁寧に説明してくれる先生

▲優しく丁寧に説明してくれる先生

アトピー性皮膚炎とはアレルギー性疾患のひとつで、掻痒をともない特徴的な皮疹と分布、また慢性・反復性の経過をたどる病気で、良くなったり悪くなったりを繰り返すのも特徴のひとつ。発疹が現れている部位や体質、経過に応じて塗り薬の種類や強さを使い分けることが重要です。今、体質という話が出ましたが、アトピー性皮膚炎は遺伝的要因(これをアトピー素因といいます)、つまり親、兄弟などにアトピー性皮膚炎や喘息、鼻炎のように何かしらのアレルギー疾患を持っている方がいる場合、起こりやすいと言われています。ひとつの指標となるのが、「IgE〈免疫グロブリンE)」と呼ばれるアレルギー抗体の値の高さ。これは血液検査で調べることができ、今はまだ発症していなくても、体質的に何らかのアレルギーがあるかどうかを知ることが可能です。

Q生活環境もアレルギーを誘発したり長引かせたりする一因だそうですね。
A
たかみざわ医院 近くの小学校でタバコの害に関する授業も行っている

▲近くの小学校でタバコの害に関する授業も行っている

そうなんです。特にアトピー性皮膚炎は、不潔な環境や乾燥した状態で起こりやすく、皮膚が乾燥しがちな冬場や汗をかきやすく皮膚が汚れがちな夏場は要注意。あと環境要因で忘れてはならないのがタバコです。喫煙時にもやもやと上がるあの煙が、顔を中心に皮膚を悪くする原因になります。喫煙者本人だけでなく、ご家族にも悪影響を及ぼします。禁煙をして生活環境に変化をもたらすことで、アトピー性皮膚炎の症状が改善したというケースは実際多いです。そのため当院では、皮膚科的治療と併せて禁煙治療も行っています。診療以外でも、近隣の小学校でタバコの害に関する授業を行ったり、日吉の駅前で禁煙地区指定を呼びかけ2000名に及ぶ署名を集めたりして、タバコの害へ意識を向けてもらうための取り組みをしています。

Qアトピー性皮膚炎とうまく付き合うにはどうしたらいいのですか?
A
たかみざわ医院 水を酸性とアルカリ性に分解し酸性水を生成する機械を導入

▲水を酸性とアルカリ性に分解し酸性水を生成する機械を導入

治療の基本は、スキンケアと薬の服用・塗布をしっかり行うこと。例えば汗をかいた状態では雑菌が皮膚に常に付着しているので、いくら薬を飲んだり塗ったりしても効果は薄いのです。汚れをきれいに洗い落とした上で保湿剤などで乾燥を防ぎ、しかるべき薬を塗るなり飲むなりするといったステップが大事。肌を清潔に保つという点で当院では、「超酸性水」を活用しています。酸性水には雑菌の繁殖を抑え肌を引き締める作用があり、普通は内視鏡の洗浄などに使われます。当院では水を酸性とアルカリ性に分解し酸性水を生成する器械を導入し、患者さんの肌の清潔を保つようにしています。また、薬を塗るタイミングについてよく患者さんに言うのが、「お風呂上りが効果的」ということです。保湿された状態のうちになるべく早く薬を塗ることが症状改善のポイントです。

Q薬の強さや種類をどう使い分けていくのでしょうか。
A
たかみざわ医院 アトピーの薬は沢山の種類があるので、部位によって使いわける

▲アトピーの薬は沢山の種類があるので、部位によって使いわける

かゆみのあるすべての部位に同じ薬をつけるようなやり方では治りは良くありません。例えば同じステロイドでも顔には弱いもの、手や頭皮には強いものと使い分けることが大切。ステロイドは部位によって使い分ければ、実は副作用もそれほど心配しなくてもいいのです。状態の良い時期には、弱めのものを塗るとか保湿剤だけで対応するのでもいいですし、かゆみが増してきたらその時期だけ少し強めの薬をしっかり塗るのが理想。ただ、こうしたコントロールがうまくできずに悪化した状態で維持してしまっている方や、ステロイドに抵抗があるからと弱めの薬をずっと使い続けてしまうことで、「効果がないな」と感じてしまう方が非常に多いと感じます。悪くなる前に早め早めに対処し、良い状態で安定させてあげることを意識してほしいですね。

Q一般的な皮膚科とは少し違った治療に取り組んでいるそうですね。
A
たかみざわ医院 漢方についても気兼ねなく先生に相談したい

▲漢方についても気兼ねなく先生に相談したい

一口にステロイドと言っても、多くの種類があります。当院では5段階あるステロイドの塗り薬を状態に応じて処方しています。顔には赤ら顔になりづらいプロトピック軟膏を用いたりします。また一般的な薬で改善が見られない場合は、アトピー性皮膚炎の治療で有名な土佐清水病院の丹羽耕三先生が開発された「丹羽軟膏」を使用。これは、大豆やゴマ、胚芽、ハトムギといった抗酸化物質(SOD)を加工処理し発酵させたものから抽出したエキスをワセリン基材に混ぜた外用薬です。リンデロンというステロイドが含まれてはいますがSODによって副作用は軽減され、効果は増強します。その含有量により3段階の強さに分け、塗る部位によって使い分けます。そのほかにも東洋医学的な視点から、「黄連解毒湯」「消風散」「温清飲」「十味敗毒湯」といった漢方薬を、体質と症状を見て処方することもあります。

ドクターからのメッセージ

高見澤重隆院長

アトピー性皮膚炎の原因には遺伝的なものと環境的なものがあります。遺伝的な要因はどうしようもないですが、環境的な要因には対応できます。乾燥や汗など、排除できるものは排除し、食物や衣服などを変えながら治療を進めることで、いい状態を保つことは可能です。また、寛解・増悪を繰り返すのが特徴のひとつでもあります。今いい状態であっても、いずれかゆみや発疹が出てくる可能性は大いにあります。改善した後にも予防的に弱いステロイドなどの軟膏を使用することを「プロアクティブ」と呼びます。悪化してから対処するのではなく、良化した状態を保つために薬は常に手元に残しておくといいでしょう。悪くなった状態で時間が経てば治療も大変になりますからね。ドクターの意見に従って塗り分けていれば副作用が出ることはないですから、ステロイドも安心して使ってほしいです。従来の治療以外にもさまざまな治療法があることも知ってほしいですね。また、どうしても心が内向きになりやすいので、アトピー性皮膚炎を良い状態にして、外に目を向け活動的な生活を送って欲しいと思いますし、私も引き続き禁煙活動など、社会への働きかけを続けていきます。

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