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牧 尉太 院長の独自取材記事

フジハラレディースクリニック

(広島市安佐南区/下祇園駅)

最終更新日:2026/09/02

牧尉太院長 フジハラレディースクリニック main

安佐南区祇園に開院し19年の間地域の女性の健康を支えてきた「フジハラレディースクリニック」。同院を2026年に継承し、理事長・院長を務めているのが牧尉太(まき・じょうた)先生だ。牧院長は、先代の藤原紹生先生が提唱してきた独自の出産法と、「楽しみ、満足感を持って体験できる」出産をめざすスタイルを受け継ぎ、自身の知見をプラスし分娩から産婦人科診療まで、女性の一生に伴走している。優しい笑顔や、安心感を与えるような語り口で患者の心をほぐす。牧師の曽祖父、実業家の祖父から受け継いだ「受くるより与えるが幸いなり」の経営理念に基づき、患者一人ひとりと向き合う牧院長に医療と患者への思いを聞いた。

(取材日2026年7月16日)

得意のマルチタスクを生かし、女性の一生を伴走支援

どのようなきっかけで医師をめざしたのですか。

牧尉太院長 フジハラレディースクリニック1

私の曽祖父は小売商店を経営していた牧師でした。事業活動や精神は、実業家である祖父・父・兄と受け継がれ、私は次男として生まれました。父は具合が悪くても病院に行くなという主義で、それで困ったことはなかったのですが、中学2年の時、兄弟4人そろって麻疹にかかってしまったんです。父が不在で母が1人で4人を看なければならず、対応してくださった先生の関わり方を見て、医師という仕事に魅力を感じました。ですが、その後学業ではなく、中学・高校と部活のハンドボールや学生活動に熱中していたので、医学部に受かる学業レベルではなかったんです。一度は別の大学に進学したのですが夢が捨てきれず、働きながら勉強し直して医学部に入学しました。

どんな学生時代でしたか?

大学4年の終わりから5年にかけての留学先で、脳外科の先生のもとで勉強させていただきました。そこで外科系の専門を勧められ、最初は整形外科に行こうと思っていました。しかし、研修医時代に指導してくださった産婦人科の先生の「上辺だけの人間から深い人間になれ」という言葉に叱咤激励を受け、産婦人科医になろうと決めました。患者さんと「おめでとう」「ありがとう」という言葉を交わすことができること、ゆりかごからスタートし女性の生涯の健康支援ができることに加え、内科・外科・その他を網羅できる科であるため、マルチタスクが得意な自分に合っていると感じました。学業と並行し、教材販売の営業、運送業などの仕事も経験してきました。母親の子どもに対する考え方にふれ、医療従事者にとって大切な、理解・納得してもらうコミュニケーション力も身につきました。

クリニック継承の経緯をお聞かせください。

牧尉太院長 フジハラレディースクリニック2

初期研修後は岡山大学病院に勤務し、産婦人科病棟の医長や産科婦人科講師を務めていました。このまま大学にいるものだと思っていましたが、後継者を探していた藤原紹生先生にお声がけいただき、何度もお話しした上で継承させていただくことを決めました。今後も「50年でも100年でも楽しく・幸せなお産をこの地で続けていける施設」の考えを持ち、藤原先生のこれまでの19年にわたる取り組みを、さらに発展させていきたいと思っています。私だから導入できる新しいものもつけ加え、1を2にするだけでなく、5にも10にも広げていきたいです。「地域社会における共生」を掲げた実家の経営理念も受け継いでいるため、女性の一生を伴走支援していくことが使命だと思っています。

妊婦主体のオーダーメイドお産をチームでサポート

クリニックの特徴を教えてください。

牧尉太院長 フジハラレディースクリニック3

当院では「オーダーメイドお産」を公言しています。これは、お産をご家族も含めてみんなで成功させるというプロジェクトで、先代の考案した独自の出産法に加え、バースデザインをご本人にしっかりと立ててもらい自律的にめざしていく考え方です。F1レーサーを妊婦さんご本人と例えたら、掲げる目標に向かい10ヵ月間本番に向けて妊婦検診等でイメージし、自信をつけていただき、本番の陣痛がスタートするとピットインで、その道のプロフェッショナルでわれわれが素早く、整備・対応し、目標達成に向け全力でサポートし、大満足の出産につなげる。そういった役割を当院全体で掲げています。安全性を追求し先進の機器を備えた医療体制に一新しており、ご家族の出産を万全に迎え入れる体制を整えました。医師だけでなく、看護師、助産師、栄養士、調理師、事務スタッフや清掃スタッフなど、全員がチーム一丸となり、妊娠中の生活もしっかりサポートしています。

産後もずっと女性の人生に伴走されるのですね。

今は、人生100年の時代です。衛生環境や生活、分娩環境などが整わない時代には、亡くなる子どもや母親も多かったので、たくさん産まないと家を守れませんでした。しかし、今は文化が変わり衛生環境や出産状況も良くなったため、出産だけで人生の幕を閉じていた時代とは異なります。出産し子育てが終わった後の50年、女性は楽しんで生きていい時代になったんです。女性が元気であれば、その家族も元気でいられるというのが私の持論です。私は更年期など女性のヘルスケアも専門として診ています。いくつになっても女性が凛として元気でいられるよう、クリニックとして伴走したいと思います。

先生は帝王切開の専門家でもあるとお聞きしました。

牧尉太院長 フジハラレディースクリニック4

帝王切開後の合併症として、子宮を切り赤ちゃんを出した部分の筋肉が薄くなる、内側に大きなくぼみができるケースが多くあります。この合併症は半数以上に起こるとされ、月経困難症や不妊症、そしてハイリスク妊娠の原因になる場合もあります。私はそれを解決したいと思い研究を重ね、くぼみが発生する確率を減らす技術を見出し、全世界の専門家らと、日々医学の進歩に向けて話し合っています。また、おなかの表面の傷痕のケアにも注力し、きめ細かなサポートを行っています。遠慮なくご相談いただけたらうれしいです。

デジタル化にも取り組み、母子の健康を生涯支える

ママ親講座・パパ親講座を開講しているそうですね。

牧尉太院長 フジハラレディースクリニック5

私が講師を務め、妊娠・出産を楽しむ方法や、家族=チームとしての役割を理解してもらう2時間の講座になっています。特にパパ親講座は、現在3ヵ月待ちです。男性が育児に参加する時代になったなと感じますが、女性がパパにしてほしいことと、男性が「こうしてほしいんだろうな」と思っていることはまったく違います。そのため、それを擦り合わせたり、私の経験をもとに教育論も語ったりしています。おむつを替えるゲームをしたり、おなかに重りをつけて妊婦さんの大変さを実体験してもらったりもします。また、いつでも家族で外来にいらっしゃいとお伝えし、お兄ちゃんお姉ちゃんを膝に乗せて診察をして、自分の弟妹だという気持ちを持ってもらうこともしています。私自身、弟妹ができたときに少し複雑な気持ちになったため、そういった子どもの気持ちもサポートしたいですね。

デジタル化への取り組みについて教えてください。

学生時代に働いていた運送会社では、情報がデジタルで連携・管理されていたのに対し、10年前の医療現場は非常にアナログでした。妊婦さんを別の病院に搬送する一刻を争う状況下でも、紙で書類を作成し電話で連絡するという、直接の医療行為ではない作業が多く、患者さんの不利益にもなっていました。また、妊娠中からのリアルなライフコースデータがすべて記録されている母子手帳が、デジタル管理されていないことももったいないと感じていました。医療システムや情報のデジタル化は、将来の医療の進化にもつながります。私は、アプリ開発、システムの構築、情報のデジタル運用の推進を自分のライフワークとし活動してきた実績から、当院でも引き続き安全性やコミュニケーション手段、時間の有効活用に根差すために、アナログの良い部分を用いつつ、デジタルの活用に取り組んでいきます。

今後の展望をお聞かせください。

牧尉太院長 フジハラレディースクリニック6

お母さんやお子さんが健やかに楽しく生活することを下支えする、宿り木のような存在でありたいです。また、ご主人やパートナーも、気軽に来訪してくださる施設でありたいです。赤ちゃんの身体の構成プログラムは、おなかの中にいるときに7割が組まれ、残りの3割は出生後の環境因子で変化するといわれています。妊娠中と出産後のお母さんの生活が赤ちゃんに直接的にその子の成長に効果をしめす可能性があると考え、伴走して支えるのが、産婦人科のあるべき姿です。目の前の患者さん一人ひとりに丁寧に対応し、それを毎日続けていくことが私の使命だと考えています。円滑な診療ができるようしっかりと体制を固め、受診して良かったと思っていただけるクリニックをコツコツめざしていきたいと思います。