西村 基 院長の独自取材記事
優ウィメンズクリニック
(川崎市高津区/高津駅)
最終更新日:2025/05/22

東急田園都市線高津駅から徒歩1分。「優ウィメンズクリニック」は、婦人科をだけでなく乳腺外科や内科も扱い、女性のための総合的な診療を行っているクリニックだ。2025年4月より院長を務める西村基(にしむら・はじめ)先生は、東京逓信病院で第一外科医長や乳腺センター長も務めてきたスペシャリスト。数多くの乳がん患者を診る中で「こうなる前に予防したい」という思いから、検診に注力する同院の院長に就任した。病院で扱ってきた充実した検査体制を維持しつつ「健康を見直すきっかけ、ここに来て良かったと思ってもらえるクリニック」をめざすという西村院長。ホテルを思わせるラグジュアリーでシックな院内で、診療にかける思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2025年3月21日)
女性特有の疾患を専門に扱う必要性を痛感
まず、医師を志した理由やご経歴を教えてください。

整形外科医の父と母方の叔父が共同で有床診療所を開業していて、当初は後を継ぐつもりで医師を志しました。転機となったのは、叔父と同じ消化器外科に進んだ頃に、知人が乳がんに罹患したことです。彼女はまだ一般的ではなかった乳房温存を希望していて、どうにかかなえられないかと乳腺チームの先生も含めいろいろな方にお話を聞きました。同僚というよりも患者目線から質問する中で、女性特有の疾患はそれに特化した医師が診るべきではと考えるようになったんです。その後、乳腺を専門とする外科に移り、数多くの検査と手術を経験。東京逓信病院では乳腺センター長も務めました。乳がんの患者さんと向き合う日々は「こうなる前にできることはなかったのだろうか」と悔しい思いをすることも多かったです。
これまで出会った忘れられない患者さんはいますか?
まず、私を信頼して手術や化学療法を任せてくれたすべての患者さんたちに深く感謝しています。患者さんの笑顔を目にすると、自分事のようにうれしかったです。近年、乳がんは新薬が次々と登場し、治療法が確立されたこともあり、早期に治療を開始することで将来的な見通しが立てやすくなりました。昔、助けられなかった患者さんを「あの頃、この薬があれば……」と思い出すことも少なくありません。早期発見のためにも、更年期の一歩手前の、月経が不順になる頃などは気をつけるようにしましょう。ホルモンバランスの崩れが乳腺の変異につながることもあるからです。特に、かつて乳腺炎の経験がある方は、その時にできた異型細胞ががん化するリスクもあるので注意してください。
こちらの院長に就任したきっかけや抱負も伺えますか?

乳がんを診察していると「この大きさの腫瘍ならば発症は何年前」ということがだいたいわかります。その頃どうしていたかを問うと、生活習慣病を発症した、仕事・育児・介護などで過度のストレスを抱えていたなどの問題点が見えてくるんです。病気にならないようなルートに導くためには、定期的な検診で間違った道に入りかけている瞬間を見逃さないことがポイントです。だからこそ、幅広い分野の検査を実施している当院で予防医療に取り組みたいと考え院長に就任しました。病院勤務の傍ら、長年にわたり実家の診療所も手伝ってきたので、糖尿病、脂質代謝、腎機能、肝機能の異常など内科診療も多く携わってきました。乳腺外科・婦人科・女性内科が一つのクリニック内にある当院の特性を生かしつつ、シームレスに女性の健康を守っていきたいです。
女性のための検査が充実。異常があれば治療も可能
複数の診療分野があることで、患者さんはどのようなメリットを期待できますか?

当院では月曜から土曜まで、乳腺外科と婦人科の医師が常に診療にあたり、同時に内科も扱っています。このため、婦人科の採血で異常が認められたとき、念のために内科でも診察することができますし、その逆も可能です。更年期や月経困難症のホルモン補充治療も、乳腺検査も取り入れながら進められるので、患者さんにとってはより安心なのではないでしょうか。また、当院では川崎市の市民検診、横浜市のがん検診などの対象機関に認定されていますが、乳がん検診、子宮がん検診、肺がん検診、大腸がん検診と幅広く対応できるというメリットもあります。軽度の二次検査や治療ならば院内でできますし、複数の医療機関に通院する手間も省けるでしょう。
乳がん検診、子宮がん検診など女性のための検診が充実していますね。
当院は婦人科にも対応しているので、乳がん検診だけではなく子宮がん検診もできるのは強みだと考えています。どの検査を組み合わせるかは患者さん次第で、例えばマンモグラフィと子宮がん検診のプランならば1日で完結。子育てや仕事で忙しい世代でも利用しやすいのではないでしょうか。また、骨密度検査やマンモグラフィ検査、超音波検査などを担当するスタッフはいずれもスペシャリストで、基本的に通常の検査はすべて女性スタッフのみで行うので安心して受診してください。万が一、高度医療が必要と判断された場合は、東京逓信病院や都内にある多くの病院、聖マリアンナ医科大学病院、帝京大学医学部附属溝口病院、横浜労災病院などを紹介しています。
ワクチン接種も多岐にわたって行っていますね。

HPVワクチンの啓発にも引き続き取り組んでいきたいです。検診で来院した40代、50代の方にも「娘さんがHPVワクチンを未接種なら受けに来てください」と呼びかけています。HPVは性交渉によって感染するので、実は男性への接種も必要です。実際、海外では小学生男児に接種を義務化する動きもあるので、男の子のお母さんにも「日本でも将来的には男子も公費で打てるようになると思うのでニュースに注意していてください」とお話ししています。その他、今後は内科的なワクチン接種も増やしていきたいと思っています。インフルエンザや新型コロナウイルス感染症はもちろん、帯状疱疹、肺炎球菌感染症、RSウイルス感染症などのワクチン接種もできるようにしていく予定です。
健康への不安で迷う人を正しく道案内したい
診療にあたって大切にしていることは何ですか?

心がけているのは、患者さんがどんなに言いにくいことでも「この先生なら話してみよう」と打ち明けてもらえるような場をつくることです。とめどなく疑問があふれそうになる方もいますが、一つ一つの心配事だけではなく、それらの根本にある不安に迫りたいと思っています。SNSなどで芸能人が甲状腺機能低下や乳がんで亡くなったといったニュースを目にしやすい昨今、「もしかしたら私も?」と心配になることも多いでしょう。情報の森で迷いそうになっている方を、正しい方向に道案内していくことも私たちの役目です。ただ、すべてにおいて、決して相手が求めている枠を壊してはいけないと肝に銘じています。これまでさまざまな女性の患者さんに接してきましたが、とても大切なことではないでしょうか。
今後の展望についてお聞かせください。
充実した検診体制を維持しながら、地域のかかりつけ医としての機能も強化していきたいと思っています。乳腺外科や婦人科の専門的な治療に加えて、一般的な内科診療でも気軽に受診できるようにしていきたいです。慢性疾患の服薬治療なども、患者さんが無理なく継続できるように医療DXも積極的に取り入れていきたいですね。栄養指導や運動指導などによる予防にも注力していきたいですが、今の生活の中で続けられることを一つずつ増やすというスタンスでやっていきたいです。地域の方々が何を求めているのかを繊細にキャッチして、必要とされる医療を提供できればと思っています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

どんなに素朴な質問でも構いません。ありのままのお悩みを話していただければと思っています。一つの訴えから、患者さんが心配していたのとは別の病気が見つかるケースも少なくありません。体は一つの大きな森のようなものです。変調を一つずつ解決していくことがトータルケアにもつながります。乳腺外科、婦人科、女性内科という3つの強みを生かして、デリケートな女性の身体を総合的に見守っていきたいと考えています。検診も結果を送っておしまいにはしません。検診をきっかけに「ご縁ができて良かった」と思っていただけるクリニックをめざしています。今はどこも悪くなくても、健康に漠然とした不安を抱えている方も、遠慮なくお立ち寄りください。
自由診療費用の目安
自由診療とは内科総合検査/1万1000円、甲状腺総合検査/1万1000円、人間ドック/1万1000円 ※詳細はクリニックへお問い合わせください