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肥田 裕久 院長の独自取材記事

ひだクリニック

(流山市/南流山駅)

最終更新日:2020/10/09

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取材に訪れたのは“ウィズコロナ”の時期。「ひだクリニック」では検温、手洗いと消毒液による手指の洗浄など感染症対策にも力を入れていた。適切な距離を取ることを徹底した待合室ではスタッフと患者同士が笑顔で会話するシーンも。肥田裕久院長がめざす「フラットな関係性」がこんな形で実現されているようだ。病気や障害があっても皆が同じ土壌で暮らせる社会にするため精神科の医師になったという肥田院長は、とても明るく、患者ともフランクに会話するドクターだ。治療だけでなく、デイケア、ナイトケアなどを通じて生活・就労復帰までをトータルに支援する同院の取り組みについて話を聞いた。
(取材日2020年6月29日)

地域医療に貢献し「振り分けの役割」を果たすために

まずは貴院の概要から伺いたいと思います。

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心療内科・精神科のクリニックですが、外来だけでなく、リハビリテーション、デイケア、ナイトケアなど多様なケアを行っています。「優しい心と高い専門性」を大切にし、幅広い診療形態に対応するために、医療法人社団宙麦会の各施設と連携しながらトータル的な展開を図っています。実は流山市には保健所がなく精神科の入院病棟も十分ではありません。だからこそ、当院が地域に根差したクリニックとして、患者さんが適切なケアを受けられるよう「振り分けの役割」を果たしていきたいと考えています。また、地域のあらゆる悩みに寄り添っていけるよう、統合失調症や高次脳機能障害など、複数の医師がそれぞれの専門性を発揮しながら、幅広く疾患に対応しています。さらに、通院が困難な患者さんには訪問診療も行っています。

訪問診療はどのような患者が対象になるのでしょうか?

統合失調症や重度のうつ病など、外出するのが難しい患者さんでして、看護師と連携を取りながら、定期的にご自宅を訪問しています。看護師は「こんなことができるようになりましたよ」など、医療とは違う視点で生活の情報を教えてくれるので助かっていますね。近頃では「8050問題」と言われるように、これまで面倒を見ていた両親の経済力がなくなり、抱えきれなくなって発見されるケースが増えてきています。潜在的ニーズが高いので、まずは必要な医療が届けられることを地域の皆さんに伝えていきたいです。それに関連して、自立支援、就労支援も当院の大きな柱として取り組んでいますので、デイケアやナイトケアに通いやすいよう、クリニックの周辺に住んでいただくことも提案しています。今では多くの患者さんが移り住んで熱心に社会復帰へ向けて励んでいますよ。

精神科デイケアでは、具体的にどのようなことを行っているのですか?

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心と体の回復を図るための精神科リハビリテーションという大きな仕組みがあるのですが、その中の一つが精神科デイケアです。症状が改善した後、次に何をしたら良いのか、どのように生活や社会復帰をしたらよいのかと悩まれる方がたいへん多いんです。そのため、社会的スキルを学び直す手助けを行ったり、新たな一歩を踏み出すトレーニングを行ったりする場がデイケア・ナイトケアとなります。当院では患者さんのことを「メンバー」と呼び、対等な関係を築いた上で、メンバー自身がプログラムをつくるためのサポート体制を整えています。スポーツや料理、季節のイベントなどから、心理教育やソーシャルスキルトレーニングなどのスタディープログラムまで、多様なプログラムを日替わりで用意しているのが特徴です。自分の生活スタイルに合わせて無理なく参加できるのも強みです。

治療から社会復帰、家族の悩み相談までサポート

治療後の支援体制についても教えてください。

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病気になってしまっても、もう一度社会に戻って仕事を頑張りたい、生活を取り戻したいと考える方がとても多いと感じています。私たちは患者さんの「取り戻したい」という気持ちに寄り添いながらサポートしていければと考えています。そのほか、生活や仕事面だけでなく、「プラスアルファ」の部分についても充実させていますよ。患者さんが参加しているプログラムの中で、事務長率いるフットサルチームがあるのですが、皆さん、真面目に練習に取り組み、大会に参加しています。「フットサルは楽しい」という感覚を大切に、医療だけではなく、社会にも頼りながら回復をめざしていただきたいです。また、患者さんのご家族との交流を図る家族会の活動も展開しています。患者さんと最も接する時間が長いご家族が疲弊しないように支えていくことが目標です。今後もさまざまな支援を考えていきたいと思っています。

複数の医師が診療する医院ですが、肥田先生のご専門分野は?

私の専門は統合失調症です。統合失調症に関しては、良い薬がたくさん出てきたこともあり、近年は軽症化の傾向にあると思います。当院では統合失調症の患者さんには、持効性注射製剤(LAI)の使用を推奨しています。これは2週間もしくは4週間に1度、定期的に注射を行う治療法です。持続的な作用が期待でき、毎日薬を飲む煩わしさも軽減できる特徴があります。また、基本的に、中度から重度の患者さんに対しては、コミュニティーに参加してリハビリテーションを行うコミュニティーケアも行っています。そのほか、最近では自閉症スペクトラム障害の相談も増えてきました。お子さんが発達障害の場合は、怒りの感情のコントロールを訓練したり、ペアレントトレーニングを実施したりしています。

精神保健福祉士も重要な役割を担っていると聞きました。

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当院の自慢は現在4人いる精神保健福祉士でして、彼らが患者さんの状態や今の環境、希望内容などを把握しながら診療をコントロールして、私たち医師との間もうまくつないでくれています。デイケア・ナイトケアにおいても、とても重要な役割を担ってくれていますね。思春期の治療、社会復帰に向けた経済生活や知的障害に詳しいスタッフ、スポーツに詳しいスタッフなど、それぞれの得意分野も生かしてくれています。精神保健福祉士は、初診の段階で患者さんに応じて自然に担当が決まっていくかたちですね。非常勤の医師は原則的に出勤日であれば初診を担当しますが、その後に各専門分野の医師にも会ってもらえるようスケジュールを調整しています。

ロゴや名称に込めた「思い」を実践していく

ところで医院のロゴやデイケアの名称についての由来も伺いたいと思います。

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シンボルマークをカエルにしたのは、目の前が「かえる公園」というド直球の理由ですが(笑)、そこに「患者さん一人ひとりに笑顔がかえる医療の提供を」という私たちの思いも乗せています。デイケアの「るえか」も、単にカエルの逆さま語ではなくて、「リカバリーユニットエデュケーショナルコミュニティーアプローチ」の頭文字、つまり「心理教育を地域に教育して広め、病気を回復させるための団体」という意味で、当院の理念でもあります。「るえか」は、外国語では「糸紡ぎの回転する車」を意味するそうですが、まさに医療行為を紡ぎながら地域社会を回すエンジンにもなりたいとの思いですね。

今後、計画されていることがありましたら教えてください。

流山市で行ってきた同じ診療コンセプト、同じ患者さんへの思いを実践するクリニックとして今年9月、お台場に分院をオープンします。武蔵野線は臨海線と一本でつながっているので、その方面から当院に通う患者さんのためにも、より近くにクリニックがあれば利便性がいいと思ったのです。また、東京湾岸の新興開発地域には統合失調症など専門性を持った精神科がほとんどないので、地域ニーズがあると考えたのも大きな理由です。さらに私たち医師も都内の勉強会や医学セミナーに参加しやすくなり、最新の知見を吸収することが容易となるため、それを当院の患者さんへも還元していきたいですね。

最後に、受診をためらっている人やご家族に向けてメッセージをお願いします。

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当院では、患者さんとご家族、医療従事者がフラットな関係を築くことを心がけています。まずは、患者さんを除いて、ご家族だけの相談でも構いません。精神保健福祉士が、診察に入る前に症状や生活状況など、たっぷり時間をかけて伺います。困り事を整理してから医師の診察を受けていただきますので、気負わずに気軽に相談してください。専門が異なる個性豊かな医師がそろっていますので、患者さん自ら相性の合う医師を選んでいただくことも可能です。これからも「この地域で治療を受けられて良かった」と思っていただくために、地域医療に欠かせない多機能型精神科クリニックをめざしていきます。

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