土居 良康 院長の独自取材記事
土居内科医院
(船橋市/下総中山駅)
最終更新日:2026/08/07
市川市と船橋市にまたがるベッドタウンである下総中山駅周辺のエリア。この地で90年以上、地域の患者を見守ってきたのが「土居内科医院」だ。同院には、祖父と父に続いてバトンを受け継いだ呼吸器内科の専門家・土居良康院長をはじめ、循環器内科や漢方内科などさまざまな分野を専門とする医師が在籍し、幅広い症状に対応している。また、超高齢社会を考慮し、在宅医療や認知症へのサポートにも力を注いでいるという。「医師やスタッフの数を増やし、診療体制を充実させて、より地域医療に貢献できたらと思っています」と優しい笑顔で語る土居院長。これまでの沿革や現在の診療体制、地域のかかりつけ医としての思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2026年6月30日)
祖父の代から地域に根差してきたクリニック
こちらは長い歴史のあるクリニックだと伺いました。

私の家は、6代前から医師だったと聞いています。高祖父は咸臨丸でアメリカに渡り、西洋医学を学んだそうです。はじめは広島県の尾道に住んでいましたが、祖父の代に船橋市へ越して来たとのことです。祖父が開院した正式な年月日は不明なのですが、医師会の前身の組織には1932年に登録をしたと記録が残っていますので、その頃にはこの地で診療を始めていたことになります。ちなみに、祖父の時代は「赤ちゃんを取り上げないと、医師ではない」といわれていたことから、産婦人科の医師として医療に貢献していました。内科を標榜するようになったのは父の代からですね。
先生が医学の道を志したのは、ご家族の影響でしょうか?
そうかもしれません。2007年に移転をする前のクリニックは自宅の隣にあったので、子どもの頃から父が医師として従事する姿を見てきました。また、一人っ子という環境も影響していたでしょう。早い段階から何となく「自分は医師になるために生まれてきたんだ」と思っていました。途中、弁護士ドラマを見て憧れを抱いたこともありましたが、最終的には医学部へ進学しましたね。高祖父の代から続いている当院の伝統を守りたい気持ちと、これまでに積み重ねてきた患者さんとのご縁を大切にしたい気持ちがあったからです。卒業後は総合病院に勤め、移転した頃から当院で診療するようになり、父の引退に伴い2022年に院長を継承しました。頼りにしてくださる患者さん一人ひとりの思いに寄り添い、信頼に応えていけるよう、これからも努めてまいります。
先生が院長を継承されてから、何か変わったことはありますか?

私が院長になったタイミングというより、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに患者さんの動線を見直しました。例えば、入り口や待合室を2つに分けて、片方を発熱や胃腸炎といった感染症が疑われる症状の方専用にしました。診察室も感染症専用の部屋を1つ設けて、そこで診るようにしていますね。また、感染症の疑いがある場合は、事前にウェブ問診票に記入していただくようにしています。院内にいる時間を少しでも減らせるようにと考えての工夫です。皆さんに安心を感じていただけたら幸いです。
呼吸器内科など、各領域の専門家の強みを生かした診療
現在の診療体制について教えてください。

私の他に、長年一緒に診療している副院長、さらに数人の医師が在籍しています。丁寧さはそのままで、行える診察や処置の量が増えますので、患者さんの待ち時間軽減につながるでしょう。また、当院の医師はそれぞれが循環器内科や漢方内科といった専門分野を持っているため、患者さん一人ひとりのさまざまなお悩みに寄り添える診療体制を築いています。特に最近は、不整脈などの心臓の症状が出やすい高齢の患者さんが増えてきたことから、循環器内科の専門家が在籍している点は大きな強みだと思っています。さらに、漢方を専門とする医師がいるので、診療により適応だと判断した場合やご希望の患者さんには漢方の処方も可能です。ぜひ頼りにしてください。
先生の専門分野は呼吸器内科だそうですね。
ええ。皆さん一度は咳から始まる風邪にかかったことがあると思いますが、中には実際は風邪ではなく、もっと重大な呼吸器の病気だったということもあります。特に、なかなか咳が止まらないという場合は、風邪以外の病気を疑うことが重要です。放置せずにすぐに相談していただきたいですね。また、勤務医時代は人工呼吸器の管理も専門としていました。普段の診察ではあまり使いませんが、在宅医療を始めてからは知識や技術が役に立つことがたびたび出てきまして、「身につけておいてよかったな」と思いましたね。ちなみに、咳が出る疾患としてCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんがかつては結構いらっしゃったのですが、最近は喫煙率の低下によりだいぶ減ったように感じています。
こちらで提供している在宅医療について教えてください。

患者さんの中には高齢化や病気の影響により、途中で通院が難しくなる方もいらっしゃいます。そういう方に「通えない場合は他院を頼ってください」と突き放してしまうようなことはしたくありません。また、少し前に祖父と関わりのあった患者さんのご家族から感謝の手紙が届き、地域医療への貢献のやりがいを強く感じました。こうした思いや経験から、当院では今も在宅医療に注力しているのです。現在は、午前の診療を終えた後から午後の診療が始まる前までの時間に行うので診療数は限られてしまいますが、最期までサポートできるように尽力しています。今後は外来の質もそのままに、定期的に訪問する「訪問診療」だけではなく、患者さんが急に具合が悪くなったときの「往診」にも力を入れて取り組んでいけたらと考えています。これからも工夫を重ねながら、より地域医療に貢献していきたいです。
ワンストップで幅広く対応できるかかりつけをめざして
他にも、力を入れて取り組んでいることはありますか?

認知症のサポートにも注力しています。少し昔は、「認知機能が低下して生活に支障が出たら、とにかく施設へ」という考えが主流でした。ですが、最近はさまざまな制度やサポートが充実してきたため、その選択以外も選べるようになったと感じています。もちろん、認知機能が低下すると大変な部分が出てきたり、以前と同じような生活は難しかったりするかもしれません。ただ、「何でもかんでも施設に任せる」ということはせず、認知症の方もできるだけ普通に暮らせるような社会にできればと考えています。当院でもその一端を担えたらと思い、内科の医師としてできることであれば、薬の処方まですべて対応できるようにしました。認知症に関することで何かありましたら、お気軽にご相談ください。
診療時に心がけていることをお聞かせください。
まずは患者さんをしっかり見て、その方が何を求めているのか、何をしてほしいのかを理解するように努めています。例えば、なかなか口に出して質問できないという方でも、しぐさをよく見て、「何か聞きたいことがあるのかな?」と気がつけるように心がけています。また、何度か通院を重ねている方の場合は、無意識に出ている癖も見るようにしています。その患者さんならではの細かい変化にも気がつけるようになれば、病気の早期発見につなげやすくなりますからね。特に、高齢の患者さんの場合は認知症の前触れがうかがえることもありますので、「いつもと変わったところはないか」という点について注意深く見ています。
最後に、地域の皆さんへのメッセージをお願いします。

長く通ってくださっている患者さんの中には、私の幼少期をご存知であり「先生がこんなに小さい頃から知っていて……」などとお話しされる方も多く、照れくさいことがあります(笑)。ですが、そういった地域の皆さんとの関係性があるからこそ、その方の生活環境や家族構成が詳しく把握できており、診療に役立つこともたくさんあると実感していますね。そういう意味では、新規の患者さんを増やしてどんどん広げるというよりは、地域のかかりつけ医として、ワンストップで幅広く対応できるようにしていくのが当院の存在意義だと考えています。そのためにも、今後は一緒に歩んでくれる医師やスタッフをさらに増やし、診療体制をより充実させていきたいです。突飛なことや特別なことはできませんが、これまでのお付き合いを大切にして、真面目に続けていきたいと思っています。

