水野 寿一 副院長の独自取材記事
みずの内科クリニック
(所沢市/新所沢駅)
最終更新日:2025/07/11

所沢市中新井の住宅街にある「みずの内科クリニック」は、2000年に開業して以来、地域に根差した医療で人々の健康を支えてきた。内科全般に加え、消化器や循環器を専門とする医師による診療も行っている。また、医療と福祉や介護をつなぎ、訪問診療にも力を注ぐ。副院長の水野寿一先生は消化器疾患と内視鏡検査を専門とし、医学部卒業後、総合病院で内科全般の幅広い診療経験を積み重ねてきた。クリニックでは病気の早期発見・治療をめざして内視鏡検査を積極的に行っている。「患者さんの特性に応じた配慮や工夫で、できるだけ痛みを取り除いた検査を心がけています」と語る水野副院長に、クリニックでの取り組みや診療において大切にしていることを聞いた。
(取材日2025年6月19日)
内科全般に消化器や循環器を専門とする医師の診療も
医師をめざしたきっかけと、これまでのご経歴を教えてください。

私が医師をめざしたのは、当院の院長でもある父の影響が少なからずあったと思います。開業前、父は所沢市民医療センターに勤務しており、当時は同センターの敷地内に社宅があったんです。私は幼稚園から小学校4年生までそこで暮らしていて、病院が遊び場で(笑)、医療はとても身近なものでした。また、私自身が幼少期からさまざまな病気で通院や入院を経験していたため、患者目線で「こんな医師なら信頼できる」と考えていたことも、医師をめざす一つのきっかけだったと思います。消化器内科を専門としましたが、医学部卒業後に入職した総合病院では、上司の方針で消化器だけでなく内科の幅広い疾患を診る機会に恵まれ、今でいう総合診療部門のようなところで多くの経験を積ませていただきました。
クリニックではどのような診療を行っているのですか?
当院は、風邪などの感染症や、高血圧症、糖尿病といった生活習慣病など内科全般の診療の他、消化器や循環器を専門とする医師による診療や検査も積極的に行っています。私は、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医として、消化器疾患の診療に加え、病気の早期発見、早期治療のために、胃や大腸の内視鏡検査にも注力しています。また、前職で内科の疾患を幅広く診療していた経験を生かし、内科全般の診療や訪問診療にも対応しています。
診療において先生が大事にしていることを教えてください。

患者さんを家族の一員だと思って診たいと考えています。患者さんのお気持ちに共感し、これまでの研鑽で得た知識と経験を生かして患者さんの健康を支えていきたいですね。何か困ったことがあり、どこに相談すればいいかわからないというときは、消化器や循環器のことでなくてもまずは当院にご相談いただけたらうれしいです。来ていただければ相談に乗り、患者さんにとって最善と考えられるご提案をしたい。極論を言えば、当院に通っていただくことにこだわるつもりはなく、患者さんにとって最善と思えば他院も紹介しますし、医療的な治療だけが最善とは限らないとも考えています。例えば、90歳の進行がんの患者さんに手術を勧めることは医療的には正しいのかもしれませんが、その方の人生を考えたときはどうなのだろうか。そういうことも、一緒に考えさせていただきたいと思っています。
病気の早期発見・治療をめざし内視鏡検査にも注力
先生が力を入れている内視鏡検査について教えてください。

内視鏡検査は、胃や大腸のがんやポリープなどを見つけるために行う検査です。がんなどの病気の早期発見に役立ち、内視鏡で胃や大腸の内側を見ることで、例えばポリープが前がん病変に移行しやすい患者さんの体質などを把握し、生活指導をするなどがん予防につなげることも期待できます。さらに、小さな腫瘍であれば、そのまま内視鏡で切除できることもあり、患者さんにとって負担の少ない治療でがんの根治をめざすことも可能です。このように病気の早期発見や早期治療に有用な検査ですが、「取りあえず検査しましょう」と誰でも彼でも検査をすればいいとは考えていません。患者さんにとって少なからず負担のかかる検査でもありますので、本当に必要な方に行うことを大事に考えています。
どのような人に必要な検査なのでしょうか。
近年ではピロリ菌感染による胃がんは減少していますが、一方でスキルス胃がんなど、非常に進行が早く、若年がなりやすい、早期発見が重要ながんもあります。顔が白くなるような貧血症状や食欲不振、腹痛などの症状がある場合、胃炎の症状が1週間以上続く場合などは検査をお勧めします。一方、大腸がんは食生活の欧米化などにより今後も増えると予想されます。健康診断の便潜血検査で陽性になった方などが内視鏡検査の対象となりますが、大腸がんでも大腸の左側半分にできたがんは検便で見つかりやすいですが、右側半分にできたがんは検便で見つかりにくい傾向があります。早期発見には内視鏡検査が必要ですので、腹痛や血便の他、便秘がひどくなった、便秘と下痢を繰り返す、排便するときに腹痛を伴うなどの症状が見られた場合には、一度ご相談ください。
患者さんの不安や苦痛を軽減するためにしていることはありますか?

内視鏡検査に「痛そう」「苦しそう」というイメージを持たれる方も多いと思います。当院では、事前に飲む胃管洗浄液を、以前より少ない1~1.5リットルを2日間に分けて飲めば良いタイプの物を使用、軽く眠っている状態で検査が受けられるよう、鎮静剤を使用することも可能です。また、検査中に胃や大腸になるべく空気や水を入れないようにしたり、おなかに力が入らないよう緊張や力みを和らげたりと、痛みを抑えるための工夫もしています。何が起こるかわからない状態だと人は不安が強くなり、痛みに敏感になりやすくなるため、事前に検査や機器などについてしっかり説明させていただきます。患者さんの体型や年齢、性別などにより痛みの感じ方が異なることもあるため、これまでの多くの経験に基づき、事前の問診で患者さんの特性を十分に把握し、必要に応じて痛み止めを使用するなど、一人ひとりに応じた配慮を心がけています。
医療・福祉・介護の連携でトータルに健康を支えたい
その他、クリニックとして力を入れていることはありますか?

当院では、さまざまな事情により通院できない方に訪問診療を行っています。定期的な訪問は毎日、お昼休みの時間帯に院長と私が交代で行っている他、24時間体制で往診や看取りも行っています。大変ではありますが、患者さんのお宅に伺って、コーヒーをごちそうになったり、患者さんやご家族とお話したりするのはとても楽しい時間です。家族の一員になったような気持ちになれるところが訪問診療の魅力でしょうか。人々が健康に生活していくためには医療・看護・介護の3つがバランス良く提供されることが必要だというのが当院の理念でもあり、医療の提供だけでなく介護や福祉との連携にも力を入れています。ケアマネジャーや社会福祉士、訪問看護師などと協働し、患者さんとご家族の健康な生活をトータルにサポートできることをめざしています。
今後の展望をお聞かせください。
訪問診療の魅力を多くの医療者に知ってもらいたい。そのために、数年前から近くの大学病院の若手医師に訪問診療に参加してもらっていますが、今後はより多くの施設と連携し、訪問診療について「一緒に勉強しましょう」という輪を広げられたらと思っています。また、地域で「内視鏡同好会」「胃がん・大腸がん研究会」など、症例検討ができる場もつくりたいですね。困ったり悩んだりした症例を持ち寄って地域の先生方と意見を交わし、研鑽を積み、それを患者さんの診療に還元していきたいです。
読者へのメッセージをお願いします。

内視鏡検査に不安を抱く方もいらっしゃると思いますが、安心して検査を受けていただけるようしっかりご説明していますし、「早く検査をしたほうがいいか」「今すぐしなくても少し様子を見ていいか」ということも含めてお話できればと思いますので、まずはお気軽にご相談ください。当院は「病気だから来る所」より「健康相談しに来る所」でありたいと思っています。内科医は外科の医師のように手術をして病気を治すことはできませんので、病気にさせない、入院させないのが役目だと思っています。大変なことになる前に何とかできるよう、ご相談いただけたら何か一つでも「来て良かった」と思ってお帰りいただけるよう頑張りますので、どうぞ安心していらしてください。