水虫は放置しているとどうなる?
完治をめざすなら皮膚科に相談を
桜川よしえクリニック
(大阪市浪速区/桜川駅)
最終更新日:2025/06/04


- 保険診療
日本人の5人に1人が悩まされているという水虫。身近な病気であり、初期段階では痛みやかゆみなどの自覚症状がほとんどないことから、放置されることも少なくない。だが、そのまま放置しておくと、他の部位に症状が広がるだけでなく、家族など周囲の人に感染させるリスクも高まるため注意が必要だ。また、「水虫は治りにくい」「治ってもすぐ再発する」といったイメージを持たれがちだが、適切な治療を行えば完治をめざせる病気でもある。そこで、水虫になる原因や意外な水虫の症状、皮膚科で治療を受けるメリットなどについて、「桜川よしえクリニック」の金子良恵院長に話を聞いた。
(取材日2025年3月25日)
目次
放置すると症状が悪化し、周囲の人にうつすリスクも。皮膚科で適切な治療を続けることが完治へつながる
- Q水虫はどういった病気ですか?
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A
▲家庭内などで感染する可能性もあるため早めに医師へ相談しよう
水虫は白癬菌というカビの一種が皮膚の角質層に繁殖して起こる病気です。白癬菌は床やカーペットなど日常のあらゆる所に存在していますが、菌が付着しただけですぐに水虫になるわけではありません。皮膚に炎症や傷があったり、汗や湿気で蒸れているなど皮膚のバリア機能が低下していたり、免疫力が弱まっていたりする場合に発症しやすくなります。また、大人だけでなく、子どもや赤ちゃんも水虫になる可能性があります。水虫は家庭内で感染することが多く、バスマットやタオル、スリッパなど、裸足で触れることが多い物を共有すると、感染のリスクがありますので注意が必要です。
- Q水虫の種類や症状、特に注意する季節などはありますか?
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A
▲高温多湿の状態で菌が増殖しやすいため、対策が必要と話す院長
水虫には、指の間の皮膚が白くジュクジュクしたり、皮がむけたりする「趾間型」、土踏まずや足の付け根に小さい水ぶくれが多発する「小水疱型」、足裏の皮膚が硬く厚くなる「角質増殖型」があります。また、夏が近づくにつれて気温が高くなると、「急に足がかゆくなってきた」と相談に来られる患者さんが増え始めます。なぜ、そうなるのかといえば、白癬菌は高温多湿の環境を好み、特に温度25℃前後の時に活発に増殖することから。夏場は革靴やストッキングを履くと湿気がこもりやすく、白癬菌が増殖しやすくなるので、気をつけてください。
- Qかかとのガサガサも水虫の可能性があると聞きました。
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A
▲水虫は足だけではなく、手や爪、首など全身に発症することもある
かかとの荒れやひび割れに悩まれて「乾燥だと思って保湿しても治らない」と来院される方の中には、実は水虫だったというケースが多いのです。皮膚科では白癬菌の有無を顕微鏡検査でチェックでき、早ければ数分で判定が可能です。また、白癬菌の中には犬や猫など動物の毛を好む菌もいます。例えば、ペットを抱いた際に触れやすい首や腕などに赤い発疹が出ていたら、水虫の可能性もあると考えてください。その他、爪全体が白っぽく濁り、厚く変形する爪白癬(爪水虫)もあります。水虫=足に起こる病気、かゆみを伴う病気といった固定観念があると見逃してしまうこともあるので、気になる症状があれば気軽に皮膚科に相談してください。
- Q水虫を放置していると、どうなるのでしょうか?
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A
▲水虫を放置すると感染部位が広がり治療期間も長引いてしまう
水虫を放置すると感染部位が広がり、ひどくなると足の付け根のリンパ腺が腫れたり、発熱したりすることもあります。そこまで悪化しなくても、家族に感染を広げるリスクが高まるので、早めに治療することが大切です。中には市販薬で済まそうとする方もいますが、市販薬が合わずに患部がかぶれるなど、悪化することもあり得ます。一方で、皮膚科で処方する薬は成分がシンプルなので、かぶれが起こりにくいんですね。また、水虫だと思って市販薬を塗っていても一向に治らず、実は別の病気だったという場合もあるので、自己判断せず、まずは専門の医師の判断を仰いでください。
- Q貴院ではどういった治療を行っていますか?
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A
▲水虫と似た症状の皮膚疾患もあるため自己判断せず検査すると良い
まずは顕微鏡検査をして白癬菌の有無を確認し、陽性の場合は主にクリーム剤やローションなどの塗り薬を処方します。表面的には2週間程度で症状の改善は図れますが、生き残った菌が再び増殖することがあります。当院では診療の度に顕微鏡検査を行い、白癬菌が死滅したかどうかを確認し、最低でも1ヵ月は塗り薬を続けていただき、完治をめざします。水虫がなかなか治らないと思われる理由の一つが、目に見える症状がなくなると「治った」と思って治療を中止してしまうからなんです。皮膚科医の判断のもとで薬を使うことが完治へつながると考えて、正しい診断を受けることをお勧めします。