骨の萎縮がしわやたるみの原因に
50歳になったら骨密度検査を
ごてん整形リハビリクリニック
(平塚市/平塚駅)
最終更新日:2025/01/08
- 保険診療
骨の全体量が減少し骨密度が低下する骨粗しょう症。高齢者の疾患というイメージがあるが、実は若い世代や中高年の中にも食事や生活習慣によって骨密度が低下している人もいるという。特に、中高年になると見られる顔のしわや全身のたるみは、骨密度の低下が一因となっている可能性があるそうだ。「骨の蓄積は、すでに小学生の間の食事や運動量によって決まってしまいます」と、子育て世代にとっても有用なアドバイスをするのは、「ごてん整形リハビリクリニック」の渋谷早俊院長。とりわけ女性の場合は、生理が始まる前の骨の蓄積量が将来の骨密度を左右し、閉経のタイミングで骨粗しょう症のリスクが高くなるという。骨密度検査の重要性や骨粗しょう症について、日本整形外科学会整形外科専門医で骨粗しょう症に造詣が深い渋谷院長に話を聞いた。
(取材日2024年12月16日)
目次
骨密度の低下は骨折だけでなく、しわやたるみなどを引き起こす原因にも。検査を受けて骨粗しょう症の予防を
- Q骨粗しょう症とはどのような病気なのですか?
-
A
人の体は、年齢に関係なく常に古い骨を壊し、3ヵ月ぐらいかけて新しい骨に作り変えています。これが、いわゆる新陳代謝です。若い間は、壊す量と作る量のバランスが取れているため目立ちませんが、年齢を重ねると、このバランスが崩れ、壊す量に作る量が追いつかなくなり、骨が痩せていきます。これが「骨粗しょう症」という状態です。特に女性の場合は、閉経に伴い女性ホルモンが減少することによってバランスが崩れ、骨の全体量が減少してスカスカな状態になることもあります。顔面の骨も同じように減っていきますから、それがしわやたるみの原因になって顎が痩せ、顔の輪郭が変わることも。脊柱に関われば、身長の低下にもつながります。
- Q骨粗しょう症が進行しやすい年代を教えてください。
-
A
先ほどもお話ししたように、女性の場合は閉経すると骨密度が下がってきますから、個人差はありますが閉経の平均年齢である50歳頃が骨粗しょう症が進行しやすい年代といえます。女性は50歳になったら、一度は骨密度検査を受けましょう。男性は女性に比べて筋肉量があり、骨の量も多く骨粗しょう症にはなりにくいのですが、80歳を過ぎたら骨が減少してきますから検査を受けておくとよいでしょう。骨粗しょう症にならないための「骨の貯金」という観点でいうと、小学生の頃から意識しておくことが大切です。特に、女性は生理が始まる前にどれだけ骨を蓄えられるかが重要です。子育て世代の親御さんには知っておいてもらいたいですね。
- Q骨粗しょう症に対する予防はできるのでしょうか?
-
A
骨は、食事、運動、薬による治療の3つがそろって強くなります。食事に関しては、カルシウムの摂取が有用でありますが、一般的にはビタミンDが不足しています。ビタミンDは食事から摂取するだけでなく、紫外線にあたることも大切です。ただ紫外線は皮膚に有害であるため、1日に10~15分程度掌に紫外線を当てることがお勧めです。またコラーゲンのもとになるタンパク質の摂取も心がけたいですね。運動はどんな運動でも良いですが、一番簡単なのが「踵落とし」です。つま先立ちの状態から踵に体重を乗せてドーンと落とす。1日50回を目安に毎日続けることをお勧めします。膝腰の悪い方は回数を分けて無理のない範囲で取り組んでください。
- Qこちらではどのような検査を行っているのですか?
-
A
一般的な検査はDEXA法(デュアルエネルギーエックス線吸収法)と呼ばれる検査で、背骨と大腿骨という足の付け根の骨の2ヵ所をエックス線で撮影し、骨の固さを測ります。骨粗しょう症では、一度骨折すると次の骨折が起こりやすいのですが、背骨と大腿骨を骨折すると寝たきりに直結するため、この2ヵ所の骨密度を測ります。検査時間は5~10分、解析まで含めても15分ほどです。お子さんのいる女性の場合、授乳期に栄養を取られて骨が痩せる人もいて、赤ちゃんを抱っこして背骨を骨折したというケースもあります。20代、30代の間に骨密度検査を受けて、血圧と同じように自分の基準を知っておくことは良いことだと思います。
- Qこちらでできる治療の特徴について教えてください。
-
A
骨密度検査の数値が70%以下になると、薬物治療の対象になります。薬は飲み薬から注射、点滴まであり、採血で骨代謝マーカーを測定し薬を選択します。これまで、整形外科医として骨折の手術に携わってきましたが、高齢化により手術件数は膨大な数になっています。整形外科の治療は後手に回っているという印象が否めなかったため、現在は骨折手術に至る前の食事と運動による骨粗しょう症の予防と薬物治療に力を入れています。食生活や生活習慣の影響で若くても骨密度の低い人はいますし、骨粗しょう症は症状がないのが怖いところです。骨粗しょう症に関する知識を深めてもらうために、薬や手術以外のアドバイスができることが当院の強みです。