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安原 昭博 院長の独自取材記事

安原こどもクリニック

(寝屋川市/香里園駅)

最終更新日:2022/03/28

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京阪本線香里園駅から歩いて4分。メディカルビルの2フロアで展開する「安原こどもクリニック」は、地域医療の充実と発達・発育障害に対する支援を目的に、高い専門性で応えるクリニックだ。小児神経の専門家として大学病院の助教授まで務めた医学博士の安原昭博院長を中心に、院内にはさまざまなエキスパートが待機。マンツーマンでのカウンセリングや完全予約制の外来診療、脳波検査による診断など、病気や障害のある子どもたちに対する重層的かつ手厚いサポートを実現している。半袖のポロシャツにデニムパンツ、素足にスリッパという、カジュアルなスタイルで子どもたちを出迎える安原院長に、クリニックの診療の特徴やコンセプトなどについてじっくり聞いてみた。

(取材日2022年2月21日)

専門スタッフが子どもの体と心をトータルにサポート

院長先生は大学病院に長くお勤めだったそうですが。

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私は関西医科大学の小児科学教室に30年勤め、小児神経科の医師として、てんかんや重度の脳性麻痺、神経障害のある子どもたちを診てきました。その中で次第に発達障害への取り組みに興味が移行し、もっと患者さん一人ひとりに時間を割いて細かいサービスを提供していきたいと考えたのが独立のきっかけでした。クリニックを開設した2006年当時、この分野で専門性をもつクリニックはまだ少なく、情報を知った親御さんと患者さんが全国からお越しになりました。現在、ドクターは私を含めて5人で、看護師や事務スタッフ以外にも常勤の臨床検査技師が2人、公認心理師が2人、言語聴覚士が4人います。クリニックは3階と4階の2フロアに分かれていて、4階は発達支援スペースとして個室でのカウンセリングや検査が可能となっています。

こちらでは発育に関する診療にも注力していますね。

はい。特に得意としているのは成長ホルモン分泌不全性低身長症に対する治療です。同じ年齢の子どもの標準偏差から一定の数値を下回れば低身長症と診断されて治療対象となります。病気の原因は成長ホルモンの分泌不全によるもので、生まれつき小さくて小学校に上がっても周囲の子と同じ背丈にならないと悩むわけですね。成長ホルモン欠損の子どもの平均寿命は、そうでない子どもと比べて短い傾向にあるといわれていますから、ホルモン投与による治療はとても重要です。ホルモン投与は糖尿病のインスリンと同じように自分で毎日注射をすることになります。また、もし治療対象でない場合でも、成長ホルモンを促すために早寝早起きやバランスの良い食生活、適度な運動などを欠かさないようにしてください。

神経の外来では、どのような子どもの診療を行いますか?

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主に発達障害やそれに伴う症状が中心で、てんかんや自閉症、SLD(限局性学習症)などがありますが、一番多いのはADHD(注意欠如・多動症)ですね。小学校に入っても落ち着きがなく、授業中も座っていられない、発言が多い、忘れ物をする、片づけができないなど、集団の中では問題児と扱われがちですが、検査で診断基準に合致していれば治療を受けることができます。治療は、薬物療法とソーシャルトレーニング(SST)を柱としています。SSTは、衝動性などを自分でコントロールできるようにトレーニングし、集団生活が行いやすくできることをめざしています。

多面的に子どもたちの自立を支えたい

先生は院外での活動にも注力されているとか。

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障害などの困難を抱える子どもたちや保護者の方々を、医療とはまた別のアプローチで支援するために、クリニック開設年に「YCCこども教育研究所」を開設しました。ほかにも同様の志から開設した施設がいくつもあります。子どもたちが将来、自立した大人になれるまでしっかり守ってあげたいというのが、こうした活動を続けている一番の理由です。診療で必要だと判断した場合は「YCCこども教育研究所」を紹介することもあり、ホームページでもその施設について紹介しています。

学習障害についてはどのようにお考えですか?

学習障害は現在では限局性学習症という病名で認知されており、文字を書くのが苦手で板書が追いつかない、算数の障害で計算ができない、本を読んで理解することができないという3つが限局性の定義となっています。決して知的に遅れているわけではないので、学校ではサボっていると判断されてつらい目に遭っているわけですね。例えば文字を書く代わりに写真で撮って勉強を進める方法もあると思うのですが、そうした特例は不平等になると、なかなか認めてもらえないのが現状で、病気としての周知は教育現場も医療現場もまだまだこれからと考えています。

こちらでは脳波検査にも力を入れておられますね。

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当院では脳波検査が可能ですが、この規模のクリニックで行っているところは珍しいのではないかと思いますね。私は長年脳波の研究をしていますが、脳波異常が原因で発達障害や学習障害が起こるケースがあることに気づき、それをシンポジウムで発表したこともあります。特に自閉症の子は脳波異常が多く、そういう子はだいたい部分てんかん発作を起こします。脳波異常とは脳波の乱れのことで、そこに原因があるというしるしと考えられるのですね。つまり脳波検査でもし脳波異常が見つかれば、逆に治療によって発達障害や学習障害が改善する可能性が見込めると考えています。部分てんかんのほとんどは薬で対応できます。お子さんの症状で悩んでおられるなら、ぜひ一度検査を受けていただければと思います。

障害を越えて幸せな人生をつかんでほしい

先生は学生時代にラグビーをやっていたそうですね。

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ラグビーは中学生から始め、イギリスのプロリーグに憧れていました。関西医大のラグビー部では1年生の秋からセンターを務め、在学6年間で100トライ以上を決めたのはちょっとした自慢です。実は私はフィットネスジムも経営していて、自分自身、今もそこで体を鍛えています。中高年になると筋肉が落ち、転倒して骨折するリスクも高まりますから、予防の意味でもトレーニングは大切ですね。そのほかの趣味としてはロックバンドを今も続けています。メンバーはみんなドクターで、私の担当はベースです。オリジナル曲を作ってライブをやったり、結構本格的に活動しています。趣味は生きる意欲の源です。ここに来る子どもたちも自立して、何か好きなことを見つけてほしいと思います。

今後に向けた新たな取り組みがあれば教えてください。

子どもたちへの支援で一番大切なコンセプトは自立を助けること。それを地域の中で実現することを重視していて、例えば老人ホームの一画に発達障害の子が入る施設を造ったり、脳性麻痺や運動系の障害のある子のために理学療法を導入したり、やりたいことはたくさんあります。それぞれアプローチの領域は異なりますが、根幹となる目的は同じで、すべてが一つの流れにあると捉えています。

最後に、保護者の皆さんへ向けたメッセージをお願いします。

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ADHDの子も自閉症の子も、ちゃんと一人前になって社会適応することは十分に可能だと思います。なぜならそれらは「治療によって改善が期待できる病気」だからです。自分でできることは、なるべく頑張ってほしいと思います。しかし、それでどうしても克服できなかったら、その時は制度に甘えても構わないんです。障害者は守られなければならない存在で、社会全体で守っていくことが当たり前の世の中でなくてはなりません。障害のあるないにかかわらず、みんなが幸せになってくれることを願っています。それが私からのメッセージです。

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