前田 重人 院長の独自取材記事
前田ファミリークリニック
(尼崎市/立花駅)
最終更新日:2025/06/13

2026年には開業20周年を迎える、立花駅前の「前田ファミリークリニック」。「CT、大腸カメラ・胃カメラ、超音波診断装置を導入」「土日診療」「患者を尊重した診療」の3つを柱に、内科・消化器内科・外科・肛門内科・肛門外科・皮膚科と幅広い診療を行う。消化器外科の前線で内視鏡検査・治療にあたり、全身管理にも深く携わってきた院長の前田重人先生は、自身が病気がちだった経験から、一人ひとりの患者を尊重する丁寧な診察を心がけている。「気になることがあれば気軽に相談に来てもらえたら」と優しく語る前田院長のために、クリニックには患者がひっきりなしに訪れるという。クリニックの特徴や、診療の際に大切にしていることなどについて聞いてみた。
(取材日2025年5月9日)
病院レベルの検査設備をそろえる地域のかかりつけ医
医師をめざしたきっかけは何でしたか?

小学生の時からよく病気をする子どもでした。中学生の時には長期の入院も経験しました。思えば、いつも病気のことを気にかけて過ごす日々でしたね。友達には気づかれないように、親の前では心配をかけないようにと、常に気を張っていたように思います。ところが、担当医の前でだけは病気のことを忘れることができたのです。その先生の前では病気をしているそのままの自分をさらけ出すことができたからだと思います。「私もそんな存在になりたい」、この想いが、私が医師をめざすことになった原点です。
先生のご専門と、これまでのご経歴について教えてください。
奈良県立医科大学を卒業後、奈良県立医科大学附属病院の第一外科に入局し、主に胃がんなどの消化器系がんの研究や治療に従事しました。消化器外科は、内視鏡によって自分で病気を見つけることができ、内科的な治療もできるし、最終的には手術という外科的治療もできるという点にとても魅力を感じていました。その後、奈良の関連病院で勤務医をしていましたが、阪神・淡路大震災をきっかけに地元の兵庫県に戻ることに。兵庫医科大学病院の第一外科の勤務を経て、2006年に開業に至りました。
なぜ開業しようと思われたのですか?

会社員の方を助けたいという想いがありました。勤務医時代に大腸がんなどの患者さんを多く担当しましたが、中でも進行した状態で来られるのは会社員の方々でした。お話を聞くと、半年ほど前から痛みは感じていたのに平日は仕事が休めず、そのために来院が遅れてしまったとおっしゃる方がほとんどでした。進行がんに対して、医師は無力です。早く発見できていれば助けられたかもしれないと思うと、残念で悔しくてなりませんでした。なので、開業するなら「土日も診療する」「病院レベルの医療設備を導入する」と決めていました。地域にいながら、いつでも専門的な検査が受けられるクリニックをめざしたのです。
それで、CTなどの設備がそろっているのですね。
CT検査は、病気を発見するのには不可欠だと考えています。例えば、おなかが痛い人に聴診器で診察するか、CTで画像診断するのか。後者のほうが精密な診断ができると思うんですよね。クリニックでCT検査ができれば、最短で病気を発見し治療につなげることができると考えています。当院では、年間を通して数多くのCT検査を行い、ほかにも大腸カメラ、胃カメラ、超音波診断用の装置も備えています。土日も検査ができますので、平日の来院が困難な方にはぜひ利用していただきたいと思っています。
100人の患者がいたら100通りの対応ができる
どのような患者さんが多く来られていますか?

若い人から年配の方まで患者さんの年齢層は幅広いですね。風邪や予防接種、腹痛、喉の痛み、胃潰瘍、胃炎、食道炎、がん、高血圧症、糖尿病など、症状も多岐にわたります。消化器関連の検査は大腸カメラや胃カメラを使って詳しく診ることができますし、呼吸器疾患については呼吸器内科専門の医師に水曜日の午前中に来てもらっています。また、アトピー性皮膚炎など皮膚疾患のお悩みも結構多いんですよ。わざわざ大きな病院まで行かなくてもここで専門的な診療ができるよう、関西労災病院皮膚科で副部長を務めた医師にも、週3日皮膚科の診療をお願いしています。かかりつけ医として患者さんのあらゆる悩みに対応すること、そしてより高度な治療が必要と判断した場合には、速やかに適切な病院を紹介することを大切にしています。
診察時に心がけていることは何ですか?
患者さんの表情の変化や些細な動作を見逃さないことです。例えば、診療中に「薬を処方しておきますね」と伝えると、患者さんの顔が一瞬曇ることがあるんですよ。そんな時「薬は必要ないですか?」と聞いてみると、「実は家にまだ薬がある」「薬はできれば飲みたくない」といった答えが返ってきます。飲みたくないとおっしゃる患者さんには、薬のメリットとデメリットを説明して、ご自身で判断していただけるようにしています。患者さんの話をよく聞いて意図をくみ取り、できるだけ希望に沿いたいと思っています。
本当に患者さんのことを尊重されているのですね。

私は、患者さんとは対等な関係でありたいと思っています。「お医者さま」「お客さま」といったようにどちらかが上ではなく、ともに病気と闘うパートナーです。特に、高血圧や糖尿病の場合は長い目で病気をコントロールしていかなければなりません。合併症を起こさないようにするために、私ができることは患者さんに病気を理解してもらい、「治療をしたい」と思ってもらうことです。そのための説明は何度もします。どのような病気でなぜこの薬を飲んでいるのか、患者さんが自分で説明できるまで理解していただけたらうれしいですね。また、がん患者さんの場合は、再発のことを考えると怖くてたまらないという人もいれば、明るく構える人もいます。患者さんが100人いたら100通りの接し方がある。一人ひとり、その人に合った方法で診るということが大切だと思っています。
「検査を受けやすい」は健康維持への第一歩
クリニックの強みは何でしょうか?

先ほど少しふれましたが、やはりCT、内視鏡、超音波検査をここで受けていただけるのは当院の強みですね。設備がないと他の病院へ検査に行ってもらわなくてはならないですし、大きな病院となると改めて予約を取って、検査当日は1日がかりということもあるので、どうしてもハードルが上がってしまいます。それをかかりつけ医で完結できればハードルはグッと下がりますよね。当院では土日の検査対応に加え、女性の診療放射線技師も常駐するなど、老若男女問わず検査を受けやすい体制を整えています。検査を受けやすいというのは大事なことで、検査数が多ければ病気を見つけられる数も多くなります。診察が混雑する冬場などを除けば必要に応じて迅速に検査できますし、検査結果についても、読影専門の医師に診てもらうCTに関しては1週間程度、それ以外の検査ならすぐにお伝えすることができます。
今後の展望をお聞かせください。
患者さんがご家族や知り合いを紹介してくださり、現在たくさんの患者さんにお越しいただいています。予約優先で会計も自動精算機を導入していますので、普段はそんなにお待たせすることはないかと思います。ただ、感染症の流行期は飛び込みの患者さんも多く、待ち時間が長くなってしまうので心苦しいです。受付で待ち時間の目安をお伝えする他、診察時間が近づいたら電話でお知らせもできますので、一旦自宅へ戻られたり、買い物へ行かれたりと時間を有効にお使いいただければと思います。今後については、当院と志をともにできる医師を探して診療枠を増やすなど、医療の質は維持しつつ待ち時間を減らし、かつ患者さんとの時間をもっと充実できればと考えています。ポイントを押さえてスムーズに対応することも必要ですが、雑談の最中に「あれっ」と思ったのがきっかけで病気を発見できることもあるので、診察時に雑談できる時間はできるだけ取りたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

体のことで気になることがありましたら、ぜひ気軽に相談に来てください。CTや大腸カメラ、胃カメラ、超音波診断装置などをそろえていますので、すぐに体のチェックをできるのが当院の強みですし、検査のハードルを下げることが、健康維持への第一歩です。そして病気が見つかれば、どんな治療や薬が必要なのかをきちんとお伝えします。患者さん自身が納得して取り組める治療方法を選べるよう、しっかりサポートいたします。尼崎の地域の皆さんのお役に少しでも立てれば、とてもうれしく思います。