井口 直己 院長の独自取材記事
井口眼科
(吹田市/北千里駅)
最終更新日:2026/07/15
北千里駅前のディオス北千里8番街1階にある「井口(いのくち)眼科」。院長の井口直己先生は、医学部卒業後、内科の医師として大学の付属病院で糖尿病研究に携わった経験を持つ。眼科医師だった父の遺志を継ぎ眼科へ転身し、内科で培った知識も生かしながら診療を続けている。同院では、緑内障や糖尿病網膜症などの早期発見・治療に加え、小児の弱視や斜視、近年注目されている小児近視の進行抑制にも力を入れている。地域の患者が必要な医療につながれるよう、患者一人ひとりに寄り添った診療を行う井口院長に話を聞いた。
(取材日2026年06月16日)
内科経験も生かしながら、全身を診る眼科医療を実践
開業のきっかけを教えてください。

医師をめざしたきっかけは、眼科の開業医だった父の存在が大きかったですね。ただ、大学卒業後すぐは内科の医師として糖尿病研究に携わっていました。父の遺志を継ぐかたちで眼科医になりましたが、医療の本質は変わらないと感じています。眼科は目だけを診る診療科と思われがちですが、目は体の一部です。糖尿病や高血圧など全身状態が目の病気に大きく影響することもありますので、診察時には目だけではなく全身の状態も丁寧に伺っています。内科で積み重ねた経験は、今の眼科診療にも非常に役立っています。
この地域に開業された理由は何だったのでしょうか。
父が開業していた所は、昔は市場があってにぎわいのある場所でした。ですが、時代が変わって人通りも少なくなり、ここで診療を続けていても患者さんの役に立つ機会は少ないのではないかと考え、新しい場所で開業することを念頭にさまざまな場所を見て回りました。その中で、吹田市のこの場所を視察に来た時、直感的に自分に合っていると感じたのです。それは、この地域には高齢の方や親子連れなど幅広い世代の方が共存しているエリアであり、駅の近くということもあり人が集まる場所であったためです。この場所なら、多くの患者さんに対して医師として役立つ診療を提供することができるのではないかと思いました。
眼科診療で大切にされていることはありますか?

患者さんにわかりやすく説明することですね。例えば病歴を確認するときも、専門用語だけで質問すると患者さん自身が気づいていないケースもあります。ですから、「息切れしませんか」「ゼイゼイすることはありませんか」など、患者さんが答えやすい言葉に置き換えて聞くようにしています。また、この地域は医療連携もしやすく、必要な場合には患者さんの性格や生活背景も考慮しながら、適切な医療機関をご紹介しています。病気だけを診るのではなく、その方自身を見ることを大切にしています。
小児近視や緑内障など、早期発見・早期治療に注力
近年力を入れている診療について教えてください。

最近では小児の近視進行抑制治療に力を入れています。近視は単に視力が悪くなることではなく、眼球が後方へ伸びて変形していく状態です。近視が強くなると、将来的に網膜剥離や緑内障などの病気のリスクも高くなるんです。特に8~17歳頃は身長とともに眼球も成長しやすい時期なので、その時期に進行を抑えてあげることがとても大切です。一度伸びてしまった眼球を元に戻すことは難しいため、近視になった早い段階から介入することが重要だと考えています。学校健診などで視力低下を指摘された場合には、単純に「目が悪くなった」で終わらせず、近視の程度や状態を詳しく確認することが大切ですね。2026年6月から、近視進行抑制治療の診察・検査が保険適用となっており、患者さんの負担も軽減されました。治療方法はいくつかありますが、当院では比較的取り組みやすい点眼治療から提案しています。
お子さんの診療も多いそうですね。
学校健診をきっかけに来院されるお子さんは多いですね。近視だけでなく、ものもらいや結膜炎、逆まつげなど幅広く診ています。学校健診で視力低下を指摘された場合は、単純な視力測定だけではなく、眼底検査なども行い、本当に近視なのか、どの程度進んでいるのかを確認します。必要であれば眼鏡の処方や近視進行抑制治療も提案しています。また、弱視や斜視も早期発見が非常に重要です。視力は3~7歳頃までにほぼ決まりますので、3歳児健診で指摘があった場合は必ず眼科を受診していただきたいですね。弱視は近視とは異なり、生まれつきピントが合いにくい状態などが原因で、視力そのものではなく視覚を認識する機能の発達に影響することがあります。治療を始める時期が重要ですので、様子見にせず早めに相談していただきたいと思います。
成人の方で注意してほしい病気はありますか?

緑内障ですね。非常に怖い病気ですが、初期にはほとんど自覚症状がないんですよ。視野が欠けていても気づかない方が多く、来院時にはかなり進行しているケースも少なくありません。一度障害を受けた視神経は元には戻せませんので、早期発見が非常に重要です。コンタクトレンズを処方する際の検査だけでは、眼底や視野を詳しく調べられないこともあります。当院では必要に応じて精密検査を行い、緑内障や糖尿病網膜症などの発見につなげています。40歳を過ぎたら、一度詳しい眼科検査を受けることをお勧めしたいですね。
正しい情報を届け、地域医療に貢献し続けたい
検査体制について教えてください。

検査機器は、一般的な眼科クリニックに比べると、豊富にそろえていると思います。近赤外光を用いて非侵襲的に網膜から脈絡膜まで検査できるOCT(光干渉断層撮影)については各層の血管画像を得られる先進の物を導入しています。また、波面収差解析装置では視力検査ではわからない実際の見え方の質までも評価することができ、白内障の手術適応などに役立っています。このほか、ピント合わせをするときに毛様体筋が緊張していないか検査する機器もあり、この検査をせずに眼鏡の処方をすると緊張改善時に度が強すぎてしまう場合があります。こうした先進の機器を駆使して、丁寧に検査することで、患者さんに無理や無駄のない治療を提供することをめざしています。
今後の展望を教えてください。
今後はAIの活用にも期待しています。最近は患者さん自身がインターネットなどで病気を調べて来院されることも増えていますが、情報が正しいとは限りません。AIを上手に活用できれば、患者さん自身が病気を理解し、主体的に治療へ向き合う手助けになる可能性があります。また、将来的にはオンライン診療なども広がっていくかもしれません。もちろん現時点では人が担う部分は大きいですが、新しい技術も取り入れながら、地域医療に役立てていきたいと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

できれば症状がなくても、一度は詳しい眼科検査を受けていただきたいですね。眼底検査などを行うと、非常に多くの情報がわかります。特に網膜剥離や緑内障、弱視などは早ければ早いほど治療の選択肢が増えます。網膜剥離は急速に進行することもあり、治療が遅れると視力に大きな影響を及ぼす場合があります。また、コンタクトレンズの処方時の検査だけでは、眼底や視野などを詳しく調べられない場合もありますし、結膜炎などで来院された際には症状への対応が中心となり、十分な精密検査が難しいこともあります。「何となく違和感がある」と感じたタイミングで、一度しっかり調べていただきたいですね。自覚症状がほとんどない病気が、検査で偶然見つかることもあります。「こんなことで受診していいのかな」と思わず、気軽に相談していただければと思います。地域の皆さんが安心して相談できる場所として、これからもお役に立てればうれしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは点眼薬による小児の近視抑制治療 点眼薬4300円~/月

