高見澤 重彰 院長の独自取材記事
たかみざわ医院
(横浜市港北区/日吉駅)
最終更新日:2026/11/02
東急東横線・東急目黒線・東急新横浜線とグリーンラインが乗り入れる日吉駅。西口から徒歩約1分の場所にある「たかみざわ医院」は、1955年の開院以来、70年以上にわたり地域のかかりつけ医として親しまれてきた。2025年6月、3代目院長に就任したのが高見澤重彰先生だ。泌尿器科から緩和ケアの分野へと歩み、がん患者と向き合う中で、最期の時間を自宅で家族と過ごす大切さを実感してきたという。現在は父であり前院長でもある高見澤重隆先生が外来を、重彰院長が訪問診療を担当し、通院から在宅まで切れ目なく支える医療をめざしている。今回は、重彰院長に、患者と家族に寄り添う診療にかける想いについて詳しく聞いた。
(取材日2026年9月25日)
祖父の代から3代続く、地域のかかりつけ医
医師を志したきっかけを教えてください。

当院は1955年に祖父が開業し、その後父が継いで、ずっと地域のクリニックとして続いてきました。そうした姿を身近で見てきて、自然と医師をめざすようになりましたね。休みの日でも患者さんから電話がかかってきて対応するなど、患者さんのために働く父の姿は、家の中でもよく目にしていました。父は私が通っていた小学校の学校医もしていたので、毎年の健康診断で父に診てもらった記憶もあります。研修後に進んだのは泌尿器科でした。幅広い年代の患者さんを、診断から手術、術後のフォローまで一貫して同じ科で診ていけるところに魅力を感じました。
緩和ケアの道に進まれたのは、どのような経験からですか?
病院では、泌尿器科の中でも、がんの患者さんを診る機会が多くありました。もちろん病気の治療には懸命に取り組んでいたのですが、その中で「最期の時間をどう過ごすか」というターミナルケアの部分がとても大事だと感じるようになったんです。病状が進んでも自宅で過ごしたいという方は多くいらっしゃいますし、ご家族と一緒に過ごす時間の大切さも日々感じていました。それで一度泌尿器科を離れて、緩和ケア科に入り直しました。
がん患者さんと向き合う中で、特に心に残っていることはありますか?

泌尿器科にいた当時、手術のあとに「ありがとうございました」と言っていただくことは日々ありました。ただそれ以上に、最期の時間を穏やかに過ごせた患者さんのご家族が、患者さんが亡くなられた後に、心から「ありがとうございます」と伝えてくださることが多かったんです。医師として、何より心に残る言葉でした。その時間が、ご家族にとってその後の大切な思い出にもつながるのだと実感しました。
通院から在宅まで、切れ目なく支えるかかりつけ医
診療で特に大切にされていることは何ですか?

その方がどう過ごしたいか、ということが一番大切だと思っています。外来では、日常の困り事から生活習慣病まで幅広く対応していますが、病気だけを見るのではなく、その方の生活も含めて考えることを大事にしています。特に緩和ケアや訪問診療では、その考え方がより重要になると感じています。がんの治療には、フローチャートのように決まった流れがあります。しかし、緩和ケアや、ご自宅で過ごすための訪問診療には、これといった正解がありません。ご本人がどうしたいか、ご家族がどう考えているかを踏まえて、薬の使い方なども考えていきます。生活を中心に考えていくことが患者さんの満足にもつながると思っています。
外来だけでなく、訪問診療にも注力されているそうですね。
当院では、外来は主に父が、訪問診療は私が担当しています。長く外来に通っていただいた患者さんを、通院が大変になったら訪問診療で診ていく。そこが当院の一番の特徴だと思っています。誰でもいつかは通院できなくなる時が来ます。その時に、家でも過ごせるという選択肢を知らなければ、そのまま病院や施設に入ることになるかもしれません。以前から通っているクリニックが訪問診療もしていれば「じゃあお願いしようかな」と考えていただけて、家で長く過ごすことにもつながると思います。
継承されて、どのようなクリニックをめざしていますか?

この地域で患者さんを長く診ていくことが、1番の軸になると思っています。元気なうちは外来に通っていただく。そして将来、通院が難しくなった場合は訪問診療で当院が診ていきますよ、という形で、その時々の状態に合わせて診ていけるクリニックでありたいですね。訪問診療でも、ただ伺って薬を出すだけではなく、ゆっくりと患者さんとの関係性を大事にしていきたいです。小さいクリニックだからこそできる信頼関係の築き方を、これからも大切にしていきたいと思っています。実際に、祖父が診察していた方を今は私が受け持っているケースもあるんです。祖父や父の代から通っていただいている患者さんから「いつもありがとうね」と声をかけていただいた時は、長く続いてきた関係の重みを感じました。昔から関係のあるクリニックがそのまま伺うことは、患者さんの安心感にもつながっているように感じます。そのつながりを、これからも大切にしていきたいですね。
時代に合わせて変わりながら、変わらない地域への想い
患者さんが相談しやすいよう、どのようなことを心がけていますか?

診察室では、どうしても医師が一方的に話して終わってしまいがちです。私は以前、緩和ケア科の上司から「医者が話すのは1割でいい。9割は患者さんやご家族が話すようにするのがいい」と言われたんです。本当はどうしたいのかを聞き出せるよう、質問をうまくつなげていくことを今も日々心がけています。この先どうなるのか、皆さんが不安に思われるのは当然のことです。その上で「何かあれば連絡してくださいね」とお伝えしています。当院だけでなく、訪問看護師さんなども含めてみんなでチームとして支えていくので安心してください、とお話しすることが多いですね。
ご家族への支援では、どのようなことを大切にしていますか?
今は訪問診療がメインなので、介護しているご家族とお会いすることが多いです。ご家族はさまざまな悩みを抱えていらっしゃって「こんなことを話していいのかな」と迷っていることも多いと思います。ですので、こちらから「困っていることはありませんか?」「ご負担はないですか?」と声をかけて、話を引き出すようにしています。また、ご家族を支える上では、多職種との連携も欠かせません。特に訪問診療は、チームで診なければ成り立ちません。診療の度に、訪問看護師やケアマネジャーと情報を共有しながら進めています。当院は地域ケアプラザをはじめ、各介護事業事務所と協力しており、地域のケアマネジャーたちと一緒に、勉強会などに2ヵ月に1回程度のペースで参加しています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院は、祖父の代から地域で長く続いてきたクリニックです。日吉駅から徒歩約1分の場所にあるので、元気なうちは通いやすいと思います。予約システムやキャッシュレス決済を取り入れるなど、時代に合わせて変えてきたところもあります。外来では父を中心に、日常の困り事から生活習慣病まで幅広く診ています。小さいクリニックだからこそ、患者さん一人ひとりとの信頼関係を大切にしながら、継続して診ていけることも当院の特徴です。将来通院が難しくなった際は、私が訪問診療でご自宅に伺い、引き続きしっかり診ていきます。ご本人だけでなくご家族の不安にも耳を傾けながら、訪問看護師やケアマネジャーとチームで支えていきますので、困ったことがあれば遠慮なく声をかけてください。外来から在宅まで、その時々の状態に合わせて長く寄り添っていけるクリニックでありたいと思っています。安心して通っていただければうれしいです。

