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肥田 裕久 院長の独自取材記事

ひだクリニック

(流山市/南流山駅)

最終更新日:2019/10/07

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南流山駅から徒歩3分、麦をくわえたカエルがシンボルマークの「ひだクリニック」。精神科・心療内科の外来と、精神科リハビリテーション、訪問看護を中心に据えた多機能型の精神科クリニックだ。院長の肥田裕久先生が理事長を務める医療法人グループでは、デイケア・ナイトケアのプログラムや自立支援や就労支援なども行っており、グループ一丸となって提供する手厚いサポートで、心の病を抱えた人たちの診療に力を注ぐ。優しい笑顔が印象的な肥田院長は、地域医療のために尽力する意欲あふれるドクター。「一人ひとりに笑顔がかえる、そんな医療をめざして」をモットーに活動を続ける肥田院長にたっぷりと話を聞いた。
(取材日2019年7月8日)

地域医療に貢献し「振り分けの役割」を果たすために

医師をめざした理由や開業までの経緯を教えてください。

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もともと精神科医師をめざしたのは、障害があろうがなかろうが、病気だとか健康であるとか、いろいろな制約にとらわれず、みんなが同じ土壌で暮らせる社会がいいなと常々思っていたからです。それらを体現できるのは、精神科領域かなと。1996年に帝京大学医学部を卒業し、同大学医学部附属病院で研修医をした後、1998年から柏市にある初石病院に勤務しました。その医師業務の傍ら、市役所窓口の相談業務に携わることになり、病気とはまた違った困り事や悩みを聞いていくうちに、医療というのは病院だけでは限界があると気づいたんです。そこで、東京大学保健センターの講師や社会福祉法人理事などを務めた後、地域医療への貢献をめざして2005年に当院を開院しました。

外来診療のほか、デイケアや就業支援といった包括的な支援を重視しているのもこちらの特徴ですね。

精神科・心療内科の外来だけでなく、リハビリテーション、デイケア、ナイトケアなど多様なケアを行っています。これには流山市の特性も関係しています。流山市は人口約17万人の街ですが、実は保健所がなく精神科の入院病棟もゼロ。だからこそ、地域のクリニックとして、患者さんが適切なケアを受けられるよう「振り分けの役割」を果たしていきたいと考えています。当院では複数の医師たちが、それぞれの専門と技術を発揮しながら幅広い疾患に対応していますが、それというのも、地域で活動する医師は、スペシャリストでありながらゼネラリストでもあるべきだと思うから。地域の方々のあらゆる悩みに寄り添っていくため、当院では「優しい心と高い専門性」を大切にし、幅広い診療形態に対応するために、医療法人社団宙麦会としてトータル的な展開をすることになりました。通院が困難な患者さんに対しては訪問看護も行っています。

訪問看護について、詳しくお聞かせください。

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統合失調症や重度のうつ病など、外出するのが難しい患者さんには訪問看護を行っています。開業当初から細々とやっていましたが、最近は埋もれていた患者さんの存在がだんだんとわかってきました。例えば、「8050問題」と言われるように、これまで面倒を見ていた両親の経済力がなくなり、抱えきれなくなって発見されるケースが増えてきています。潜在的ニーズが高いので、まずは必要な医療を届けられることを伝えていきたいです。また、訪問看護では看護師と連携を取りながら、定期的にご自宅を訪問しています。看護師は「こんなことができるようになりましたよ」など、医療とは違う視点で生活の情報を教えてくれるので助かっています。

治療から復帰までトータルにサポート

精神科デイケアでは、具体的にどのようなことを行っているのですか?

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心と体の回復を図るための精神科リハビリテーションという大きな仕組みがあるのですが、その中の一つが精神科デイケアです。診療や薬物療法などで症状が改善した後、次に何をしたら良いのか、どのように生活や社会復帰をしたらよいのかと悩まれる方がたいへん多いんです。そのため、社会的スキルを学び直す手助けを行ったり、新たな一歩を踏み出すトレーニングを行ったりする場がデイケア・ナイトケアとなります。当院では患者さんのことを「メンバー」と呼び、対等な関係を築いた上で、メンバー自身がプログラムをつくるためのサポート体制を整えています。スポーツや料理、季節のイベントなどから、心理教育やソーシャルスキルトレーニングなどのスタディープログラムまで、多様なプログラムを日替わりで用意しているのが特徴です。自分の生活スタイルに合わせて無理なく参加できるのも強みです。

治療後のサポート体制も整えているのですね。

病気になってしまっても、もう一度社会に戻って頑張りたい、生活を取り戻したいと考える方がとても多いと感じています。私たちは患者さんの「取り戻したい」という気持ちに寄り添いながらサポートしていければと考えています。そのほか、生活や仕事面だけでなく、「プラスアルファ」の部分についても充実させていますよ。患者さんが参加しているプログラムの中で、事務長率いるフットサルチームがあるのですが、皆さん、真面目に練習に取り組み、大会に参加しています。「フットサルは楽しい」という感覚を大切に、医療だけではなく、社会にも依存しながら回復をめざしていただきたいです。また、患者さんのご家族との交流を図る家族会の活動も展開しています。患者さんと最も接する時間が長いご家族が疲弊しないように支えていくことが目標です。今後もさまざまな支援を考えていきたいと思っています。

就労支援にも力を入れているそうですね。

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はい。治療を継続しながら、徐々に社会に復帰したいという患者さんに寄り添うために、法人グループと協力しながら就労支援を行っています。社会に戻るために働く場所を提供し、さらに、就職後もさまざまなサポートをすることで、継続・定着につなげていきたいですね。実際に、精神科の病気を患っていた患者さんがその経験を生かして働ける場所を探し、今度は患者さんのサポートをする立場で活躍される人もたくさんいらっしゃるんですよ。

地域に求められる多機能型精神科クリニックとして

肥田院長のご専門について教えてください。

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私の専門は統合失調症ですが、近年は軽症化してきました。良い薬がたくさんありますからね。当院では統合失調症の患者さんには、持効性注射製剤(LAI)の使用を推奨しています。これは2週間もしくは4週間に1度、定期的に注射を行う治療法です。持続的な効果が期待でき、毎日薬を飲む煩わしさも軽減できる特徴があります。また、基本的に、中度から重度の患者さんに対しては、コミュニティーに参加してリハビリテーションを行うコミュニティーケアも行っています。そのほか、最近では自閉症スペクトラム障害の相談も増えてきました。お子さんが発達障害の場合は、怒りの感情のコントロールを訓練したり、ペアレントトレーニングを実施したりしています。

診療で心がけていることは何ですか?

医師は悪いところや異常を見つけることは得意だと思います。しかし、逆に良いところを見つけるのはなかなかできないと思うので、できるだけ良い部分を探して診るように努めています。精神疾患の患者さんは、自分ができなかったことに敏感になっていて、できることに対して鈍感だという傾向が大きいのです。それを理解した上で、できている部分を見つけ、それを気づかせてあげるということを必ず行っています。ストレングス視点というのですが、自己評価を少しずつ上げていくことが改善への道につながりますからね。また、在院の時にはデイケアにも必ず顔を出していますよ。「同じ釜の飯を食う」という昔ながらの風習に習い、患者さんと一緒に食事をするのも、開院以来のスタッフたちのルーティンワークです。

最後に、受診をためらっている人やご家族に向けてメッセージをお願いします。

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当院では、患者さんとご家族、医療従事者がフラットな関係を築くことを心がけています。まずは、患者さんを除いて、ご家族だけの相談でも構いません。精神保健福祉士(PSW)という国家資格のソーシャルワーカーが、診察に入る前に症状や生活状況など、たっぷり時間をかけて伺います。困り事を整理してから医師の診察を受けていただきますので、気負わずに気軽に相談してください。専門が異なる個性豊かな医師がそろっていますので、患者さん自ら相性の合う医師を選んでいただくことも可能です。これからも「この地域で治療を受けられて良かった」と思っていただくために、地域医療に欠かせない多機能型精神科クリニックをめざしていきます。

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