三輪 由香 院長の独自取材記事
みわキッズベビークリニック
(岐阜市/名鉄岐阜駅)
最終更新日:2026/04/01
岐阜市の中心部より車で約20分。長良公園近くの医療モール内にある「三輪こどもクリニック」は、2025年6月より「みわキッズベビークリニック」として再始動した。「病気を忘れるくらい、楽しんで生活してほしいです」と笑顔を見せる三輪由香院長は、1999年の開業以来、その穏やかな口調と優しい雰囲気で、多くの患者から長く親しまれてきた。保護者の話を丁寧に聞き、専門知識とかけ合わせながら病気になった背景から診断までを考える、家族と力を合わせた診療スタイルが特徴だ。また、便秘や夜尿症では、生活面のケアにも力を入れている。「その子自身の免疫力を生かしながら、治る過程をサポートするのが私の役目です」。そんな三輪院長に、開業の経緯やクリニック名変更の理由、小児科医をめざしたきっかけ、診療時の工夫などを聞いた。
(取材日2023年2月15日/再取材日2026年3月4日)
患者に寄り添う診療をめざして
開業に至った経緯を教えてください。

開業前は大学の短期大学部で、保育士をめざす学生に小児保健や小児疾患の講義を担当していました。多分野の専門家と関わる環境は刺激的でしたが、医師として患者さんやご家族に寄り添いながら長く関わりたいという思いが強くなり、1999年に開業しました。長良は岐阜市育ちの私にとって気持ちの良い場所で、公園もあり子どもたちが過ごしやすい環境で、とても気に入っていました。そんな長良に医療モールができると知り、迷うことなくこの地での開業を決めました。開業日は「新たなスタート」という気持ちで長女の入学式の翌日に決め、目の前の一年一年を積み重ねてきた結果、気づけば25年以上がたちました。現在は「岐阜大学医学部附属病院」「岐阜市民病院」「岐阜県総合医療センター」「長良医療センター」などと連携しながら、地域医療の一端を担っています。近くに専門の先生方がいて、何かあれば相談できるのは本当にありがたいですね。
園医や校医のお仕事もされているそうですね。
子ども好きが高じて、診察時間の合間に園医・校医・乳児院の嘱託医を務めています。「休憩時間も仕事しているの?」と笑われてしまいそうですが、これらの仕事の魅力は元気な子どもたちに出会えること。私はもともと子どもが特別好きなタイプではなかったのですが、小児科医として多くの子どもたちと接するうちに「子どもってかわいいな」という気持ちがどんどん大きくなっていったんです。もちろん、病気で困っているお子さんの力になれることにやりがいを感じていますし、健診を通じて適切な医療機関へつなぐ大切な役割があります。そんな中、園医などのお仕事は元気な子どもたちとふれ合い、パワーをもらえる楽しみなお仕事の一つなんです。
クリニック名を変えた理由をお聞かせください。

開業から25年以上がたち、小さい頃から見てきた子が赤ちゃんを連れて来てくれるようになりました。成長した姿に会える喜びと同時に、赤ちゃんにももっと会いたいと思うようになったんです。そこで当院も「赤ちゃんも診察していますよ」と、わかりやすく伝えるために「ベビー」を入れた名前に変えました。赤ちゃんの受診は生後2ヵ月の予防接種からが多いですが、改称後は生後1ヵ月以内の赤ちゃんの受診も増えてきましたね。生後1ヵ月以内の発熱は注意すべき点が多いため、気軽に受診していただいて、必要な医療機関へつなぐことは大切な役割だと感じています。また、第一子のお母さんは夜泣きなど心配事も多いですから、相談していただくことでお母さんが安心できることもとても大切だと思っています。
患者の言葉に耳を傾け、改善に向けたヒントを探る
診察の際、心がけていることを教えてください。

患者さんやご家族の言葉には病気の背景や治療のヒントが隠れているので、どんな些細なことでも話していただくようにしています。例えば、家族に下痢症状がある場合、症状が順番に出ているのか一斉に出たのかで判断や経過の見方が変わります。そのため症状のあるお子さんだけでなく、きょうだいや保育園・幼稚園・学校の様子を聞くことも大切です。また、診察の最後には「○○が出たらお電話ください」など、今後起こり得る症状も具体的にお伝えして、ご家族と対処法を共有しています。いったん解熱してから再度発熱する病気もありますので、ご家庭でお子さんの様子を観察していただきながら、必要に応じて適切な対応ができるようサポートしています。
診療時に工夫していることはありますか?
私の診察は実況中継なんですよ。例えば、喉をのぞきながら「喉がぷつぷつしていますね」、胸の音を聞きながら「胸がぜいぜいしていますね」とお伝えします。最後にまとめて話すより、その都度伝えたほうが理解しやすいと思うからです。最後にただ「大丈夫ですよ」と言われるより、体の中で何が起こっているのかがわかったほうが、ご家族も安心できますよね。小さな赤ちゃんは受診のタイミングに悩まれる方が多いですが、「飲みが悪い」「ぐったりしている」「寝てばかりいる」など、いつもと様子が違うと感じたら連れてきてください。問題ないこともありますが、月齢の若い赤ちゃんほど重症化しやすいため、早めの診察を大切にしてください。
スタッフさんについて教えてください。

スタッフにはとても恵まれています。こまやかな声かけを通じて患者さんの不安を取り除いたり、注射の際はしっかり押さえたりしてくれています。急を要する症状の患者さんが来られた場合には、受付や看護師が臨機応変に順番を調整し、早く診察につなげてくれます。小児科では安全性への配慮が特に重要なので、信頼できるスタッフの存在は本当に大きいですね。整理整頓も得意で診察室や資料がいつも整っているため、気持ち良く診療に向き合えています。私が患者さんに集中できるのは、スタッフの支えがあってこそだといつも感謝しています。
回復の過程をサポートするのが、クリニックの役目
最近増えている相談事はありますか?

便秘や夜尿症ですね。排泄の問題は親子ともに苦しみますし、悩むことで症状が長引いてしまうこともあります。命に関わらないとはいえ、患者さんやご家族は本当に困っています。便秘になりやすいのは、トイレトレーニングの時期や入園直後が多いですね。というのも、便はリラックスしないと出ないのですが、子どもは遊びたい気持ちからゆっくりしていられないからです。薬を使いたくないという親御さんもいらっしゃいますが、症状の改善を図るためには必要だと考えています。そこで、長く続けても癖にならないような薬を選び、特徴についてもきちんと説明します。上手に薬を使って楽しい生活を送れるようになってほしいですね。本当は朝ごはんの後に、すっきりと出してから登園するのがベスト。そのためにも早起きして、朝ごはんをゆっくりとたくさん食べましょう。
ところで、なぜ小児科の医師をめざしたのですか?
両親が医師だったこともあり、自然と医師の道を選びました。当時は医学部卒業年度に進む科を決める必要があり、小児科病棟へ見学に行きました。そこで、重篤な疾患がある赤ちゃんを連れたお母さんを見かけたんです。これからつらい治療が続く状況でした。それなのに、明るい光の入る通路で、子どもを抱いてあやすお母さんはとても幸せそうで、2人のほほ笑み合う姿から目が離せなくなったんです。この、どんなつらい状態でも周りを笑顔にしてしまう赤ちゃんを見て「自分も関われたらどんなに幸せだろう」と強く思ったのが、小児科医をめざしたきっかけです。子どもは存在自体が希望です。小児科医として、子どものすぐそばで仕事ができることに、今でも大きな幸せを感じています。
読者へメッセージをお願いします。

私が25年以上小児科医を続けてこられたのは、ご来院いただいた親御さんや子どもたちのおかげです。今でも親御さんから学ぶことが多く、本当にありがたいと感じています。ですから、どんなときでも楽しく生活できるように、困っていることがあれば教えてください。便秘や夜尿症は、お子さん自身のせいではありません。対処が遅れると心の負担につながることもありますから、気になったら早めにご相談ください。見通しが立つだけでも安心して生活できると思います。子どもには本来、回復する力があります。その力を大切にしながら、つらい症状を和らげ、安心して生活できるよう支えていく。それが私の役目だと思っています。

