全国のドクター9,134人の想いを取材
クリニック・病院 161,254件の情報を掲載(2020年7月09日現在)

  1. TOP
  2. 大阪府
  3. 大阪市北区
  4. 扇町駅
  5. 扇町漢方クリニック
  6. 大沢 正秀 院長

大沢 正秀 院長の独自取材記事

扇町漢方クリニック

(大阪市北区/扇町駅)

最終更新日:2019/08/28

139861

JR環状線天満駅から徒歩8分、大阪市営堺筋線扇町駅・谷町線中崎町駅から徒歩5分、各線梅田駅からも徒歩圏にある「扇町漢方クリニック」。複数のクリニックが併設された扇町メディックスモールの4階にあるこのクリニックは、エントランスから入ると、ダークブラウンを基調とした優しさを感じるインテリアに囲まれた広い待合室が広がり、とてもリラックスした雰囲気で過ごすことができる。漢方薬の力を最大限に生かし、患者ごとにオーダーメイドの処方を行っているこの医院では、大沢正秀先生が院長を務め、名誉院長である李康彦先生とともに、「心身一如」という考えを大切に、診察にあたっている。大沢院長に、2006年にこの医院を開院するに至ったいきさつや、漢方での治療方針などについて話を聞いた。
(取材日2017年5月31日)

個々の事情や症状に応じて、オーダーメイドで処方を

どのような患者さんがよく来られますか。

1

女性の方、特に中高年以上の方がよく来られています。症状的には科を問わず、PMS(月経前症候群)・不妊症などの婦人科領域から、消化器関連、運動器疾患など広い範囲に渡りますし、特定の疾患ではなく、漠然となんとなく不調を感じているという方もいます。主に西洋医学的な治療で症状が改善されない方や変化が乏しい方など、納得いく結果が得られなかった方が大半です。

一般的な診察の流れを教えてください。

当院は完全予約制となっています。記入していただいた予診票に基づいて、面談(問診)を行います。専任のスタッフが、1~2時間かけて、仕事、生活内容、飲食、睡眠から、具体的な症状まで、細かく伺います。その後の診察では、全体的な元気の度合いなどを診る望診(ぼうしん)をします。また、症状によって脈診(みゃくしん)や舌診(ぜつしん)、背中など体に直接触れる切診(せっしん)なども行います。治療については、当院は基本的には、保険適用の範囲内で漢方を処方しています。漢方は本来、効きが早いことも多いのですが、慢性疾患だと長期的な治療になることもあり、疾患によって差があります。

治療や投薬についての期間はどれくらいでしょうか。

2

通院は、最初は薬の効き具合を把握したいので、3日~5日後に来てもらい、その後は2週間ごとの通院ペースが基本です。東洋医学では「二十四節気」という、1年を24の季節に分け、気候・気象条件によって移り変わりに対応していくという考え方があるんです。気候によっても状態や症状が変わります。その都度、どういう薬が適しているか、基本方剤を変えたり、生薬だけ微調整するなどして対応していきます。また、慢性疾患の方は特に、飲んでいるほうが安心ということで、服用されている方もいます。その場合は症状の変化を数週間のスパンで診ていきます。処方の際に細かく、どの生薬を足す、抜くといった調整を行っていきます。また、処方する漢方薬は、煎じ薬が大半ですが、匂いが苦手な方とか、旅行に行かれる際には漢方エキス剤も処方しています。効き方もそれぞれ違いますので、個々の事情や症状に応じて、オーダーメイドで処方しています。

漢方で別の症状まで改善する患者に驚き東洋医学の道へ

単に症状に合わせた漢方薬の投与だけではないんですね。

3

日常生活も含め、医学的な根拠も踏まえてアドバイスしていきます。物事の捉え方一つで治りにくい方もいます。「七情」喜・怒・悲・憂・恐・驚・思の感情の変化も影響します。「心の持ちよう」ですね。症状で悩み、治療を進め、病気をきっかけに、自分の考え方、こういう気持ちの持ちようではだめだったんだと、ご自身で良い方向に気づきを得られた患者さんもいます。しっかりと診て漢方を処方することはもちろん、患者さんの生活スタイルを伺い、改善点をお伝えしていく。日々の生活は改善することが難しいことも多々ありますが、ゆっくりと、できる範囲からで構わないんですよ。医師として、治してやろう、なんとかしてやろうという考え方は全くなく、「なんとか力になりたい」「一緒にやっていきましょう」という気持ちで向き合っています。ご自身の自然治癒力を引き出すことを一番に考えています。

医学の道に進もうと思われたきっかけは?

中学生の頃、怪我をして病院にお世話になったことがきっかけです。もっと小さい頃は、大工さんになりたかったんです。ものづくりが好きで、木工は今でも好きですが、少し整形外科に通じるところはあるかもしれないですね(笑)。卒業を前にして、結果がはっきり見える科に行きたいと外科系に進むことを考えるように。整形外科を選んだのは、胴体内部以外のかなり広範囲に全身を診る科だということもあり、また、大学でバスケットボールをしていたので、スポーツ医学に興味が強かったというのもあります。大学病院で、整形外科の医局に入り、その後、救急指定病院で勤務も経験しました。

整形外科からなぜ東洋医学の道へ進まれたのでしょうか。

4

整形外科で「最小侵襲手術」という、小さな皮膚切開で関節鏡などを使う手術法を行っていましたが、だんだんと、切らずに治療できないかと考えるようになったんです。また一般外来で、膝痛や腰痛など、なかなかよくならない例を多く診てきました。痛み止めを出してもその時だけ、注射しても元に戻ってしまう。治療パターンも限られてくる中、膝が熱を持ち腫れていた患者さんに漢方エキス剤を用いたところ、私自身も驚くくらい症状の改善がみえたんですね。それ以降、整形外科の領域で、病名に対して適しているとされる漢方を処方していましたが、患者さんが抱えていた別の内科的な領域の症状も同時に良くなっていく方を目の当たりにし、「これは自分が求めていた治療だ」と。一般病院で勤務をしながら、この医院の前身である、李漢方専門クリニックの、李康彦先生(現・扇町漢方クリニック名誉院長)の元で研鑽してきました。

病気は体が発する「声」、漢方で自然治癒力を引き出す

西洋医学と東洋医学の違いはどういうところにありますか。

5

漢方では、西洋医学のように新しい薬が出てくることはありませんが、歴史の深さでは東洋医学が圧倒的に長いんですね。西洋医学の文献をみると、5年前、10年前とがらっと変わっていることがよくあります。それだけ、西洋医学は進歩しているともいえますし、進歩によって恩恵を受ける患者さんもたくさんいます。しかし一方で、今現在、良いとされている診断、治療が、5年後10年後否定されている可能性もあります。東洋医学はそういうことがないとされています。実例や経験値の積み重ねで成り立ち、揺らぐことがない「伝統医学」です。その点では、安心して処方していくことができます。

東洋医学は歴史がある分、とても深い世界だと思います。

長く漢方に携わっていますが、患者さんに処方していくなかで、今でも、ああこういう効き方があるんだなと気づかされることがあります。勉強・研究してきた知識はもちろんなのですが、経験値の積み重ねが大きい世界だと思います。漢方は、体全体の分析を行わなければ、個人個人に合わせて処方するのは難しいんです。東洋医学は一生勉強しても仕切れないほどの深い世界ですので、まだまだ、突き詰めて勉強していきたいですし、柔軟に良いものがあればどんどん取り入れていきたいです。また、西洋医学、東洋医学問わず、医学は割り切れないものなんですよね。どこまでも100%理解し切れることはありません。その時点でわかっている範囲で、少しでも有効な手段を探っていきたいです。

漢方を身近に感じてもらえるようになるといいですね。

2 1

もっと東洋医学を広めたい、認知度を高めたいです。そのために、書籍など情報発信もしていきたいです。なぜ病気になるか。症状が出るのか。それは、体からの発せられた「声」メッセージなんですね。それを受け取って症状が出てきていると考えています。その「声」をもみ消すのではなく、本来、自然治癒力があるはずの身体に、無茶な生活や、無理な行動を強いたことで、体が悲鳴をあげている状態なんです。「病には意味がある」ということを知っていただく。そして、考え方、生き方から見直すきっかけになればと思います。中国の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」に無になる、囚われないという考え方「恬淡虚無(てんたんきょむ)」という言葉があります。現代は何かにとらわれすぎる傾向にあり、その考え方が病気を治す邪魔となることもあります。漢方、東洋医学で自然治癒力を引き出して、元のバランスに戻す、そのお手伝いができればと考えています。

Access