西口 潤 院長、西口 園惠 先生の独自取材記事
あさひクリニック
(高松市/松島二丁目駅)
最終更新日:2025/11/20
高松市観光町にある「あさひクリニック」の誕生は2007年。終末期医療に精通し、日本全国で講演・執筆活動を続けてきた朝日俊彦医師が、在宅での緩和ケアに対応するクリニックとして、産婦人科医である娘の西口園惠先生とともに開業した。2009年には、園惠先生の夫で泌尿器科医の西口潤先生が2代目院長に就任。「地域に根差した緩和ケアを提供する」という朝日前院長の志を受け継ぎながら、夫婦二人三脚で地域に寄り添った医療を提供している。「人々の心と体の声に耳を傾け、笑顔を育むこと」を大切に、地域医療の担い手として奮闘する潤院長と園惠先生を取材した。
(取材日2025年10月9日)
泌尿器科と産婦人科が連携し、地域医療を支える
クリニックの歴史からお聞かせいただけますか。

【潤院長】当院は私の義父にあたる朝日俊彦が、香川県立中央病院で長年泌尿器科部長を務めた後に、「自宅で最期を過ごしたい」と願う人々に応えようと開業したクリニックです。義父は終末期医療についての造詣が深く、2007年の開業当時から、外来診療と並行して在宅ターミナルケアに取り組んでいました。外来診療は産婦人科医の妻も手伝う体制でスタートしましたが、義父の病が判明した後は私が院長に就任し、泌尿器科の診療を担当しています。
【園惠先生】開業から1年後に、経営者でもあった父にがんが見つかりました。当時はまだ子どもが幼かったので、父の看護に子育てにと、慌ただしい日々でしたね。同じ市内の総合病院に勤めていた夫が、クリニックを継ぐと決めてくれたことが心の支えとなりました。父についている患者さんも多かったのですが、若い2人による新体制を受け入れてくださった、患者さんや地域の方々には感謝してもしきれません。
2015年に移転開業をされていますが、その際に配慮されたことはありますか?
【潤院長】男性の患者さんが多いといわれる泌尿器科と、女性が通われる産婦人科を併設するため、待合室から分けるようにしました。以前の建物は1階と2階で診療科を分けていましたが、現在は正面入り口から向かって右側を産婦人科、左側を泌尿器科としています。待ち時間の短縮という意味では、ウェブ予約システムを導入するとともに、医療クラークを配置することで入力業務などを効率化。患者さんが時間的なストレスを感じにくいクリニックをめざしました。
【園惠先生】産婦人科にも泌尿器科にも、検査用とそうでないトイレを設け、産婦人科の検査用トイレは、ベビーカーを後ろ向きにせずに入れられる設計としています。大きさによっては、トイレ内での方向転換も可能です。玄関ホールには個室の授乳室や、ソフトな床材のキッズルームも備えることで、お子さんを連れた患者さんたちの安心感につなげました。
これだけ配慮をされていると、特に泌尿器科は患者層が変わってきそうですね。

【潤院長】一般的な泌尿器科クリニックは、男性の患者さんが8割ほどになることも多いようなのですが、当院の泌尿器科は男女半々で、待合室が女性ばかりになることもあります(笑)。遠方から来られる女性患者さんも多いのは、隣に産婦人科があり、女性のお悩みに幅広く対応できるからかもしれません。例えば、膀胱炎を繰り返す女性の中には、婦人科の感染症が原因で発症に至っているケースもあります。必要に応じて迅速に産婦人科と連携できることは、当院の大きな強みです。
【園惠先生】患者さんの治療方法についても、日常的に意見交換や情報共有を行いながら、一貫したサポートを心がけていますよ。
話しやすさと親しみやすさで頼られるクリニックへ
潤院長が、泌尿器科を専門に選ばれた理由を教えてください。

【潤院長】内科や外科のように分業せず、一人の患者さんを最初から最後まで診られる分野を選びたいと思い、泌尿器科医を志しました。岡山大学医学部を卒業した後は大学院を経て、アメリカのピッツバーグ大学へ留学。私が専門とする、排尿障害についての学びを深めました。排尿障害は検査も治療も時間を要する領域ですが、その分、患者さん一人ひとりと向き合う時間が生まれます。こまやかに、じっくりと患者さんに寄り添えるところが自分に合っていると感じていますね。帰国後は観音寺市や高松市の総合病院に勤務し、幅広い疾患に対応していました。
園惠先生はいかがでしょうか?
【園惠先生】香川医科大学(現・香川大学医学部)の学生時代から、「同じ女性の患者さんを診たい」と考えていました。産婦人科を選んだのは、妊娠や出産といった「喜びが生まれる医療」に魅力を感じたからです。高校の同級生である夫と結婚した後は、一緒に岡山大学へと移り、アメリカにも移り住みました。近年は妊婦さんの数が減りつつありますが、更年期障害や月経困難症、子宮内膜症といった慢性的な疾患、長く付き合っていくお悩みを抱える方は増えているように思います。当院はその中でも子宮内膜症の治療に注力し、いくつかの治験に参加することで、新薬の開発にも携わるようになりました。新薬の有用性や副作用などを実際に確かめながら、患者さんにより良い治療法を届けられるよう、日々努力しています。
お二人が、診療で心がけていることはありますか?

【潤院長】「おしっこが出にくい」「回数が多い」「残っている感じがする」など、尿のトラブルは身近に起こりやすいものですが、その原因は一つとは限りません。ですので、まずは丁寧にお話を聞き、必要に応じて尿流動態検査などの精密検査を行うことで、どこに問題があるのかをしっかりと見極めるようにしています。治療方法は投薬治療に限定せず、患者さんの状態に合わせて、生活習慣の見直しや骨盤底筋のトレーニングなどもご提案しています。
【園惠先生】私が心がけているのは、あいさつと笑顔です。産婦人科は受診するだけで緊張する方もいらっしゃいますから、笑顔でお帰りいただくためにも、こちらがまず笑顔であいさつをして、リラックスしていただけるようにしています。医療機関というよりも、気軽な相談場所。「来て良かった」と感じていただけるような産婦人科が目標です。
地域とともに、「顔の見える信頼関係」を
地域のクリニックとしては、どのような心がけをされてきたのでしょうか?

【潤院長】患者さんとの信頼関係を長く築いていくためにも、地域に溶け込むということは意識して取り組んできました。子どもたちが小学生の頃にはPTA会長も務めましたし、防災訓練などの地域行事にも顔を出すことで、自然に地域の方々との交流が生まれ、「顔の見えるお医者さん」として覚えていただけるようになったと思います。今では、クリニックの外でも声をかけていただけるようになり、そうしたつながりが、日々の診療においても患者さんの安心感につながっていると感じます。地域医療には、医療技術だけでなく、信頼関係の積み重ねが必要です。これからも地域の一員として、皆さんの暮らしのそばに在り続けたいと考えています。
往診や、訪問診療にも尽力されていると伺いました。
【園惠先生】父が患者さんの想いに応えようと始めた在宅医療の精神は、私たち夫婦が受け継いでいます。高松市内にも、在宅医療の専門クリニックが少しずつ増えていますが、当院が続けているのは、あくまでもお顔が見える関係の中での在宅医療です。当院へ長年通ってくださった患者さんが、医療機関へ通いにくくなったときには、ご自宅で安心して療養できる環境を用意します。看取りまで対応するという場合には、その方らしい最期を支えていきます。それが、当院における在宅医療の在り方です。患者さんの願いに、想いに寄り添うために、必要な時は迷わず足を運べる体制を整えています。
読者へのメッセージをお願いします。

【潤院長】「もう治らない」と言われた方でも、きちんと原因を見つけて治療すれば、改善が望めるケースはたくさんあります。排尿障害をはじめ、泌尿器科の悩みは人に話しにくいものが多いと思いますが、当院では患者さんの生活の質を少しでも上げられるよう、一人ひとりに寄り添った診療を心がけていますので、お困りの際は気軽に相談してください。
【園惠先生】産婦人科の診療を通して感じるのは、女性の体と心の変化に寄り添うことの大切さです。どんなに小さなことでも、「あそこでなら話してもいい」と感じていただける場所でありたいですね。これからも夫婦で力を合わせながら、地域の皆さんが安心して通えるクリニックを一緒に守り続けていきたいです。

