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中村 豊 院長の独自取材記事

ゆたかこどもクリニック

(神戸市西区/西神中央駅)

最終更新日:2025/08/05

中村豊院長 ゆたかこどもクリニック main

神戸のベッドタウンである西神ニュータウンにある「ゆたかこどもクリニック」。院長を務める中村豊先生は、優しい語り口で安心感を与えてくれる。中村院長自身が子どもの時に描いたという、クレヨンで描かれたイニシャルがかわいらしいロゴマークからも、その人柄がにじみ出る。灘高校から自治医科大学医学部に進み、卒業後は兵庫県内のへき地医療にも従事。その後、兵庫県立淡路医療センターの小児科部長も務め、2005年、「より患者さんと近い場所で診察がしたい」と開業した。一般小児科のほか、小児アレルギー治療、子どもの心の問題、発達障害、ダウン症などの診療にも積極的に取り組む。「親御さんの不安を取り除くことも仕事。なんでも気軽に相談に来てほしい」と話す中村院長に、小児医療に対する思いを聞いた。

(取材日2025年7月17日)

未来ある子どもが元気になることの価値は計り知れない

先生は開業前にどのような経験を積んでこられたのでしょうか。

中村豊院長 ゆたかこどもクリニック1

私は大阪の田舎の出身なのですが、高校が神戸の灘高等学校、その後、自治医科大学医学部に進学しました。自治医科大学は、卒業後9年間のへき地勤務の義務があります。私は兵庫県の新温泉町(旧・温泉町)の照来診療所や兵庫県立丹波医療センターなどで勤めさせていただきました。当時は子どもだけに限らず、お年寄りから赤ちゃんまで診て、幅広い経験を積むことができました。私は学生時代から小児科をめざしていたので、先輩医師からいろいろ良くしていただき、公立浜坂病院勤務時に小児科に勤務することができました。浜坂から鳥取の大きな病院が近かったので、勉強に行く機会も多く、そこで小児神経科などについても学びました。へき地勤務を終えた後は兵庫県立淡路医療センターの小児科に14年間勤め、その後、独立開業しました。

先生が小児医療の道を志したのはなぜですか?

医学部時代にはすでに小児科に進むと決めていました。子どもには未来があって、その子の病気を治してあげるということは、その後ずっと社会に貢献していく人材を育てるということにもなるじゃないですか。子どもが元気になってくれることにはとても大きな価値があると思ったんです。その一方で、子どもの病気は重篤化してしまうこともしばしば。そうなると本人だけでなく、ご家族や周りの人の心配も計り知れません。そういったことを未然に防ぐために取り組んだり、深刻な病気の治療をめざすことはやりがいがあると思っています。

兵庫県立淡路医療センターでは、お子さんの心身症などにも取り組んでこられたと伺いました。

中村豊院長 ゆたかこどもクリニック2

神経疾患に特化した外来で、てんかんなどの神経疾患の症状を専門に診てきました。運動発達障害、摂食障害の患者さんも多かったです。あとは不登校の患者さんも診ていました。不登校に伴って身体疾患、頭痛や腹痛といった不定愁訴などを抱える子どもたちが対象で、時々入院して治療を行うこともありました。院内学級に通うことで子どもには自信をつけてもらい、改善が見られたら病院から学校に通ってもらうという取り組みも行いました。そういうことを専門にしておりましたので、開業してからも引き続き心身症などのお子さんを診ていきたいなという気持ちがあったんです。私が開業したのが20年前で、その頃はちょうど発達障害、ADHDといった症状の認知が高まってきた時期でもありました。そういった症状はクリニックで診ることができることも多いので、さまざまな相談を受けつけています。

心の問題には、一人ひとりオーダーメイドの治療で

今、発達に関する相談は増えているとお聞きしています。

中村豊院長 ゆたかこどもクリニック3

はい、当院に相談に来られる患者さんは増えています。当院のみならず全国的にも増えていますが、なぜ増えているのかという話題は、今いろんなところで取り上げられていますよね。発達障害に対する認知度が高まっていることもあり、これまではあまり気にされてなかったことが気になるようになったこともあると思います。対象者をあえて掘り起こしてしまっているのかもしれません。これは難しいところだと思います。当院に相談される患者さんは、言葉の遅れなどをもともと親御さんが気にされていたり、保育園や幼稚園で指摘されたりして、「気になるから見てほしい」と来られるケースが多いですね。

具体的にはどのような診療が行われているのでしょうか?

他の専門施設の場合、初診予約がすごく先になってしまうケースが多いようですが、当院では初診は一般外来と同じ時間で診療可能です。ただ、発達に関する相談は5分や10分で親御さんの話を聞くことが難しいんです。ですからまずはどういうことが問題になってるのか、気になってるのかをお聞きして、当院で1回発達検査をしたほうがいいというケース、専門機関につないだ方がいいというケースとトリアージをします。そこで当院で検査をすることになった場合は、週2~3日実施している発達検査を受けていただき、その後心理カウンセリングを行っていく流れです。ただ発達障害の症状は本当にお子さんそれぞれで、ひとくくりでは考えられません。だからこそ一人ひとりオーダーメイドで、その子に合った方法で取り組んでいます。

言語聴覚士さんによる言語相談も始められたとお聞きしました。

中村豊院長 ゆたかこどもクリニック4

例えば吃音であるとか、「さしすせそ」がうまく言えないといった、マイナーな言葉の心配を抱えているお子さんは結構多いです。保育園の健診に行っても、そういう相談も受けることが多いですね。特に、小学校に入学する前になると、「このままだと学校で困ってしまうのではないか?」と心配される親御さんも。今まで言葉に関する相談は、病院を紹介していたのですが、病院は吃音だけ、発音だけといった問題ではハードルがちょっと高いようで、それだったら当院でやろうかと言語聴覚士さんに入ってもらい言語相談を行うことになりました。自閉傾向で言葉が出ない、コミュニケーションが十分取れないというお子さんについては、すでに他の施設に通院されていることも多いので、兼ね合いを見ながら行っています。

見通しを伝えて、患者や保護者の安心につなげる

オンラインの栄養相談も行っているそうですね。

中村豊院長 ゆたかこどもクリニック5

当院でも取り組んでいるアレルギー治療・アレルゲン相談もありますが、最近は、例えば離乳食を食べてくれない、偏食で困っている、肥満といった相談が増えてきました。現在、栄養相談は薬局の管理栄養士さんにお願いしててやってもらっているのですが、新型コロナウイルスが流行してからオンラインでの相談を開始しました。赤ちゃんを連れての来院もなかなか大変ですからね。クリニックでは月曜日に相談日を設けていますが、そういう時間以外のところでも、オンラインだとお互いの時間を合わせることができるのがメリットです。またダウン症の赤ちゃんに行う体操、理学療法士さんの運動発達相談など、専門職の皆さんと力を合わせて診療を行っています。

患者さんとの向き合い方で気をつけていることはありますか?

わかりやすい言葉を使い、専門用語をなるべく使わないようにして、説明に時間をかけることです。そしてもう一つ気をつけているのは見通しを伝えること。例えばアデノウイルス感染症と診断した場合、「あと4日ぐらいで下がります」とお伝えすることで、今熱が高くても、4日で下がることがわかれば、安心につながりますから。だからこそ私の診察では「この病気はこういう過程を経るから、こう手当てしてあげてね」といった見通しと親御さんへのアドバイスを特に重要視しています。結局、クリニックに心配や不安があって来られるんですから、心配や不安を抱いたまま帰るのであれば意味がないので、親御さんに安心して帰ってもらえることが大事なのではないでしょうか。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

中村豊院長 ゆたかこどもクリニック6

親御さんのお子さんを大事に思う気持ちを支えていくべく、今行っている診療をずっと続けていきたいというのがまず一つ。そして今後は、病気になったら診るだけではなく、ウェルベビークリニックとして子どもの発達や成長を見ていけたらと思っています。今度5歳児健診が始まりますがそういうものだけではなく、予防接種や身長、体重など節目節目でチェックして、「大丈夫だね」「元気だね」と見守っていくことが理想です。いずれにしても、子どもと関わる親御さんが、気軽に相談に来ていただける存在であり続けたいですね。

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