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中村 豊 院長の独自取材記事

ゆたかこどもクリニック

(神戸市西区/西神中央駅)

最終更新日:2020/04/01

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神戸のベッドタウンである西神ニュータウンにある「ゆたかこどもクリニック」。優しい語り口調で安心感を与えてくれるのは、中村豊院長。子どもの時に描いたという、自身のイニシャルをクレヨンで書いたかわいらしいロゴマークからも、その人柄がにじみ出る。灘高校から自治医科大学医学部に進み、卒業後は兵庫県内のへき地医療にも従事。その後、兵庫県立淡路病院小児科部長も務め、2005年、「より患者さんと近い場所で診察がしたい」と開業した。一般小児科のほか、小児アレルギー治療、また専門とする子どもの心の問題、発達障害、ダウン症などにも積極的に取り組む。「親御さんの不安を取り除くことも仕事。なんでも気軽に相談に来てほしい」と話す院長に、小児医療に対する思いを聞いた。
(取材日2019年10月2日)

心の問題には、一人ひとりオーダーメイドの治療で

先生は開業前にどのような経験を積んでこられたのでしょうか。

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私は大阪の田舎の出身なのですが、高校が神戸の灘高等学校、その後、自治医科大学医学部に進学しました。自治医科大学は、卒業後9年間のへき地勤務の義務があります。私は兵庫県の温泉町(現・新温泉町)の照来診療所や兵庫県立柏原病院(現・兵庫県立丹波医療センター)などで勤めさせていただきました。当時は子どもだけに限らず、お年寄りから赤ちゃんまで診て、幅広い経験を積むことができました。私は学生時代から小児科をめざしていたので、先輩医師からいろいろよくしていただき、公立浜坂病院勤務時に小児科に勤務することができました。浜坂から鳥取の大きな病院が近かったので、勉強に行く機会も多く、そこで小児神経科などについても学びました。へき地勤務を終えた後は兵庫県立淡路病院(現・兵庫県立淡路医療センター)の小児科に14年間勤め、その後、独立開業しました。

兵庫県立淡路病院では、お子さんの心身症などにも取り組んでこられたと伺いました。

神経疾患に特化した外来で、てんかんなどの神経疾患の症状を専門に診てきました。運動発達障害、摂食障害の患者さんも多かったです。あとは不登校の患者さんも診ていました。不登校に伴って身体疾患、頭痛や腹痛といった不定愁訴などを抱える子どもたちが対象で、時々入院して治療を行うこともありました。院内学級に通うことで子どもには自信をつけてもらい、改善が見られたら病院から学校に通ってもらうという取り組みも行いました。そういうことを専門にしておりましたので、開業してからも引き続き心身症などのお子さんを診ていきたいなという気持ちがあったんです。私が開業したのが14年前、その頃はちょうど発達障害、ADHDといった症状の認知が高まってきた時期でもありました。そういった症状はクリニックで診ることができることも多いので、さまざまな相談を受けつけています。

具体的にはどのような治療が行われているのでしょうか。

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発達障害などの症状は、本当にお子さんそれぞれで、ひとくくりでは考えられません。だからこそ、一人ひとりオーダーメイドで、その子に合った方法で取り組まないとうまくいかないのです。もちろんガイドラインはありますが、すべてがその通りにいくとは限らないという実感が私にはあります。それもあって、一人ひとりの患者さんとゆっくり話す時間を持ちたいと考えているので、当院では一般診療以外の時間に面接の機会を設けています。また、ご本人と親御さんまとめて話を聞くとよくないこともあるので、この日は親御さんだけ、この日はお子さんだけと、別々に来てもらうことも多いです。臨床心理士の方にお願いして心理カウンセリングを行ってもらうこともあります。

未来ある子どもが元気になることの価値は計り知れない

先生が小児医療の道を志したのはなぜですか?

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医学部時代にはすでに小児科に進むと決めていました。子どもには未来があって、その子の病気を治してあげるということは、その後ずっと社会に貢献していく人材を育てるということにもなるじゃないですか。子どもが元気になってくれることにはとても大きな価値があると思ったんです。その一方で、子どもの病気は重篤化してしまうこともしばしば。そうなると本人だけでなく、ご家族や周りの人の心配も計り知れません。そういったことを未然に防ぐために取り組んだり、深刻な病気を治療したりしてあげられることはやりがいがあると思っています。

先生の治療におけるモットーを教えてください。

最新の知識や治療を取り入れたいと常々考えています。例えば当院でも取り組んでいるアレルギー治療ですが、昔とは随分見解が違ってきている部分があります。アレルゲンは完全除去するのが正しいとされていた時代もありましたが、今はむしろ早くから食べ始めたほうがアレルギーが出ないかもしれないという考えに変わってきました。二重アレルゲン曝露といって、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリアが壊れたところからアレルゲンが入り、重篤な食物アレルギーを引き起こす可能性に焦点を当てた研究が進んできました。ステロイドは怖いというイメージも昔はありましたが、今はむしろ上手に使って症状をコントロールしていくことがアレルギー対策には重要だと考えられています。私はいつも生後半年までが大事だと言っているんですが、生後半年くらいまでしっかり肌コントロールしておけば、そこから離乳食が始まっても問題は起こりにくいと考えられるのです。

新しい治療法を身近なクリニックでも受けられるのは、地域の患者さんにとってもうれしいことだと思います。

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今はクリニックでも専門化が進んでいるので、私がどこまで専門といえるかわかりませんが、確かにアレルギー疾患のある子どもは増えていると思います。アレルギーに関する研究は日進月歩ですので、そういった情報をいち早く取り入れていければと思っています。例えば卵は生後半年から食べていこうという見解も出てきましたが、今は半年よりもっと早く摂取してはだめなのかといった研究も行われています。早期摂取の結果や、離乳食をどうするかということなどは今一番関心を持っている分野でもあります。

子どもの病気にとって重要な鍵は“身近な人の看護”

患者さんとの向き合い方で気をつけていることはありますか?

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大きな病気を見落とさないためには、子どもを一番近くで見ている親御さんの言葉が一番大事です。私は身近で看護をしている人の言葉を信じるようにしているんです。まずはそういった信用からスタートすることが重要。そして、まだ話ができない子どもの場合、どんな表情を浮かべているのか、つたない言葉の中にもヒントが隠されていたりすることがあるので、そういうのを見逃さないようにしています。たとえ見た目ではわからなくても重篤疾患が潜んでいる可能性もあります。科学的ではないかもしれませんが、診察には第六感みたいなものを働かせることも重要かと思います。

先生は、親御さんにとって心強い存在だと思います。

私たち医師はこの症状が重篤であるかどうかの判断をし、薬を出すことはできますが、結局日常的な看護は親御さんにお任せするしかありません。3日間くらい様子を見れば大抵の風邪などは回復に向かいますが、それは病院で薬をもらったからなのではなく、親御さんがこまめに熱を冷ましてくれたり、食べやすいものを作ってくれたり、優しくしてくれたからだという側面が本当は大きいんです。そういう安心感を与えてあげることが子どもにとって大事なんだよ、ということを親御さんに伝えたいと私は常々思っています。だからこそ私の診察では「この病気はこういう過程を経て治っていくから、こう手当てしてあげてね」といった親御さんへのアドバイスを特に重要視しています。

最後に、今後の展望や読者へのメッセージをお聞かせください。

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今行っている診療をずっと続けていきたいなというのがまず一つ、また、兵庫県立淡路病院に勤務していた時からダウン症児の親の会にも関わっていますので、ダウン症の赤ちゃんに行う体操などを広める取り組みも、引き続き行っていきたいです。あとは院内ばかりではなく、今後はもっと外に出て行けるような活動もしていきたい。いずれにしても、子どもと関わる親御さんが、気軽に相談に来ていただける存在であり続けたいですね。親御さん一人で考えても答えが出ないことも多いと思うので、少しでも不安を取り除くため、一度話をしに来ていただけたらなと思います。

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