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大沢 正秀 院長の独自取材記事

扇町漢方クリニック

(大阪市北区/扇町駅)

最終更新日:2025/05/23

大沢正秀院長 扇町漢方クリニック main

扇町駅、中崎町駅からいずれも徒歩5分、扇町通に面した医療モールの4階に「扇町漢方クリニック」がある。中医学に基づいた漢方治療を保険診療で提供しているクリニックで、さまざまな不調や悩みを抱えた患者が来院する。院長の大沢正秀先生は、過去に整形外科の医師として病院での診療にあたりながら、漢方の可能性を実感して漢方専門クリニックで研鑽を積んだ経験を持つ。患者の症状だけを見て薬を処方するのではなく、体質や生活習慣、精神状態までを含めて患者を捉える中医学の弁証論治に基づいた、オーダーメイドの漢方処方を提供している。「漢方の世界は奥深く、まだまだ新しい発見があります」という大沢院長に、同院の漢方診療の特徴や漢方にかける思いなどを語ってもらった。

(取材日2025年5月9日)

詳しい予診票を通して患者の状態を深く理解する

先生はもともと整形外科がご専門だったそうですね。

大沢正秀院長 扇町漢方クリニック1

病院の整形外科で「最小侵襲手術」と呼ばれる関節鏡などを使う手術を担当していましたが、次第に切らずに治療できないかと考えるようになったんです。膝痛や腰痛などがなかなか改善しない患者さんも多く、ある時、膝が熱を持って腫れていた患者さんに漢方のエキス剤を用いたことをきっかけに、症状や病名に対して適しているとされる漢方を処方するようになりました。患者さんが抱えている内科的な症状についても、同時に改善が期待できるため、「これは自分が求めていた治療だ」と実感しました。

漢方専門のクリニックで勉強されたと伺いました。

病院の勤務医として診療を続ける一方で、当時、福島区にあった李漢方専門クリニックで勉強させていただくことになりました。そこで、いろいろな生薬を組み合わせた、本格的な煎じ薬の処方を学び、病院の整形外科診療でもより積極的に漢方を処方するようになりました。勉強を続けるうちに、その漢方クリニックの一部の処方を担当させていただくようになり、徐々に私が担当する部分が増えていったのです。そのクリニックの機能を現在の場所に移転させるのに伴って、「扇町漢方クリニック」という名称にして、私が院長を務めるようになりました。

どのような患者さんが来られますか?

大沢正秀院長 扇町漢方クリニック2

開業以来、患者さんの層はあまり変化なく、基本的に女性の患者さんが多く来院されます。年齢層も20代の若い方からご高齢の方まで幅広く、訴えの内容もPMS(月経前症候群)や更年期に伴う不調、消化器の疾患など本当にさまざまです。手足の痛みや、しびれ、だるさ、現在ではフレイルと表現されることも多い、運動機能の低下を訴える方も少なくありません。特定の疾患があることもありますが、漠然と不調を感じているという方や、西洋医学的な治療で症状が改善されなかった方、納得できる結果が得られなかったという方が多いですね。

診療はどのように進めるのですか?

まずは予診票への記入をお願いします。一般の医療機関のものに比べると、かなりボリュームのある予診票で、これまでかかった病気や服用している薬、困っている症状といった基本的な質問に加えて、どのような感情の状態になりやすいのか、その頻度や程度についての質問もあります。怒りやすいとか、イライラするとか、悲しい気分になりやすいといったことですね。あとは飲食や睡眠といった生活習慣、さらに二便といって排泄の状態、女性の場合は月経の状態についても記入していただきます。どのようなときに症状が悪化して、どのようなときに軽減するのかなど、症状の変化について尋ねるのも特徴です。その後、記入していただいた予診票の内容や書き忘れがないかなどについてスタッフが確認した上で、診療を開始します。

個々の症状に対し改善を図るオーダーメイド処方

漢方の診療では脈や舌を診るというイメージがあります。

大沢正秀院長 扇町漢方クリニック3

これまで私もさまざまな診療を実践してきましたが、現在では内容を絞るようになりました。まず、望診といって患者さんの全体の印象や雰囲気、顔色などを確認した上で、脈と舌の様子をチェックするようにしています。座ったまま診られるので、背中を診ることもありますが、基本は望診、脈診、舌診です。

診断と治療には予診票にある感情についての質問も関係するのですか?

「気の持ちよう」という言葉があるように、中医学で「七情」と呼ぶ喜・怒・悲・憂・恐・驚・思の7種類の感情は、いわゆる五臓六腑の機能にも影響します。つまり、七情が病因(病の原因)として関与することが非常に多いのです。治療を進めていった結果、ご自身の考え方や気の持ち方の傾向が不調につながっていることに気づき、感情の大切さを実感されることもあると思います。これまで続けてきた生活習慣や気持ちの在り方を改善するのは、必ずしも簡単なことではありませんが、慌てる必要はなく、できるところからで構いません。私のほうでも、医師として治してやろうという考え方ではなく、患者さんが本来持つ自然治癒力を引き出すことを大切にしながら、「なんとか力になりたい」「一緒にやっていきましょう」という気持ちで患者さんに向き合っています。

お薬の処方についての先生の考えを教えてください。

大沢正秀院長 扇町漢方クリニック4

この症状だからこの薬といった考え方ではなく、予診票に記入いただいたあらゆる要素と、望診、脈診、舌診から得られた情報を総合して、さまざまな生薬を組み合わせて、その方のオリジナル処方を考えます。基本的な処方もありますが、1g単位、あるいはそれ未満の量のさじ加減で生薬の量を増やしたり、減らしたり、基本処方にないものを加えたり、不要と考えられるものを省いたりするオーダーメイドの処方です。

やはり煎じ薬が中心なのですか?

生薬を自由に組み合わせたオーダーメイド型の処方なので、煎じ薬が中心です。当院の場合、煎じ薬ということを知って受診される方が多いので、あまり問題になることはありません。ただし、煎じ薬の匂いが苦手、仕事が忙しくて煎じる時間がないという方の場合は、エキス製剤を処方することもあります。この場合も、予診票や診察の内容から判断して、煎じ薬の処方に準じたエキス剤を選ぶ必要があり、1種類では対応できず複数の種類のエキス製剤を処方することが多いですね。普段は煎じ薬だけど、旅行に行くのでその間はエキス剤で対応するなど、患者さんの事情に合わせて対応しています。

西洋医学では改善が難しい悩みにも対応する

西洋医学と東洋医学の違いはどこにありますか?

大沢正秀院長 扇町漢方クリニック5

漢方では、西洋医学のように新しい薬が出てくることはありません。一方、西洋医学の文献を見ると、5年前、10年前とがらっと変わっていることがよくあります。それだけ、西洋医学は進歩しているということで、進歩の恩恵を受ける患者さんもたくさんいらっしゃいます。しかし、今良いとされている診断、治療が、5年後10年後には否定されている可能性もあります。東洋医学は長い歴史を持ち、実例や経験値の積み重ねで成り立っている揺らぐことがない「伝統医学」であり、不安なく患者さんに処方できるのがメリットだと思います。

今後の展望を教えてください。

これまで20年くらい漢方の診療に関わってきましたが、とても奥が深く、どれほど勉強してもこれで十分というところには到達できません。患者さんに処方していく中で、新たに気づかされることも多く、今後さらに勉強を深めていくことで、新しい処方のアイデアも見つけられるのではないかと期待しています。

読者にメッセージをお願いします。

大沢正秀院長 扇町漢方クリニック6

東洋医学の知恵を生かして、すでに現れている症状だけでなく、まだ発症に至っていない未病の段階まで幅広く対応することで、本来の健康を取り戻すお手伝いすることが、当院の診療理念です。また、処方に加え、暮らしや心の在り方に対する具体的な助言を行うことで、一人ひとりが「自分らしく、より良く生きる」力を再び育んでいけるような医療を志しています。西洋医学の発展は、私たちに多くの恩恵を与えてくれましたが、その一方で満足のいく診療を受けられていない方がおられます。症状に困っているのに、どこに行っても特に異常はありませんと言われたり、気にしすぎと言われたりして、納得できないというときは、一度当院にご相談にいらしてください。

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