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山田 武史 院長の独自取材記事

メンタルケア&カウンセリングはまざきクリニック

(米子市/河崎口駅)

最終更新日:2021/10/12

山田武史院長 メンタルケア&カウンセリングはまざきクリニック main

まるでリゾート地にあるコテージのような外観の「メンタルケア&カウンセリングはまざきクリニック」。医療機関特有の堅苦しさがなく、和やかな雰囲気を醸し出しており、友人宅に遊びに行くような感覚で気兼ねなく受診できそうだ。2018年から同院の院長を務めているのは、鳥取大学医学部附属病院や精神科専門の医療機関で研鑽を積んだ山田武史先生。豊富な診療経験を生かしてさまざまな障害や悩みを持つ患者を受け入れており、同院は思春期の学生から認知症の高齢者まで、幅広い世代が訪れるクリニックとなっている。時折見せる朗らかな笑顔が印象的な山田先生。どのような想いで日々患者と向き合っているのか、たっぷりと話を聞いた。

(取材日2021年4月15日)

思春期から老年期までさまざまな世代の悩みに対応

こちらのクリニックの概要を教えてください。

山田武史院長 メンタルケア&カウンセリングはまざきクリニック1

このクリニックは2004年に、私の大学の医局の先輩にあたる先生が開業されました。その方が高齢になられた時、「ここを引き継ぎませんか」というお話をいただき、2018年に私が継承することとなりました。米子に自宅があるのでこのエリアには愛着があり、いい機会をいただいたと思っています。当院は精神科・心療内科の疾患を幅広く専門的に診ているのが特徴で、どのような症状の患者さんにも対応することをモットーとしています。遠くは県外から通院されている方もいらっしゃいますね。最近では新型コロナウイルス感染症が流行していますから、患者さんに安心してご来院いただくために、UV照射器などを新たに取り入れました。感染症対策にはしっかりと気を配っていますから、気軽に来ていただきたいと思っています。

どのような患者さんが多く来られますか?

思春期、青年期、壮年期、老年期の患者さんがそれぞれ25%ずつくらいの割合で来られますから、年齢層は実にさまざまです。一般的に大学や大きい病院の精神科にかかる患者さんの大半は壮年や老年の方が多く、当院は比較的若い世代の方が多いということになります。特に10代、20代の患者さんが多く来られるのは意外でした。実際のところ、思春期のお子さんは勉強のことや友人関係などさまざまな問題を抱えていますし、判断が難しい精神疾患の初期段階にある人もいますから、的確に診断をしていくのはたいへん困難で、受け入れるクリニックもそう多くはなく、当院が少しでも受け皿になれたらと考えています。

そういう若い世代の患者さんに対しては、どのような対応をしているのですか?

山田武史院長 メンタルケア&カウンセリングはまざきクリニック2

当院には臨床心理士が4人在籍しているのですが、そのうちの1人が思春期を専門としています。その人と協力し、必要に応じてカウンセリングを行いながら二人三脚で対応しているので、私1人では難しい部分もフォローしてもらえて助かっています。最近ではスクールカウンセラーの方が当院を紹介してくださるケースも増え、クチコミで患者さんが広がっているようです。当院には他にも緩和ケアを得意とする臨床心理士や、女性のライフステージごとの悩み相談への対応が得意な人、精神分析が得意な人がいますので、他の世代の方々にもご利用いただければと思います。2人の心理士が同じ時間帯にカウンセリングを行うこともあるので、カウンセリング用の部屋は複数設けています。ここまでしているクリニックはめずらしいかもしれませんね。

質の高い専門的な診療を提供することに注力

先生はなぜ、精神科の医師に?

山田武史院長 メンタルケア&カウンセリングはまざきクリニック3

大学6年生の病院実習のとき、精神科の病棟で経験したことがすごく衝撃的だったからです。今思えば偏見なのですが、最初の2・3日は、病棟に入っていくだけでも怖かったのを覚えています。病棟の雰囲気は一言で言うと暗い印象でしたが、当たり前ですが一人ひとり、重症度も違えば性格も違って。患者さんと話をしているうちに、統合失調症の患者さんの持つ世界観に大きな刺激を受けました。例えば統合失調症の場合、教科書には「幻聴が聞こえる、被害妄想が出る」などと書かれているのですが、それでは何も想像ができなくて。実際に幻覚、妄想に真剣に対峙している患者さんから話を聞いて、こんな事が実際にあり、悩んでいるんだと実感できたというか。実習は数週間で終わりましたが、この患者さんたちはこれまでどう過ごしてこられたのか、今後どうなっていくのかという興味が湧き、もっと知りたいと思い、この科を専門に選びました。

その後、どのようなキャリアを積まれてきたのですか?

鳥取大学医学部精神行動医学分野で精神医学を専門的に学び、診療以外にも研究や助教・講師の仕事などさまざまな経験を積みました。その頃は主にストレス障害や不安障害、うつ病などの気分障害の患者さんを診ていました。その後は倉吉病院という入院施設のある精神科専門の医療機関に入職し、認知症初期集中支援チームの医師として認知症の患者さんを担当したり、発達障害や知的障害のある人たちが入る施設の嘱託医を経験したりしました。統合失調症の患者さんを診る機会も多かったです。振り返ってみると私は比較的多くの臨床経験を積むことができたと思っています。今まで得た経験を当院でも生かしていきたいですね。

診療の際に心がけていることを教えてください。

山田武史院長 メンタルケア&カウンセリングはまざきクリニック4

ホスピタリティーももちろん大切ですが、一番大事なのは一人ひとりの患者さんを丁寧に診て、「どれだけ質のいい医療を提供できるか」だと考えています。スタッフも、何も言わなくてもその気持ちは共有してくれていると感じています。診療のレベルを保った上で、当院を選んでいただいた患者さんは基本的には断らずに受け入れることも信条としています。完全予約制を取っていて、新患の方は1週間で約10人ずつしか受け入れることができない状況にあり、お待ちいただくことはありますが、わざわざ足を運んでくださった患者さんには「ここに相談してよかった」と思っていただけるような診療を提供したいと思っています。

楽な気持ちで生きていける道を患者と一緒に探す

初めての診察ではどのようなことをするのですか?

山田武史院長 メンタルケア&カウンセリングはまざきクリニック5

まずは問診票をお渡しし、当てはまる症状に丸をつけてもらったり、アンケートに答えてもらったりします。10代の患者さんの場合は親御さん用の問診票も用意していて、出生時やお子さんが小さい頃の様子なども教えていただきます。それを見ながら診察に入りますが、障害があるかもしれないと気づいた場合は認知機能検査やコンピューターによる注意力測定など、症状に応じた検査を行います。障害でなくとも、若い人は思春期特有の不安を抱えていることが少なくありません。人は10歳くらいのときに自分と周囲の人を比較し始めますが、そこで自分が劣等感を感じることがあれば不安が出てきます。なぜ不安に思うのか、その原因を探さなければ解消できませんが、解消させていく方法はあると思いますので、ご相談いただければお役に立てることは多いと思いますよ。

最近の患者さんの傾向から感じることはありますか?

私が若い頃にはなかったことですが、最近の若い人はSNSを気にして悩みを抱え込んでしまっている人が多く、気の毒だなと思います。割合で見ると、女性のほうが気にしている人が多いです。どうして人は周りの評価を気にするのか。一説には昔、人間は50人から150人の集団で生活していて、その少ない集団の中で人間同士の命の奪い合いがあった。その中で生き延びるために「自分はどう思われているのか」を探らないといけなかった。その性質が現代人にも残っていて、どうしても人の言動が気になるということです。その説に基づけば、人の言動が気になるのは自然なことですが、現代人にとっては過剰もしくは不要な負担ということです。歳を重ねていけばそれなりの対処法を習得する人もいますが、若い人はどうすればいいのかわからず深い悩みを抱えています。どうやったら過剰に気にせず生きていけるのかを知ったら、人生はもっと楽しくなるはずです。

今後の展望を教えてください。

山田武史院長 メンタルケア&カウンセリングはまざきクリニック6

今、当院には不登校のお子さんもよく来てくれているので、その子たちがより気軽に勉強したり遊びに来たりできる仕組みをつくれないかと考えています。学校やフリースクールには行けないが、クリニックには足が向くというお子さんもいらっしゃいます。そのような居場所がない子をフォローしていく環境をつくって、元気になってもらうのが今後の目標の1つですね。1つのクリニックにできることは限られているかもしれませんが、少しでもお役に立てるように努力していきたいです。

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